表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今度こそあなたの幸せを願える私になりたい  作者: 夕立悠理


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/31

目を逸らす

これ以上ないほど、怒っている父は、その表情とは反対に、静かな声で尋ねた。


 「どうして、何も言わなかった?」

私は、何がなんでも魔獣科に入りたかった。入って決して揺るがない絆が欲しかった。そう言って、なぜ? と問われてしまえば、言葉につまる。前の生で、貴方たちに簡単に見捨てられたのだと言ったら、狂ってしまったと思われて、最悪、ベッドの上に縛り付けられるかもしれない。


 「……反対されるかと、思いました」

結局、私の口から出てきたのは、凡庸な言い訳の言葉だった。

「もちろん、反対しただろうね。けれど、アリサ。お前が本当にそう望むなら、私は許可したよ。私が怒っているのは、魔獣科に、進んだことじゃない。そんな危険な学科に進んだのに、私に何の相談もなかったことだ」


 本当に? 信じられない気持ちで、父を見つめる。父は、ゆっくりと頷いた。

「お前はまだ私たちの庇護下にある。でも、私たちの所有物ではなく、意志を持った人間だと、いうことをわかっているつもりだ」


 それは、私個人を尊重してくれる言葉だった。だったら、なぜ。出かかった言葉を寸前で飲み込む。代わりに、素直に謝ることにした。


 「……勝手に決めてごめんなさい。どうしても、魔獣科に入りたかったんです」


 そう言うと、ようやく父も表情を緩めた。

「……アリサ、絶対に傷付かず、帰ってくると、約束できる?」

魔獣科は、下手をすると死人もでるような学科だ。そんな、学科で傷一つ付かずにやっていけるほど、甘くはないのかもしれない。

「はい」


 約束を違えることになったとしても。それでも、私は、血よりも濃い絆が欲しかった。


 でも、できうる限り、怪我をしないように、頑張るから。

 即答すると、父は、

「では、お前が魔獣科に進むことを、許可しよう」

といって、笑ってくれた。




 書斎からでると、どうやらもう庭から帰ってきたらしい、ステラとユストが心配そうに私を見つめていた。二人を安心させるように、微笑むと、ユストが飛び付いてきた。


 そのユストを抱きとめて、側によってきたステラの頭を撫でる。

「ねえさま、とうさまにいじめられなかった?」

「ええ、大丈夫よ。お父様は、心配してくださっただけだから」

「それならよかった。それでね、ステラってすごいね! すごく高く飛べるんだよ!」


 ユストがステラが、どれだけ凄いかということを興奮ぎみに話してくる。その話を笑顔で聞きながら、心配をかけておきながら、父を本当の意味で信頼できない私自身から目をそらした。 

 

 

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

もしよろしければ、ブックマークや☆評価をいただけますと、今後の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