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S089 真名は隠される

前回頑張ったのでしばらく平常運転です。

ミレニアムが崩壊して以降、そこに生きた者達は悩みを抱えていた。

いずれ帰ってくるであろう自分達の主人に自身の生存を告げる為にはその真名を明かさなければならないが、その真名を知られてしまえば最悪は誰かに取って代わられる事になる。そうなれば主人に仇成す勢力の侵入を許す事になるし、自身も居場所を失う。だからこそ容易く周囲に明かしてはならない。

そして、それ以外にも明かしてはいけない理由があった・・・。



リッキーとゾラ、そしてアブナーは今日も3人でくつろいでいた。かなり長い付き合いでお互いにきつい言い合いをしてもすぐに仲直りが出来る関係という事でいつの間にかこの3人で居る事が多くなった。

そして今日も特に話す事もなく、何度目になるか分からない内容を話し合っていた。


「しかし俺らの名付けって今になってしまえば結構酷だよな。」


リッキーはいつもの様に切り出した。その何度目になるかも分からず誰に聞いているのかすら曖昧な話を口元が寂しいからか手慰みの様にも弄ぶ。

そのリッキーの一言を聞いたゾラがいつもの様に合いの手を入れる。


「そうねぇ。私達は昔から一緒に居るからお互いの名前も知ってるけど、さすがに他の人に教える気にはなれないわねぇ。」


アブナーも話に乗る。


「そうそう。あの時はそれでうまく行っていたから良かったけど、俺達の主人がいなくなった後になって俺らの名前を悪用されたんじゃ困るんだよな。あの人は良い人だったけど、隠れてしまった今となってはもう一つ名前をくれていたらと思うよ。」


「そうよね。もう一度会いたいけど、会った時に恥ずかしいわよね。だって、あれだもん。」


今のリッキー達の名前は今の状況に合わせて自分達でつけた名前であり、当然かつてリッキー達を知っていた者以外は知らず、その仲間は今は散り々りになっていて近くには僅かな者だけが残っている。


ゾラの誰に言うでもない言葉にリッキーが答える。


「確かになー。俺もさすがに『お久しぶりです!俺です!"慌てるとすぐに注意が疎かになる"です!覚えてますか!?』なんて再会の挨拶はなんだかなーって思うよ。」


「そうよねー。私も『会いたかったです!私です!"掃き掃除してると後ろが隙だらけ"です!』なんて恥ずかしくて言いにくいわ。」


それにアブナーが乗っかる。


「だよな。俺だって『俺ですよ!"騙されて気がつけばすってんてん"です!覚えてますか!?』なんてどんな顔して言えば良いのかわかんねぇよ。」


そう、彼らの名前はかつて彼らの主人が彼らの事が分かりやすい様につけた名前だった。その名前が周囲に知られるという事は同時に彼らの弱みを教える事になり、彼らにとってそれは死活問題だった。

またリッキーが話し出す。


「あいつらは良いよなー。何か功績を出して名前を付けて貰った連中。"不撓不屈"とか、あいつは何だっけ?、"美声"だったか。良いよなー。後は天位に認めて貰った奴らなんかも羨ましいよ。"弁才天"とかカッコ良くないか?言語の才能とか凄そうだよなー。あいつらは『俺です!不撓不屈です!久しぶりですね!』とか胸を張って挨拶出来るだろうなー。」


「いや、そうでもないぞ。あいつらはあいつらで苦労してるらしいぞ。不撓不屈の奴なんか、その名前のせいで無理難題押し付けられるって言ってたっけ。『どこまで耐えれるか俺で試すんじゃねぇ』とかキレてたな。美声の奴も『いつまで歌わせるのよ!』とか何とか。名前が大きくなりすぎて色々な事を頼まれるらしい。やっぱり真名を知られるなんて良い事無いよな。」


「そうね。私ものんびり暮らしたいわ。」


いつもの様に3人で暇を楽しむ彼らが居る部屋にチャイムが鳴り響く。誰だろうとリッキーがインターホン越しに応対すると、久しぶりな友人がまた一人訪れたようだ。珍しいなと思いながらもリッキーは居間へと招待する。

