①プロローグと告げられた予言
部活の演劇用に作った台本を小説っぽく書き換えて見ました。少し語彙が足りないかもですが、お許しください。少しでも供養になるといいです...
言葉。それは文字なんかより暖かく、表現に満ちた、人類最高の発明品だろう。聞き覚えの無い声、でもいつもそこにいたように、どこか、安心する声だ。だがそれは誰の耳にも届くことのない、封じられた声だった。封じなければならなかったのだ。彼女をこの平穏を守るためには。
とある国、その中心にある大きな城の中庭、そこで楽しそうに話をしている2人がいた。
1人は口と手をひっきりなしに動かし続ける少女、アイネ。もう1人は黒い鎧に身を染めた若い騎士、ヴァルター。彼女の話にじっくりと耳を傾け、一つ一つにこくり、こくりと相槌を打っている。
「全く、お父様ったらいっつも現役時代の自慢話ばっかりなのよ?そろそろネタ切れかとも思うのですが、そう思い始めてから何日経ったでしょうか...」
今日も彼女は通常運転だ。そんな彼女にヴァルターはさあな、とでも言いたそうな仕草をする。
「...まあ、貴方に話したところでお父様は止まらないでしょうね...貴方からなにか言えるわけでもないですし...」
今度はしょぼんとしながら申し訳なさそうな顔をする。
「いいのよ、貴方はわたくしの話を聞いてくれるだけで、...貴方といるだけでもわたくしは楽しいの。」
そう話す彼女の顔は、少し火照っているようにも見えた。ヴァルターも誇らしげだ。
「そういえばですね、わたくし、久しぶりに街に行こうと思うの!わたくしももう十数年ここで暮らしているけれど、まだ回ったことが無い所が沢山あるの!だからヴァルターさん!一緒に周りにいきましょう!」
静かに相槌を打つ。だが楽しみそうにしているのが顔から出ているのが彼女にはお見通しなようだ。
「あら?ヴァルターさんも楽しみなのね?」
図星をくらい、目が泳ぐヴァルターを他所にアイネは思い出したように切り出す。
「ああー!それとそれとー!再来週はわたくしの誕生日ですよ!!今年はヴァルターさんも祝ってくれますよね!?誕生日プレゼント、楽しみにしていますね!!」
目をキラキラさせて話すアイネにヴァルターもはいはい、わかってますよ。とでも言いたそうだ。
急に冷静になったアイネがまずいことを思い出したように言う。
「ところでヴァルターさん?お父様との稽古の時間は大丈夫ですか?わたくし随分と長ーく話し込んでしまいましたが...」
その時だった。城の鐘が時報を奏でる。その音はアイネの父であり、ヴァルターの師匠でもある、この国の王様、ゼノンとの稽古開始の合図でもあった。ヴァルターはそれを聞き焦り出す。まずい、このままでは師匠にこっぴどく叱られる挙句、稽古でボコボコにされてしまうに違いない。この場を去る事を身振り手振りであせあせと表現するヴァルターにアイネも焦りながら
「えぇえぇ!お急ぎになってください!お父様には後でわたくしからわたくしのせいであることを伝えますので!!」
それを聞きわかったと言うように頷き、ヴァルターはその場を足速に去っていった。
「少々テンションが高ぶってしまいましたかね...ヴァルターさん、お父様に叱られたりしないでしょうか...」
彼も騎士だ。いつでもアイネの傍にいる訳では無い。だからこそ、彼女はヴァルターと話すその時間を余すことなく、ギリギリまで使おうとしていた。だが少しやりすぎてしまったようだ。彼と話せた余韻に浸るアイネ、しかしその余韻は早々にかき消されてしまう。
「残念ながら、彼はゼノンにこっぴどく叱られた挙句、稽古ではボッコボコにされるでしょうねえ...」
どこからともなく背後に現れた、血を彷彿とする朱色の鎧に身を包んだ、彼によって。
「あなたは?この城の者では無いですね。見ない顔です。どちら様ですか?」
異様に落ち着いてに対応するアイネに謎の人物は口を開く。
「やはり驚かないんですね?まあ、確かに私は『ここ』の者ではありません。」
この反応を分かっていたかのように話す。彼は全て知っているのではないかと思ってしまうほどに冷静だった。
「どういう事です?あなたの『ここ』はどこを指すの?...というかどっから来たんです?!」
時間差で驚き出すアイネを尻目に淡々と語り出す。
「1つずつお話しますね、まず1つ目、私のいう『ここ』とは、あなたとは関係のないどこか、この世界ではない遥か彼方....です。そして2つ目、私についてですね。私はシェイド。私の主である、とあるお方からの伝言を預かっております。私はそちらを貴方にお伝えしに来た次第です。」
「この世界ではない...そんなファンタジーなお話ですの?....それで?その主さんが私に伝えたい伝言というのはなんなんです?」
アイネが聞く覚悟を決めたと感じ取ったシェイド、途端に彼の目が赤く光り出す。それに合わせて辺りも少し、薄暗くなったように感じた。それほどに彼の目は恐ろしかった。
「彼の声が貴方の全てを死と破滅に追いやることでしょう。」
彼はトーンを下げ、その言葉を紡ぐ。
「彼...ヴァルターさんの?一体どういうことですの!?」
アイネが詰め寄ろうとした瞬間、シェイドの姿が影のように薄暗くなり、姿を消す。
「いずれ、全てがわかる時が来ますよ。そう遠くない未来に...またお会いしましょう。」
「待ちなさい!シェイド!!」
そう叫ぶも、彼の気配はもうどこにもない。初めからこれは夢だったのでは?と思わせるほどに。そんなアイネの元に足音を荒々しくして駆け込んでくる男がいた。白い近衛兵の鎧を身にまとった青年、ティムだ。
「アイネ様ーー!中庭から聞き覚えの無い声が聞こえたので様子を見に来たのですが......あの男は一体...?」
「シェイドと名乗っていました...彼、不吉な予言を残していったのです。」
「予言....?僕も遠くから、『彼の声が...』とだけ聞こえましたが...」
アイネはぎゅっと胸元のドレスを掴み締め、青ざめた顔で決意を固めた。
「とにかく、ヴァルターさんに伝えなきゃ....!」
「僕もお供します!」
2人は急ぎ足で、稽古場へと走り出して行った。
やる気があれば最後まで書き通したいと思います。頑張ります。




