表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秀烽学園新聞部 ただいま取材中  作者: 音鳴 凪
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/41

00 - 開戦

 轟音が廊下を震わせた。


 壁に叩きつけられた空手部の部員が、崩れるようにその場に膝をつく。

 その向こうでは、アメフト部の巨体がまるで壁のように並んでいた。


「押し込め! このまま一気に片をつけるぞ!」


 号令とともに、部員たちが一斉に前に出る。


 個々の技では上回る空手部員たちも、連携した質量の暴力に押し込まれていく。


 空手部の前衛が一人、また一人と弾き飛ばされ、後退を余儀なくされる。


 だが、その時——


「下がれ!」


 凛とした声とともに、空手部の部員たちの間を、一つの影が滑るように通り抜けた。


 短く揃えられた艶やかな黒髪、端正な顔立ちに、すらりと引き締まった長身。


 空手部主将、鷹野(たかの)千紘(ちひろ)。その姿を目にした瞬間、空手部員たちの表情に安堵が広がった。


 鷹野が最前線に立ち、静かに正拳を中段に構える。それだけで、周囲の空気が変わった。


 突進してきたアメフト部員の先頭に対し、鷹野は半歩だけ踏み、正拳突きを胸元に叩き込む。


「がはっ……!」


 拳を受けた瞬間、その巨体がまるで紙屑のように後方へと吹き飛んだ。


 動揺が走るアメフト部員たちに、鷹野は間を与えない。

 二人目に対しては、低く沈み込んでからの前蹴りで体勢を崩し、よろめいたところに掌底を叩き込む。


 三人目が横から組みつこうと腕を伸ばしてきたが、その腕を外側から払い、引き込むようにして裏拳を放つ。


 瞬く間に数人が倒され、アメフト部の突進が止まる。


「……どけ」


 鷹野を前に怯むアメフト部員たちをかき分け、一人の男が歩み出た。

 岩のように分厚い体躯は、立ちはだかるだけで背後の光を完全に遮るほどに巨大だ。

 短く刈り込んだ頭の下で、猛獣を思わせる細い眼光が鷹野を射抜く。


 アメフト部主将、牛島(うしじま)鉄平(てっぺい)だった。


 長身の鷹野を、さらに頭二つ分は上回る背丈に、鎧のような筋肉。

 学園随一の質量を誇るその巨体が、一歩踏み出すごとに廊下の床が微かに震える。


「やっと出てきたか、牛島」


 鷹野はその姿を見てニヤリと笑みを浮かべた。


「さすがだな、鷹野。だが、その細い腕でどこまで耐えられるか、見物(みもの)だ」

「言葉は不要だ。……来い」


 鷹野は重心を低く落とし、前に出した左拳の位置をわずかに上げる。


 牛島の巨体がゆっくりと沈み込んだ。


 アメフトのスリーポイントスタンス。地面に指を触れ、全身をバネのように圧縮する。


 二人の間の空気が、目に見えるほどに張り詰めた。


 鷹野が地を蹴る。牛島が爆発的に飛び出す。


 二つの影が交錯しようとした、その瞬間——




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