居間に通されたジェドは3人揃っているのを見て相変わらず仲が良いなと思い、声を掛けた。


「よう。3人揃って何してたんだ?」


「別に何も。真名を知られると大変ねって言ってただけよ。」


「そうかい。じゃあ俺には関係ないな!」


「そうね・・・」


ジェドの思い切りの良い発言にリッキー達3人は奥歯に物が挟まった様な顔で答える。ジェドも彼らとは付き合いが長く、勿論ジェドの真名も彼らは知っている。彼らなりの優しさを出したつもりのはずがジェドの方から言いにくい一言を言い出した。


「なんたって俺は『まるでだめな男』だからな!知られた所で弱味に付け込まれる事もない。どっからでもかかってこいってんだ。」


そう、ジェドの名前は他の3人の様に聞いたところで悪用出来ない名前だったのだ。他の3人の名前を聞けば、悪用しようとすれば何をすれば良いのかが分かるのだが、ジェドの名前を聞いてもどうやって騙そうかと思いつかないのだ。ジェドにとっては何も恐れる必要がなく実に好都合だった。

そんなジェドの内心を3人は気楽で良いなと思いつつも、ジェドはジェドで3人が何に遠慮しているのかがイマイチ分からないまま今日まで付き合いが続いている。

そんな強気なジェドの発言にアブナーが疑問を投げかける。


「それで今日はどうしたんだ?お前がここに来るなんて珍しいよな。」


「ん?ああ、ちょっと失敗しちまってな。リッキーに話でも聞いてもらおうと思って。言った言わないの言い合いになって大喧嘩だよ。」


「へえ、また何かやらかしたのか?」


「おいおい、人聞きの悪い。俺は何も悪くねぇよ。『加工するのは指示を待ってからにしろと言っただろう!』とかいきなり言ってくる奴が居るんだよ。なあ、どう思う?」


そのジェドの言葉に3人はあえて何も返さなかった。ジェドが何をやらかしたかを根掘り葉掘り調べた所で不毛だとこれまでの経験から分かっていたからだ。ジェドはジェドなりに良くやっている。それが3人の意思の総意だ。

代わりにゾラが話を切り替えてジェドを煙に巻こうと話し出した。


「ああ、何か失敗した時のあの人はいつも困った顔はしたけれどあまり怒らなかったわね。懐かしいわ。」


ゾラのその昔を懐かしむ声を聞いたジェドも遠い彼方に目線を向け穏やかな笑みを浮かべながら答える。


「ああ、懐かしいな。あの頃は本当に良かった。でも結構怒ってたぞ?特に再教育だとか何とか言って部屋籠りさせられるのは大変だった。でも失敗しても最後には許してくれたなぁ。あの頃に帰りてぇ。」


「そ、そうだな・・・」


どうにも返答しにくい返しにリッキーが答える。勿論3人も再教育を受けた事はあるが、自分の受けたあれとは違うのだろうかとも考えもしたが、聞きにくいので曖昧な返事だけに留めた。




「というような事は起きるのじゃろうか?」


「なるほど。本人識別用に付けられたタグとも言える名前に込められた意味を悪用されると言う事ですね。」


「概ねそう。」


「大抵は長所などを付けるのですが場合により短所をつけて管理する事もあります。リーダー視点になりますが効率を最優先した場合、綺麗事を言っていられません。管理する配下の数が増えれば一々その人物の名前と特徴を覚えている事など不可能になってきます。その際、一分一秒を省きたいとして情報交換にかかる時間を省く際に特徴が分かる名前が付けられます。名は体を表す状況を作り出し、失敗を防ぐのです。例えば、部屋の掃除を任せようとする配下の者を呼びつけて名前を問うた時に『私は『手癖が悪い』です。御用件は何でしょうか』と答えた時にはこの人物に任せる事は出来ないという判断が容易にできます。もしこれが仮にその者の名前が単純な識別名だったとして命じた後になって盗癖がある事を思い出したが既に遅く犯罪を犯していたとなると、指示した側もわざわざ失敗させる状況を作ってしまう事になり、また、犯罪を犯した側もわざわざ誘惑に駆られる状況を作られ、その様な状況にならなければ犯罪を犯さなかったかも知れない可能性もあり、あえて問題を発生させる状況を作り出してしまいます。罪を犯させてしまえば罰する必要があり、そもそもが失敗する可能性があるのならまず先に教育を施し失敗しない対策をしてから指示を出すのが基本になります。

