表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第四章
PR
40/40

40話 しみわたる。そのに

佐々江温泉(ささえおんせん)入口(いりぐち)には、柿色(かきいろ)紺色(こんいろ)暖簾(のれん)がかかっていた。


その()こうから、湯気(ゆげ)が、ほわほわと()ていた。


りっかは、その(まえ)石畳(いしだたみ)に、くつの(さき)()いた。


こつ。


さっきの(こえ)が、まだ、湯気(ゆげ)(まえ)(のこ)っていた。


(はい)って、いいのかな。


まるみが、りっかの()()った。


「いっしょに(はい)ろう」


うっけは、(なか)をのぞいた。


「じゃあ、(はい)るぞ」


「ほんとに?」


まるみが()いた。


うっけは、自分(じぶん)のシャツをつまんだ。


温泉(おんせん)あるなら、(はい)るだろ」


「うっけ、(はし)らないでよ」


風呂(ふろ)(はし)るわけないだろ」


うっけとカサネは、(みぎ)のほうへ()った。


りっかとまるみは、お()のそばに(なら)んだ。


湯船(ゆぶね)(うえ)に、(しろ)湯気(ゆげ)(あつ)まっていた。


まるみは、お()(なか)で、よこへずれた。


「ここ、おいでよ」


りっかは、くつをぬいで、まるみのとなりへ()た。


()(あし)()れると、りっかは、(ちい)さく(いき)をはいた。


「あったかい」


まるみが()った。


りっかは、うなずいた。


「うん」


()こうのほうから、うっけの(こえ)()こえてきた。


「あつい!」


カサネの(こえ)もした。


「そりゃあ、お()だからね」


まるみは、あはと(わら)った。


りっかの(くち)もとが、ゆるんだ。


「うっけ、ずっとあついって()いそう」


「うん」


まるみは、お()表面(ひょうめん)()た。


湯気(ゆげ)が、りっかの(かお)(まえ)を、ほわっと(とお)った。


まるみは、お()(なか)(あし)(うご)かした。


「りっか、ここ、()たことあるって()ってたよね」


「うん。お(かあ)さんと、お(とう)さんと()た。(ちい)さいころ」


りっかは、お()(なか)で、(あし)(すこ)(うご)かした。


「ここ、(なつ)かしい」


それから、湯気(ゆげ)のむこうを()た。


「また()こうって()ったときには、もう、やってなかったから」


まるみは、りっかを()た。


「じゃあ、きょうはとくべつなんだね」


りっかは、すぐには返事(へんじ)をしなかった。


()が、りっかの(あし)のまわりで、ゆらゆらしていた。


目覚(めざ)めるまえ、(ゆめ)みたいなのを()たの」


まるみは、(ちい)さく()いた。


「どんな?」


りっかは、お()(なか)で、自分(じぶん)()()た。


「だれかが、()をにぎってた」


まるみは、りっかの()()た。


りっかの()は、お()(なか)で、ぎゅっと(にぎ)られていた。


心配(しんぱい)して、にぎってくれてたのかなって(おも)った」


そこまで()って、りっかは(くち)()じた。


湯気(ゆげ)が、二人(ふたり)(あいだ)(とお)った。


まるみは、りっかのほうへ(すこ)()った。


「りっかは、ここにいるよ」


りっかは、まるみを()た。


「ここにいて、いいの?」


まるみは、すぐにうなずいた。


「いいよ」


それから、まるみは、お()(なか)で、りっかの()のそばに、そっと自分(じぶん)()()いた。


「わたしも、わかんないこと、いっぱいある。でも、いまは、いっしょにいる」


そのとき、()こうのほうから、また、うっけの(こえ)()こえた。


「カサネ! おれのタオル、どこいった!」


「うっけの(あたま)にあるよ」


しばらく、(こえ)()まった。


「……あった!」


まるみの(くち)もとが、ゆるんだ。


りっかも、(ちい)さく(わら)った。


()は、(あし)から、(からだ)(なか)へ、ゆっくり(はい)ってくるみたいだった。


しばらくして、四人(よにん)は、()()(まえ)でまた(あつ)まった。


(そと)には、まだ湯気(ゆげ)()がっていた。


りっかは、()れた(あし)をふいて、くつをはいた。


まるみは、その(よこ)で、()屋根(やね)見上(みあ)げた。


「ここ、ほんとうに、あった!」


りっかは、(ちい)さくうなずいた。


「うん、あったね」


りっかは、くつの(さき)を、石畳(いしだたみ)()いた。


「また、ここ()れた」


うっけは、にっとした。


「じゃあ、まだ、できることあるな」


りっかは、もう一歩(いっぽ)石畳(いしだたみ)(うえ)(ある)いた。


こつ。


その(おと)が、湯気(ゆげ)(なか)を、まっすぐ(とお)った。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


第四章はここまで。


続きはまたこんど!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