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利用者?

毎日投稿できる人ってすげえや…

 右手の魔陣──パルヴァ・ルーメン。

 左手の魔陣──フリューフリグス。

 そして胸の魔陣──ブースト。


 胸の魔陣は身体強化。今は気にしなくていい。

 右手のパルヴァ・ルーメンは、いつもの魔術だ。そして左手の魔術は、核に触れたものを凍結させる。

 発射せず、核を限界まで圧縮する。やがて核は自壊し、爆発する。その破片に触れた者は凍りつく。

 手榴弾の破片に触れた者を凍らせるようなものだ。


 ──理論上は


「気をつけろ! 何かしてく──」


「圧縮し、自壊。冷却せよ。フリスグ・ルーヴァ!」


 間に合え!

 魔陣に魔力を込める。打て。作れ!

 爆発音が響いた。

 続いて、凍りつく音。そして、ヴィンさんの攻撃音。


 一瞬の出来事だった。

 凍結した敵が動かない。

 ヴィンさんの魔術が、敵を包み込む。


「ヴィンさん! お願いします!」


「ああ! 準備はできてる! エクスプローヴァ!」


 爆炎が敵を包み込んだ。

 凍りついた敵に、対策を取る余裕などない。

 ──成功した。

 初めての重詠魔術は、成功したんだ。


「ヴィンさん!お願いします!!!」

「あぁ!準備はできてる!エクスプローヴァ!!」


 エクスプローヴァ

 対象を爆炎で包み、最終的に死に至る。

 対策を取れればまた別の話なんだが、凍った敵にそんな事ができるはずもなく...


「勝った...?!!」

「あぁ。勝ったのじゃ。おそらくな...」


 おそらくな...

 そう言うと、ヴィンさんは冒険者を一通り確認して歩き出した。


「ついてくるがよい。転移魔陣を破壊しに行くぞ」

「あ、はい!」


 〜〜

 はえ〜 戦闘するうちにこんな遠くまで来てたのか。

「やっとついたのぉ では行くぞ」


 転移魔陣を破壊するのは難しいものではない。

 転移魔陣の原理として、座標を魔陣に記録させ、もう一つの点とつながるように、座標を正確に記録するだけだ。その座標をめちゃくちゃにするか、魔陣ごと破壊すればいい。


 〜〜

「やっと見えてきましたね」

「あぁ。ここからは魔力を隠蔽するのじゃ。敵がいるかもしれん」

「わかりました」


 魔力を抑えろ。

 俺の心臓、この世界で言う核に魔力を集中させるんだ。


「よかった」

 誰もいない。だが


「油断厳禁、ですよね?」

「あぁ。今すぐ破壊するぞ!」


 そこで俺とヴィンはそれぞれ座標が記録されてるところへ走り出した...

 のだが...


 ヒュン

「はぁあああああああ」


 不運は続き、そして連鎖して起きるものだ。

 また戦闘かよ... ブラックすぎんだろ...

 もう魔力なんぞ残ってないぞ...

 完全に魔力切れを起こせば立ち上がることすら難しくなる。俺の残りの魔力は体感残り2割。防御と逃走用の魔力は残ってるのか..?


 最初に俺の耳に届いたのは意外にも爆発音などではなく

「君がいるってことは... あ〜ぁ。死んじゃった。上から丁寧に扱えって釘を刺されてるんだけどな〜 まぁなくなったものを悔やんでもしかたないか。追加注文をメモメモっと」


 何を言ってるんだこいつは?

 一体どういうことだ?さっきの冒険者の中身、いや上司なのか?いやそれにしてはあまりにも...


「悲しき男よ。仲間が、いや手駒が死んでも悲しそうなそぶりひとつも見せぬか」

「ハハ。君がどれをいうのかい?それにまーた君かい」


 2人の会話はまるで久しぶりにあった旧友と話す時のように、どこか馴れ馴れしく、怒りが感じ取れた


「一体何回僕の道具を壊せば気が済むんだい?」


 そういうとその男は腰に掛けていた剣を抜き、ヴィンへと向かう


 ギィン!

 しかしその剣(つるぎ)がヴィンへと届くことはなかった。


「俺がいるからな」


 近づいてみるとやつは仮面をしていて素顔は見えなかった。それに素肌が見当たらん。ここまで正体を隠そうとしているなら声さえ偽造のものだと思っていいだろう


「いやー珍しいね。いろいろな意味で。こんなところにガキがいること、それと君に仲間がいること。まあ長くは続かないだろうしいいや。あぁ〜最初の頃はあんなに可愛かったのに。昔のままでいればよかったものを... せっかく僕が君の妻子ともどもかわいがってあげたのに」


 どういうことだ?

