フィル・ドーナとフィル・ガード
会話回です。
「フィル・ドーナがどこにいるかって?なんでそんなこと聞きたのかしらん?」
「あぁ、そう。あんたでも娘は大事ってわけね?」
「そりゃ、あんたにお願いできなかった時点で、あの娘があの坊っちゃんを守る手段は一つしかないものね」
「それで?あの嬢ちゃんにフィル・ドーナの情報を渡すってわけ?」
「別にいいわよ。あんたが何を思ってそんなことを言いだしたのかも、だいたい分かるし」
「そうそう、魔武具士フィル・ドーナの居場所だったわね。と言ってもねぇ」
「フィル・ドーナに関する情報はあんたの所が持っている情報とほとんど変わらないわよ」
「正体不明、かわいらしい女の子が使いで仕上がった武器を卸しの武器屋に持ってくる以外、全く分からない。その女の子をつけても、絶対に家までは行けない。脅そうものなら、その子が付けている武器が発動。半殺しの目に合う」
「どこに住んでいるのかも、年齢さえも分からない」
「わかっているのは、強力な武器を作る人物。殺傷能力高すぎること。三年前から売り始めたその武器は、年々、強力になっていること。それぐらいかしら」
「え?あぁ、それさえも知っているのね。参ったわね。とっておきの情報だったのに。そうね」
「武器しか作らないフィル・ドーナには双子の兄弟がいるわ」
「フィル・ガード。こちらも有名な魔道具士ね。こちらは、魔道具しか作らないけれど」
「どちらもこの国になくてはならない人物ね」
「ただ…」
「どちらも、正体は全く不明なのだけど」
「あら、おかしさに気付いた?そうよ。なぜ、正体不明な人物の双子の兄弟の話が情報として挙がっているのかしらねん?」
「私は卸しの武器屋が漏らしたものを聞いたのだけど…。彼は無口で無駄なことは一切喋らない人物。そして、使いの少女と接点を持つ唯一の人物。それが漏らしたのは、故意に何かの狙いがあって流されたのだと思うのよん」
「そうね。例えば…。あの少女が…フィル・ドーナだと言うのは…無理のある話かしらねん?」
■□■
「あれ~?なにしに来たのぉ?」
「…聞いたぞ」
「ああ、まったく。おしゃべりなヤツも居たものだね」
「…まさかと思ったが、本当だとは」
「なにが言いたいの?」
「!!わかっているのか?あの武器は危険すぎる!」
「あは☆なに言ってるの?」
「…人が死ぬぞ」
「バカだな。武器は人を殺すためのものでしょ?」
「だが、あいつに渡したことで、更に…分かっているのか?あいつは…」
「いやだな。渡したんじゃないよぉ」
「…渡るように仕向けたのだろう」
「分かってるじゃん」
「なぜ、こんなことを…。あいつがどんなことをしているか分かっているのだろう?」
「それこそバカだな。いいじゃないか。殺して殺して殺しまくれ~♪」
「…正気か」
「あは☆いい加減、理解してほしいな。これは、この世界を運命通りに進めるために必要なことだよ」
「…そのために何人の人が死ねばいい?」
「さぁね。でも、運命は廻り始めた。結果は…僕のみぞ知るってね」
「だれが神だ…」
「僕だよ。この世界の運命はすべて、僕の手の上だ」
「…」
「そうそう。分かったら黙ってなよ。君も、そしてあいつも誰もが、みんな、僕の手の上でバタバタと踊ればいいのさ」
「…」
「さぁ、早くここから出ていきなよ。僕のことを知られるのは拙いだろう?」
「…わかった。だが、忘れるな。俺は、罪がない者の死は許さない」
「分かってるよ。だけど、僕は間違えないさ」
「なら、いい。間違えるな…フィル・ドーナ」