指示を出された側が失敗しない努力をするのも必要ですが、あえて他者より失敗しやすい者に指示を出した事で『私が失敗しやすい事を分かっていて指示を出したのだから厳罰は酷い。まるで罰を与えたかったからさせた様なものじゃないか』と批判されてしまいます。

そして、高度な社会というのは、その指示の出し方に別の意味を持たせる事があります。例えば、人物Aと敵対する人物Bの所に、表向きには周知されていないが盗癖がある人物Cを掃除係として向かわせ、その際に「いいか。絶対に、絶対に物を盗むなよ。」と念押しして強調する事で逆に意味を持たせて犯罪させる手法があります。この場合、普段からそういった手法で指示を多用して言い方、表情、態度で違いを示すが言葉上は違いがない様にして責任を逃れる方法が行われます。そうやって普段から指示出しをして、指示を良く理解して従う者を贔屓して周囲を固めればいざと言う時に逆さ言葉で悪事などの指示を出す事が出来ます。あえて二度言う、殊更に強調する、高圧的な態度で言う、などの方法が考えられ、こういった使い方がある為に言葉通りかどうかはその人物を良く知らないと判別出来ません。ではその様な態度や言い方をされても従わなければ良いと思っても、その様な指示を出す側と出される側には上下関係があり、場合により生活に重大な影響を与える関係の為に断るわけにはいかない場合があります。パートタイマーやアルバイターなどのいつでも替える事が出来る存在などの弱者が該当します。高度な社会では、この様な方法をなくす為にもそういった非正規従業員はなくすべきですが、過当競争と働き方の自由という大義名分で行われます。そうなるとこの様な悪用を止めるストッパーは減り常用される事になります。そこに属する者達の知性が高くなければそれに比例して自由を与えてはいけません。自分達が何をしているかも良く分かっていないからです。しかし誰もが自由というものに幻想を抱き、自由を求めて謳歌しようとします。

勿論、これは知性が低くなくても行われます。しかし使われ方は変わり|言質[げち]を取られない為が主となります。また、知性が高くとも低くとも言外の意味を付加して指示を与えたり話をしたりする事が多用されます。

この様に言外の意味を使って意思疎通を行う事は多用されますがそれぞれに錯覚して起こった例外や言外の意味を用いる必要がある緊急避難的措置を行った結果が原型としてあります。


|無垢なる無罪[イノセンス]という言葉があり、過失を意味する表現です。どれほど善良な者でもその知性が高くなければ自身の気づかない所で失敗して他者に加害行為し、それが不可抗力として認識されるケースを表します。


簡単な例では、猟師が鹿を見つけたから撃ち殺したが、その鹿は他者が飼っていた鹿で偶然逃げ出しただけだった、などが考えられます。自身は他者の飼っている動物を撃つつもりはなかったが結果として他者の飼っている動物を殺してしまった、と言えます。この時に猟師が謝罪し幾ばくかの金銭を払う結果もあるでしょうし、ない場合もあるでしょう。その対応でまたお互いの印象が変わりそれ以降の対応に変化が出ます。猟師の態度が悪い場合もあるでしょうし無い場合もあるでしょう。勿論飼い主の態度が悪い場合も良い場合もあるでしょう。


もしここで猟師を罠に嵌めたい者が居て、過去の結果を知っている状態で、仮に猟師の態度が悪い場合に猟師の風聞が悪くなる結果があったとして、その猟師に敵対している人物が状況を悪用しようとする場合があります。猟師が動物を殺して飼い主と揉めた後に猟師の風聞が悪くなった、という結果を見てそれを模倣出来れば猟師の風聞を悪くする事が出来ると考えるのです。もしその計画者と猟師の関係を周囲が知っていればあまり効果はないかも知れませんが一定の効果はあるでしょう。効果がない場合は計画者の側にその効果を低減させる要因がある可能性があり、例えば周囲から既に良く思われていないなら猟師を悪者にしようとしても周囲は信じないでしょう。しかし悪人はここから更に計画を進めます。では計画者本人が揉めるから疑われるのであって、計画者以外の他人なら欲しい結果を得られるのではないか、と考えて共犯者を探します。共犯者を使って猟師と争わせ、欲しい結果になる様に共犯者に行動させます。この場合は共犯者の態度は悪くない様にしながらも猟師を煽り相手側に悪い態度と言動をさせてそれを周囲に見てもらうのが状況証拠としては良いでしょう。その結果になった後に、猟師の悪い噂が流れれば成功です。この際、状況証拠を確認したものも共犯者にして無関係の第三者を装わせれば確実に噂は流せます。それ自体は真実ではないが事実ですので嘘をついた事にはなりません。そして噂も第三者を装う共犯者にさせると確実に広まります。