 妻子共々可愛がった?

 こいつは一体ヴィンと何が...


「黙れ。お主にワシを語られとうないわ」

「そうかそうか」

 平然とした、どこか面白そうに、人を小馬鹿にした態度でその男は話を続ける


「昔はもっと大声で鳴ってたんだけどなぁ。それが今となってはただの老いぼれだ。その生活を続ければ先は短い。どうだ?僕達の仲間にならないかい?最近いいものを...」

 まずい!!


 パリンッ!

「行きましょう。ヴィンさん!」

「...」


「想像以上にやるじゃないか。手加減していたとはいえまさか僕の防御魔法が破壊されるとは。あ〜ぁ。もっと色々話したかったんだけどなぁ。そのガキがいるなら無理だね。それに僕は忙しい」


 その男はどこか寂しそうに呟く

「魔陣・起動」


「な!?」

 さっきまで激しい戦闘が繰り広げられていたところでそれは起こった。


 バン!

 鼓膜が破れそうなくらいの爆音

 それは爆発によるモノだった


「うっ...」

 魔力が、一瞬のうちに消えた...

 最初、民間人がいるところまで爆発音が届いたんだ。それを処理するのにだいぶ魔力が削がれた...


「あれ?苦しそうだね?もしかして加護をつけたものが爆発に巻き込まれたのか、それともサイレントでも使用したのかな?」


 バレたか...

 サイレントは遠くに行っても使用者が魔力切れかキャンセルしない限り継続する。しかもキャンセルするにはその近くに行かないといけないというおまけ付きで


「さて、と。これで証拠隠滅は完璧。それじゃあね」


 そう言うとやつは不思議そうに、興味深そうにこっちを見ながら魔陣を起動した


「あ! それと、この転移魔陣は好きにしなよ。壊すも壊さないも自由だ!」


 そう言い終えると、男の姿が俺の視界から消えた。

 生き残ったのか……?

 いや、まだだ。


 俺はすぐに周囲を見渡した。気配はない。魔力の痕跡は──

 ...本当に、いないのか?


「魔陣を破壊するぞ。やつが今すぐにでも大軍を連れて戻ってくる可能性がある」

「はい!」


 俺は周囲への警戒を解かないまま、転移魔陣へ向かった。

 そうだ。そんな都合よく戦いが終わったとは限らない。


 〜

「まじか...」

 破壊して本当に何も起こらなかった。本当に何もだ。


「それじゃあ戻るとしよう。早くサイレントを解除しなければお主の魔力が切れるぞ」

「そうですね」

 ...眠い


 〜〜

 朝か...

「早いなあ...」

 

 ヴィンさんはどこにいるんだ?

