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フィル・ドーナとアブヒラドール

前半がサブタイトル通りの2人の会話。

後半は3人の人物が出てきます。

「…ほぼ時間ぴったりだねぇ。さすがに僕の読み通りには行動しないかと思っていたけど」


「…貴方が『フィル・ドーナ』ですか?」


「う~ん。半分当りで半分ハズレかな」


「当りでハズレ?それが、教会の明かりを点けず、フードを取らない理由ですか?この暗さでは、顔を判断することもできない」


「あは☆まぁ、そうだということにしておくよ」


「…私に何か用があるのですか?武器屋に顔を出すことを見越して、あの時間指定…」


「だって、君は今日、教会ここに来ていたんでしょ?教会に来て、娘と話をした。娘は、暗殺を止めさせたい。そのためには何をするか分からない。


 だけど、自分は止めるための理由がない。理由がないのに、止めるのは、『アブヒラドール』として考えると無理。『損得を考えて行う行動こそ正義』。そんな家訓は君に、娘のために動く理由さえも失わせている。


 ならば、『娘の父親』としてなら?助ける理由がないから、せめて娘だけでも『フィル・ドーナ』の武器から遠ざけたい。となると、『フィル・ドーナ』の正確な場所が必要。はっきりしない情報では、娘は『フィル・ドーナ』に会おうとは動かない。


 情報屋に流した情報に喰いつけば、君は武器屋に、そして武器屋へ伝言した内容に興味を示してここに来ると思っていた。


 来ない理由はないと思っていたよ。


 君の行動はひどく矛盾しているが、それだけに読みやすい」


「…なるほど。私は自分で思っているよりも、焦っていたようですね。自分で気が付かないうちに、読みやすい行動をしていたとは…」


「ここまで来て、僕と冷静に話をできている君は割と合格点だよ」


「ほう。合格でなかった時の私の行動は何ですか?」


「そうだね。例えば、ここに来ないとか、激昂するとかかな」


「普通はそうなっても、おかしくないとは思いますが?」


「そうだね。でも、君は怒らなかったでしょう?僕みたいな子どもに何言われても、冷静にどう対応するべきか考えていた」


「…」


「だから、割と合格だよ」


「割と?」


「うん。割と。だから、君に何か一つだけ教えてあげる。


 さぁ、何が知りたい?



 『フィル・ドーナ』が何を殺したくて、武器を作るのか?




 『フィル・ドーナ』という魔武具士が生まれた理由?





 それとも、『彼』がどこにいるのか…?」




□■□



「あれ~?またきたのぉ?」


「…アブヒラドールの当主に会ったと聞いた」


「だから、本当におしゃべりだね!それで、わざわざ来たの?暇なの?」


「暇なわけがないだろう。お前…何をかんがえてる?」


「やだな!そんな怖い声出さないでよ」


「ふざけるな。遺体を手に入れる相談をしたそうだな」


「あいつの口には滑り止めがついてないのか…」


「何をする気だ」


「なんだっていいじゃん♪」


「…俺は言ったはずだ」


「無関係なモノの死は許さないんだろう?わかってるって。でも、君がしゃしゃり出てくることで、死ぬ人もいるかもしれないよ? 」


「…」


「わかったら、沈黙していなよ。君が許せないことがあるように、僕にも許せないことはあるんだからね」


「…」





「行ったかな。まったく口うるさい奴だよ」


「驚きました。初めてお会いしたときと、彼の印象が違うようですね。『物語』とも違うようです」


「ああ、面白いだろう!あれほどまでに狂った人間はなかなかいないよ」


「あれは狂っているのですか?」


「そうだよ。ところで、覚悟はいいかい?」


「ええ。私は、あなたの言うままに動きましょう。それが私を生かす道になります」


「あは☆僕は世界の命運を握ったわけだね。


 この世界を導くために、君は大きな手になる。






 ねえ?『悪役令嬢』様」


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