第28話 欲深い神様
資料を見直していたら更新時間ギリギリ……(汗)
誤字脱字があったらすまぬ……すまぬ……
( ꒪⌓꒪)
「たぶんはたぶんだッ!
先に言っておくがなぜ今じゃないのか、なぜだいたい1年後なのかは面倒だから俺に聞くなよ!」
「な……んぅ」
神様の迫力に負けて口元まで出ていた疑問を飲み込む。
それを見届けたゴーは首を鳴らしたり肩を回しながらこりをほぐし始めた。
「あ~肩こった。
ってことで、神様からお前への伝言はこれにて終了だ!
今の時点で疑問質問詰問その他諸々あっても俺には言うな!
いいか、絶対言うな!」
「振りですか?」
「違う! 俺はバカだからしっかりと答えてやれねぇ!」
自分で自分をバカというのか、この変態は。
「バカに神様が務まるんですか?」
つい出た自分の言葉に棘があるのは勘弁して欲しい。
聞きたいことなぞ山とあるんだ、挑発でもしてノリで答えてもらおうと考えても仕方がないじゃないか。
「そういうことにしておいてくれ、な?
ぶっちゃけ俺も当事者じゃねぇからよ……な?」
神様から泣きが入った。
何故だろう変態が、ご馳走を前にずっと“待て”をさせられている犬に見えてきた。
しかし、当事者が居るのか……俺以外に。
つまりは神様側に。
俺は眉間を揉んだ。
「……解りましたよ」
「恩に着るッ!!
で、だ。早速俺の本題だ!
杖を使って鍛冶の知識を見せろ!」
「え、それが目的?」
「そうだ!
俺は鍛冶の神だぞ!?
それ以外に目的はねぇ!」
言い切りやがった……。
というか、
「俺が杖を持ってることを知っていた……?」
「正確にはここに来るほんの少し前に知った、だ。
更新通知がきてたからな」
「なにそのPOP機能」
「事情があってな。
これでも神様ってやつは忙しいんだッ!」
その事情は面倒なので説明したくないとのこと。
なんだか体よくあしらわれている気がするぞ?
あとイヤな予感がしてイルカを出した。
「知りませんけどそんな機能」
「今はそんな姿なのか。
まぁ良いや、そら説明責任はメーテにぶん投げたッ!
あいつが説明しなければお前は知らないだろうな」
「許すまじデブ神」
イルカから見えないはずの怨嗟が見える。
画像を見た時はムッチリしていたが俺より全然細かったし、正直男受けしそうな肉付きだったと思うのだが……八つ当たりされそうだから黙っておこう。
「あいつはお前の事わりと気に入ってたし、意図があるかもしれんが……まぁいいや」
「そ、そうですか私はお気に入りでしたか」
イルカが身体をピンクに染めながらデレ発言。
コイツチョロインなのか……。
うっ、睨んできたぞ、このイルカ。
「な、なにか……?」
「ベツニナニモ。
とにかく鍛冶の技術を検索しますわ」
サッと視線を外して検索に集中する。
とりあえず鍛冶の技術と言えば玉鋼だろうか?
日本じゃ古式製鉄法と呼ばれてた気がしたが無いのか、この世界。
検索結果が出た。
その昔嵌まって調べていたことがあったので相当数の情報だ。動画まである。
とりあえずウィンドウを変態に見せると、
「ん?
なんだこれは?
破面が均質なのはわかるが、ん?
炭素とはなんだ?」
「炭素は元素のひとつっすね」
「元素……?
わかんねぇ!
とにかく工程だけ真似るか……?」
ウィンドウから眼を離さずにぶつぶつ言い続けている変態。
こっちの世界じゃ神様レベルでも元素しらないのか……。
ゴーにこの世界の鍛冶について聞いてみると、鉱物を精錬してそれを形通りに作るだけだそうだ。
そして鉱物の精錬方法がまた変わっていた。
ちょっと見せてもらったが、空中で鉱石が光ったと思ったら鉄が出来ていた。
体感ものの数十秒。
精錬魔法という変性魔法の一種らしい。
杖で確認すると純度100%だった。
なにこれチートじゃん。
「ちなみに鋼ってあります?」
「一応あるぞ、ただ鉄より少し固いだけだろ?
精錬魔法の難易度は跳ね上がるし、強度を持たせたいならミスリル銀やアダマンタイトを使って作れば良い話だからメジャーじゃないがな」
価値観の相違がありそうなのでさらに詳細を聞いてみると、結局は魔法ありきの価値観であることがわかった。
頑丈なもの、切れるもの、全て付呪されている魔法の良し悪しで決まる。
結果、この世界では金属同士の質や形状について殆ど拘らない。
そこで試行錯誤を行うなら魔法を練習するのだそうな。
「そりゃ鍛冶が発展しないわけだ」
「聞き捨てならねぇ台詞だが、こっちの資料を見る限り飲み込んでやるよ、くそが。
なんだよこの錆びない金属って……」
ゴーは頭を抱えていた。
勝手に他のページも見ていたらしい。
「……ゴーさんみたいな人っていないんです?」
俺の言葉にゴーさんが鼻で笑った。
「俺みたいに鉄を叩きたいだけの奴なんてほとんどいねぇよ。
居たとしてもそりゃあ相当な変わりもんだ。俺には見つけ出せねぇ」
「神様なのに?」
「俺に祈りを捧げてない奴らの居所まで知るか。
そんな変わり者が神に祈りなんて捧げるわけねぇだろ?
そのぶんトンカチを振るうわ」
そう言われりゃそうかも。
「とりあえずたたらを試すとすっか。
おいサトウスズキ、欲しいものあるか?」
「え、リクエストした物を作ってくれるんです?」
「失敗した鋼で作るがこれでも鍛冶の神だ、神器ではないが品質の保証はする!
これにほしい金物を書け。
ただし、刀はやめてくれ最終的に出来たら渡すが、たぶん刀を作るのが俺の目下の目標になるはずだ」
「そんな難しいんですか?」
「難しいしお前らの民族頭おかしい。
なんだあれ、狂気の沙汰だぞ!
積層構造って……3万って……」
そうなのか。
とりあえず遠慮なく金物をあげてみると半端ない数になってしまった。
生活用品と工具が主だったがちょっと申し訳ない。
「これだけあればいくら失敗しても問題ないな。
ただ包丁はナイフに変えるぞ包丁は俺にはまだ早い」
「了解です」
つぅわけでまた来る! と言い残し、ゴーさんはさっさと出ていった。
俺はその場に仰向けに倒れ、息を吐き出す。
「抱えていた不安が殆ど吹っ飛んでしまった……」




