求人情報
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どの時代のヒーローも…ただヒーローをやっているだけでは、生きていけない。
愛知県で、契約社員として働いていた『レッド』と『ブルー』は、先月いっぱいで契約期間が切れたことによって【無職】となった。
《東京の秩序を乱す憎きヒーローを倒す『ブラック戦闘員』大量募集中! 年令、学歴不問! 友人同士の応募も可。登録制なので履歴書は不要です。日給1万円~ 説明会を【悪の秘密結社S】本部にて毎週金曜日PM7時より行っております。登録希望者は、直接会場へお越し下さい》
インターネットの求人情報サイトを閲覧していた『レッド』こと…赤石隼人19歳。(もちろん独身)が、【悪の秘密結社S】の求人情報のページを開いてしばらく固まっていた。
「おいおい! 今時の悪者は、一般人から戦闘員を募っていやがるのか!?」
「ちょっと~! そんなの昔からに決まってるでしょ? もしかして、隼人…知らなかったの?」
「マジで!? そんなのオレ、オヤジから聞いてねえぞ!」
【悪の秘密結社S】が一般人から戦闘員を募集していることに隼人が驚いているのをすぐ後ろにある3人掛けのソファーで寛いでいた『ピンク』こと桃川レイナ17歳(花の女子高生)が、少しバカにしたような面持ちで隼人によくあることだと、隼人の後頭部を丸めた雑誌で叩きながら突っ込みを入れて笑っていた。
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そこへファーストフード店でのバイトを終えて『イエロー』こと、黄田正人18歳(フリーター、もちろん独身)が帰って来て求人情報を見てその目を丸くして驚いていた。
「うわぁ!! これ、マジっすか? 【悪の秘密結社S】のブラック戦闘員って日給いいっすね! オレ、ヒーローやめて戦闘員に転職しようかな?(笑)」
「それ、冗談でも笑えないぞ!!」
「いや、マジっす!」
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正人が笑ってマジっすと言った瞬間、隼人と『ブルー』こと青嶋猛22歳(無職、もちろん独身)にボコボコに殴られていた。
「ヒーローやめて戦闘員なんかに転職しやがったら、一番に見つけ出してレーザーガンでその脳天を穴だらけにしてやるからな!!」
「しません、しません!! 転職しませんから!!」
「ほーんとっ! 隼人と猛は気が短いんだから~! それくらいにしとかないと、本当に正人が転職しちゃうじゃない!(笑)」
二人に殴る蹴るの暴行を受けた正人の顔は、◯ンパン◯ンのように丸くパンパンに腫れ上がっていたから、レイナは笑いをこらえきれずに声を漏らして笑いながら、冷凍庫からアイス枕を取り出してその顔を冷やしてやっていた。
「あ~あ、それにしてもマジで仕事探さねえとな~!! 隼人は何か見つけたのか?」
「ああ、オレは明日ティッシュ配りのバイト行ってから居酒屋の面接に行ってくるわ~! 猛はどうなんだよ?」
「オレは牛丼屋の深夜のシフトで一応OKもらって来たぜ!」
何とも正義のヒーローたちの会話だとは信じられないけど…これが、彼らの今ある現実なのでした。