孤独だった姫君
長め?
「あ、大丈夫ですよ?あまり両親のこととか覚えてないので。ショックはあまりなかったんです。」
そういう問題だろうか……私だって両親から捨てられたようなものだけど、ショックは受けた。捨てられて、こんなに純粋な眼をしていられるだろうか……私には無理だ。そもそも人間としておかしい。ヒトなんてものは、明らかに矛盾している生物であり、モノを愛することも出来ればそのぶん憎悪することだってできるのだ。その最終形態が、世界全てを憎むということで、私だったりする。やっぱりこの子は異常だ。私の苦手な分野の子だ。ヒトはモノを憎まずにはいられないはずなのに……私だって異常だろう。でも、彼の場合は……なんというか……やっぱりヒトじゃない。ヒトはそんなに清いものじゃない……そう思ってないと私は生きていけない。もしもヒトが清いものであるならば、それを壊そうとすることや壊したことの罪悪感で押しつぶされてしまうから。
「孤独の姫らしいよな……この考えも。うん。」
「なんか言いました?」
「いや、シェール殴りたいなって。そんだけ。」
「ルーチェ……露骨すぎるよ。」
だろうね。でも、事実だ。というか壊したい……違う……そうじゃない。壊さなくちゃならない気がする。
「とりあえず、身の危険を感じますよ……。」
「とりあえず、黒魔楽師には向いてないよね。シェールはさ。聖者にでもなるべきだと思うよ?」
「は?」
黒魔楽師っていうのは世界の表も裏も知ってなければならない職業だ。彼には向いてない。全く。世界は彼の思うほど素晴らしいものでもないし、人間はこの世で一番きれいな存在でもない。言ってみれば世界という大きい鍋の中の具にすぎない。ただその世界で威張ってるだけの存在だ。まあ別に私には関係ないことだけど。だって私は悪魔だから。人間とはまた少し違っているから。
「えーと……ルーチェさん?」
「やっぱ、調教が必要だよね。うん。まあ、おいおいわかってくるんだろうけどさ。」
私がどれほどひどく、冷たく、恐ろしい汚れたモノかってことが。たぶん、人間を最低に下げたらこんな感じになるだろう、みたいな。真実を知った時、一体彼はどんな眼をするのだろう?きっと怒るんだろうね。
「と、とにかく、教室行きましょう?ね?」
「あら、もうこんな時間じゃない。ルーチェ?珍しくおとなしいわね?」
「ん?うん例によって例の如く……。」
「あー……あれか。孤独な姫のひとりごとか。」
「というか、人間について姫が調べたらどうなるかって感じ?ま、姫は私で、私が姫なわけだけど。」
「なんですか?それ?」
「んー……そうだなー……表と裏の中の裏しか見ない――――というか裏しか見えない悲しい孤独なお姫様になって考えてみたりみなかったりー。」
はぐらかしただけです。すみません。さて、姫の時間は終わりだ。少し眠っててもらおう。永遠に眠っててほしいものだけど。そういう謙虚なものじゃない。なんせ、「姫」だし。姫っていうのは、私の別名……みたいなものだったりする。まあ、別人格というか、自分にとってなくてはならないもの。孤独で本当の自分を見せない仮面をつけていた頃の私。悪魔としての私。そして真実の私……。
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ルーチェが崩壊してきましたねー。こんなのは序の口ですが。彼女はまた少しまともになります。次に孤独の姫が出てくるのはかなり後のほうになります。それと同時に彼女の真実が明らかになっていくわけですが。
シェールはいい人です。故に壊れているわけですね。この世界は基本的にほぼ無法。その中で本当にいい人は壊れているんです。




