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地球循環(テラ・サーキュレーション)

まえがき


この物語はフィクションです・・・


以前書いたものへ、ポールシフト、地磁気の移動を入れられないかと考えた思考実験です

プロローグ


西暦203X年。

人類はついに勝利した。


脱炭素は達成され、

石油採掘は世界の95%が停止。


かつて地球を汚していた黒い液体は、

巨大地下シェルターへ永久保存されていた。


誰もが信じていた。

「これで地球は救われた」

と。


ただ一人を除いて。




第一幕

見えない異常


主人公は地球物理学者。

最初の異変は地震ではない。

天文台から届いた報告だった。

GPS補正値の増加

人工衛星の軌道誤差

地球自転速度の微妙な変化

誤差として処理される。

しかし主人公は違和感を覚える。


その頃、


北極磁極が異常な速度で移動を始める。

航空路が混乱。

通信障害が増える。

しかし世界政府は

「自然変動」

と発表する。




第二幕

地球の血液


主人公は地底観測データを調べる。

そこで発見する。

超臨界水とされていた層の下に存在する、


未知の流体系。

それは原油ではない。

原油に似た

超高圧生命体の集合体だった。

彼らは


圧力調整

熱輸送

回転補正

を行っていた。

つまり、

人類が石油と呼んでいたものは

地球の血液だった。




第三幕

地球が脳卒中を起こす


ここで大事件が発生。

環太平洋のある海溝で

巨大な岩盤崩落。

本来なら問題ない。

だが、

数十年間蓄積していた流体圧力が

その一点へ殺到する。


主人公は震える。

ダムが決壊したんじゃない。

地球の動脈が破れたんだ。

すると連鎖が始まる。


日本

巨大地震


インドネシア

超巨大噴火


アイスランド

新しい裂け目


南太平洋

海底隆起


すべてが同時進行。




第四幕

磁場の崩壊


さらに恐ろしいことが起きる。

磁極が加速する。


主人公は気付く。

磁場そのものは原因ではない。

地球内部の流れが変わった結果、


磁場も引きずられている。

人類が見ていたのは

病気の症状だけだった。

本当の病巣は

地球循環そのもの。




第五幕

海が消える


地底生命体は不足した血液を補うため

海溝から海水を吸い始める。


世界の海面が低下。

毎月数メートル。

港が干上がる。

大陸棚が露出する。

海運が停止。

文明崩壊が始まる。




最終幕

地球からのメッセージ


主人公は最後に真実を理解する。

地球は死にかけていた。


だから人類を生み出した。

石油を掘らせるために。

燃やさせるために。

循環させるために。


人類は支配者ではない。

寄生虫でもない。


地球の体内で働く

「赤血球」

だった。




ラストシーン


世界中で石油備蓄施設が開放される。

黒い液体が再び使われる。

大気へ。

雲へ。

雨へ。

海へ。


循環が再起動する。


そして主人公は夜空を見上げる。

磁極の移動が止まり、

オーロラが本来の場所へ戻っていく。


「地球を守ろうとしていたんじゃない。」

「俺たちは、地球の呼吸を止めようとしていたんだ。」


あとがき


原油が地球の血液である証拠もなければ、地震や地磁気変動、ポールシフトとの関係を示す科学的根拠もありません。


これはただの妄想です。

夢想です。


あるいは、

「もし現実がこうだったら?」

という思考実験の記録です。


近年、世界は大きく変わりました。

戦争が起きました。

エネルギー政策が変わりました。

自動車は電動化へ向かいました。

かつて大量に消費されていた原油は、少しずつ社会の表舞台から姿を消しつつあります。


その一方で、

地震、

火山噴火、

異常気象、

地磁気の移動、

そしてポールシフトへの不安を語る人々もいます。


もちろん、それらが互いに関係している証拠はありません。

しかし私は、ある単純な疑問を抱きました。


「使われなくなった原油は、どこへ行くのだろう?」

その疑問から始まったのが、この物語です。


近頃は終末への不安を背景に、

地下シェルター、

終末保険、

富裕層向け避難施設などの話題を耳にします。


それらは安心を買う行為なのかもしれません。

否定するつもりはありません。

ですが私には時々、

それが豪華な救命ボートではなく、

高価な棺桶を予約しているようにも見えます。


もし本当に地球規模の変化が起きるなら、

お金だけで逃げ切れるのでしょうか。


もし文明そのものが巨大な循環の一部なら、

その循環から切り離された場所で生き延びることはできるのでしょうか。

私は答えを知りません。


おそらく誰も知りません。


だからこれは警告ではありません。

予言でもありません。

ただの妄想です。


けれど、

人類はいつも、

「あり得ない」

と思っていた出来事の後に、

「もっと早く考えておくべきだった」

と言い続けてきました。

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