↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
21/38

キミノリズム

 雨上がり、僕は傘をたたんだ。


 下校途中の道端。


 君をみつけた。


 無邪気に友達と笑いあう。


「あ、虹!」


 嬉しそうに空高く指差して君は言った。


 僕も君の手が動くのと同時に空を見た。


 そこにはどこまでも続く七色の虹がかかっていた。


「花ったら子供みたい」


 君はそういわれて、恥ずかしそうに手を下ろす。


 その瞬間、君と目が合った。


 君はくすっと笑って


「子供みたい。私と一緒!」


 そういじわるそうに笑って走っていった。


 そのときほど、僕の手が君に届きそうだったときはないだろう。


 その白くて細い腕に触れてみたい。


 その赤々とした頬に触れてみたい。


 このことが叶うなら、君をぎゅっと抱きしめたい。


 そんな想いばかりが膨らんでいく。














 眩しい日が差す朝。


 道路にガソリンでできた虹があった。


「なんだ、偽物か」


 僕はそう呟いた。


「本物は何回も青空が続いてから出てくるんだよ」


 後ろから声がした。


 君が僕に近づいてこういった。


「次、虹が出たときは一緒に見ようね」


 そういって、リズムを刻みながら僕の隣を通り過ぎて行った。


 君のその言葉を信じよう。


 君が笑った顔で僕は強くなれる。


 君の笑顔で僕は距離を縮められる気がする。


 




 僕も歩き出す。


 君の後を追って。


「おっはよー俊也!」


 もう少しで近づけそうだった君の後姿。


 どんどん離れていく影法師。


「あ、また野村さん見てただろ?俊也くんは一途なんだからぁ~」


 そういって男友達は僕をからかう。


「今度は一緒に見よう」


 この声が聞こえたのか、君は一瞬びくっと肩を震わせてこっちを振り向いた。


「あ」


 僕は自分のやったことの恥ずかしさに赤面した。


 君はまた無邪気に笑った。









 「好きだ」と言い出せない。


 口にするのは簡単そうなこの単語。


 僕だけが君を想って、いつも君を目で追ってしまう。


 それは全て空回りなのかもしれない。


 君の言葉ひとつひとつ僕にとっては宝物。













 



 授業中、ふと黒板からノートに目をうつした。


 その途中、君の横顔がちらっと見えた。


 僕はノートまで辿りついた視線を君に向けた。


 君は僕に気づいてぱっと目をそらした。


 ごめん。


 ただ、見とれていただけなんだ。


 君への想いがまた膨らんだ。


 












 呆れるほどに君が好き。


 どんなに険しい道でも構わない。


 どんなに遠回りをしようとも構わない。


 どうしても伝えたいんだ。


 僕のココロから溢れ出す確かなこのキモチ。


 僕は僕を信じよう。


 君の笑った顔を思い出すだけで僕は勇気をもらえる。


 君の笑顔で前へ進める。















 僕は帰り道、君の下校時間を見計らって学校を出た。


 風が優しい夏の香りを運んでくるこの並木道。


 君が毎日刻むそのリズム。


 その一瞬を狙ってまばたきだってできない。


 君のその後ろ姿をみながら。


「野村さん」


 君はゆっくり振り向く。

 

 揺れる長い髪。


 長いまつげ。


 くりっとした丸い目が僕を見つめる。


「野村さん。君が好きです。君をずっと守りたい。いくら時が過ぎようとも僕のこの気持ちは変わりません。僕と付き合ってくれませんか?」


 赤面する君。


 君は僕に走りより、僕の手を優しく包み込んだ。


「本当に私をずっと守ってくれますか?時が過ぎていっても私への気持ちは変わりませんか?」


 君は真剣な眼差しを僕に向けて一生懸命に口を動かした。


 僕は一瞬、驚いた。


 そして、深呼吸をした。


「はい」


 全てを君から託されても構わない決心で答えた。


「今日から私はあなたの彼女です」


 無邪気な笑顔が僕の心を硬く重く君で固めてしまった。


 















 遠回りしても伝えたかったこの気持ち。


 僕の心から溢れ出したこの想い。


 同じ虹を見た日から。


 次は一緒に虹を見ようと約束をしっときから。


 離れていく君の影法師を追いながら。








 僕は決めていたんだ。







 君を僕が一生愛し、守り続けるということを。


                                        END

作中ではあまり出てきませんでしたが、二人のフルネームは 野村 花と 吉沢

俊也 です。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。