 まさか、一晩中見張りをしていたんじゃないだろうな。

 少し歩くと、ヴィンさんの姿が見えた。伸びた影が、朝の光の中に長く横たわっている。


「いつからここにいたんですか?」


 そう尋ねるつもりだった。

 けれど、口を開く前に、ヴィンさんが言った。


「綺麗じゃろ?」

「ええ......」


 何度も見たはずの景色だった。

 それなのに、今朝の日の出は違って見えた。

 昨日を生き延び、こうして朝を迎えられた。そのことが、ただ嬉しかった。


「とっっても綺麗な日の出だ......」

「......そうじゃろう? わしも生前、この景色を見るのが好きだった」

 ...行くか

「少し..歩きませんか?」

「いいが、どこへいくつもりじゃ?」

「戦地、みたいなところです」

「そこか... なぜかは分からぬが、いくとしよう」


 〜

 ガルゥゥ

 低い、唸り声


「魔物」

「ですね」


 隠れてソレを観察する。

 あれはおそらくジャッカル、初級Ⅴ、ランクDってところだ。戦う力がないので恐れる必要はないな。あいつはほとんどの生物の死体を食べる分解者のような役割をしている。


「おそらく昨日わしらが殺した死骸に群がってきたのじゃろう。もっとも、丸こげじゃから食える部分は少なそうじゃのぉ」


 そうだな。

 どうやら昨日ヴィンさんの魔術に当てられた敵は原型を維持したまま、まだ熱を維持しているようだった。


「凄まじい魔術ですね...」

「褒め言葉として受け取っておこう。そしてなぜここに来たかったのじゃ?」


 そう言いながらヴィンさんはジャッカルに近づいて追い払った。


「ちょっと、お墓を建てようかと」


「敵なのにか?」


「敵でも、一つの命です。それに......」


 俺は、仮面の男の言葉を思い返した。

 追加注文。道具。

 まるで、人の命に値段でもつけているかのようだった。


「彼らも、利用された人なんじゃなかったのかって......」


 ヴィンさんは何も言わなかった。

 ただ、黙って石を運び、墓を作るのを手伝ってくれた。

 積み上げた石は、三つだけ。

 それでも、俺たちはその前で黙祷した。

 どうか、彼らが安らかに眠れますように。


「...それでは、いくとしよう。彼らが魔物に襲われていないか心配じゃ。万が一の事態を想定して他の冒険者を起こしたが、彼らでは守り切れるかわからんしの」

「そうですね」


 〜

「お?やっと帰ってきたでやんすか。もういつ襲われるか不安で不安でたまらなかったすよ!おかえりっす!アフラさん、ヴィンさん!」

「ただいまです」

 俺がそういうとヴィンさんはおぼつかない様子で

「...ならばわしも、ただいま かのぉ?」

「いやそこは ただいまじゃのぉ じゃないんすか!」


 そういえば説明し忘れていたな。

 こいつはカーム、初級Ⅳの冒険者だが、実力的には初級Ⅱ〜Ⅲはある(目算)。


「あれ? じゃあ、カームさんはどうして初級Ⅳなんですか? 初級Ⅲの依頼を受ければ、階級が上がるんじゃ...」


「ああ、それか! オイラは死にたくないからっすよ!」

 カームさんは、あっけらかんと言った。


「だから、危険な依頼はなるべく避けてるんす。得意なこと意外は、まだまだっすからね!」

 なるほど。冒険者の階級は、単純に依頼をこなした数だけで決まるわけではないらしい。


「それに、昔ギルドのお偉いさんの怒りを買っちゃってね......」

「な、なるほど......」

もしかしたら、今回誘拐されたのも、そのお偉いさんから依頼されたからだったりして...

地雷を踏んだかもしれない。話を変えなくては。


「別にそんな触れちゃいけないものを触れてしまったようにしなくてもいいんすよ?自分は楽しけりゃなんでもいいんで!もちろん誰も死なない楽しさなら!」


 よかった〜

 前世の上司なら説教1時間コースだった...


「それでは行くとしよう」

「あれ?説得もう終わったんすか?早いっすね!」

「まあヴィンさんですから。それより雑談はあとにしましょう!」

「「「その通りだ」」」


 俺に続いて冒険者3人が頷く。

「だから散るぞ。魔物が襲ってくるかもしれんゆえな」

「「「「「了解」」」」」

「次に目指す街は、ここから一番近い街、エルステじゃ」


 エルステか...

 じゃあ俺はほんとに戻るんだな...

 まあ場所のわからない街で迷うよりかはマシか...


「それではお主たち!ワシについてくるのじゃ!」

 そう民間人に一喝入れてから、進み始める。


 〜

 それから俺たちは何事もなく、エルステへと到着した。あそこに誘拐犯のアジトがあったこと、そこを壊滅させたこと、多くの被害を出したこと、それらを国に報告しようとしたが、エルステは経由地としては人気だが、たかが街ひとつに伝言者(メッセンジャー)はいない、ので!


「僕はここからいろいろな街を経由して、主要都市へ向かおうと思います」

「そうかそうか!そりゃすごいっすね〜!」

 そういって、カームが寄りかかってくる。

 ベロンベロンに酔いやがって...


「すまないな。酒場へと連れてきて。いえいえ、ここは防音対策もありますし、はなすにはとっておきの場所ですから。それに、個室なので酒場という感じもしません」

「それならいいが... それより何か注文しないのか?腹が減ってるであろう。ここはお酒意外にも肉もあるぞ」

「いえいえ、自分はお金を節約して進まなきゃなので」

「な〜に言ってんだ。俺たちの奢りに決まってるだろうがぁ〜 ほれ、この肉なんてお酒に合うっすよぉ〜」


 人って酔うとこんなに変わるんだな...

 あ!ちなみに他の冒険者3人は疲れすぎたので宿屋へ直行して休憩しているらしい。

 っと、話を戻して...


「それじゃあいただきますね!」


 冒険者5人・・・『死亡確定』

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