この様に既に成立した過去の事実を模倣して結果として得る事を『既成事実を得る』もしくは『既成事実を捏造する』と表現します。まず、猟師と口論をさせる。その際に猟師が誠実な態度を取ったとしてもこの場合は関係ありません。それを見て客観的に判断するはずの第三者も共犯者ですので、猟師の態度に問題が無ければ無いで『猟師が相手と罵り合う酷い口論をしていた』と発言出来れば良く、そこに事実は必要ありません。嘘がばれない様に出来るだけ忠実に状況証拠に合わせる必要はあるので、猟師の態度がどうであれ、共犯者の口論の相手だけは大声で喧嘩腰に話す必要はあります。最初に煽る様に会話して、しかし猟師が煽りに釣られないなら態度を変えて大声で罵り出せば良く、それを第三者を装う共犯者が見て噂を猟師が不利になる様に流せば良いだけです。猟師が煽りに釣られたらその話した内容を具体的に話し、釣られなければその状況を話せば良いわけです。そしてその話を聞いた者も共犯者なら噂は積極的に広められます。

この際に、リザルトセットにある元の結果として、対象が誰かと口論になり、その悪しざまな態度が誉められたものではなく周囲が広め評判が悪くなる、というものがあり、その段階としてまず猟師が悪し様に発言している事を作為的ではないにしても広め、そして場合によりその噂はすぐに消えて広まらない可能性もあったがその内容が酷かったのであえて広められ、そして対象の風聞が悪くなる、という段階がありますが、それらを全て対象の態度などとは関係なく模倣する事でリザルトセットにある様な酷い結果と同じ事が起きたと周囲に錯覚させてその結果の悪影響を得る事が出来る、という事になります。また、この方法は共犯となる者同士お互いの敵対者を取り替えて実行される事があります。

そしてこの方法で相手の評判を下げた事で自身につきまとう評判を上げる事も出来ます。自身が評判を下げる原因になっている人物の評判を下げる事で、それまでの評判は事実ではなかったという結果も得る事が出来ます。


こうやって既成事実を捏造する習慣のついたリーダーとその配下の場合、先ほどの物を盗むという例では既成事実を捏造する事のない集団とは違う事まで考慮する必要があります。先ほどの様に、盗癖のある人物に指示をして「絶対に、絶対に盗むなよ」という一言を言って派遣した場合には、その指示を受けた人物は"リーダーが自身は罪を追求される事を逃れつつも物を盗ませたい」と思っているから自身を派遣したのだと思ってしまう可能性があり、状況は変わります。そうなるともし指示したリーダーがその様な意思がない時に、リーダー自身にとって意図しない指示をした事になり、結果が不確定になって焦りや不安を感じさせる事になります。その結果、もし盗難が発生した場合、それが指示した人物の行動の結果でなくとも疑う事になります。疑わなくとも、実際に指示された人物が盗んだのなら問題のない所に問題を発生させて要らぬ手間をかける事になり、自身で自身を追い詰めている事になってしまいます。

そうなると、次はその盗難が発生した場合の対処と対策を考える事になり、善人とは違う方向性を持った知性を発達させていきます。悪人はこうやって違う方向性の知性を高める事が良くあります。その為、善人より方向性は違いますが知性が高くなる傾向にあります。しかし、その方向性は本来の知性の高め方からはズレておりそれぞれの状況や行動を主点とした考えを発達させます。知性が低ければその場しのぎであり、高ければ全体を把握しなければその矛盾を指摘出来ないものになります。つまりはその状況だけを見ればさも正しい様に見える行動を取りうる事になります。


言外の意味を含める場合の例としては、緊急避難的措置としての行動があります。犯罪者が人質を取って立て籠っている状況で、その人質が外部に犯罪者の情報や状況を伝えようとして外部と話す機会を与えられた時に言葉の別の意味やその状況で使われる事の少ない言葉をあえて選んで使用して、情報を付加させて伝えようとする場合などがあります。場合により、特定の人物しか理解出来ない差を用いても行われます。事実と違う情報をあえて誇張してその特定の人物にのみ分かる様にしたり、普段からある発言をすれば特定の意味を表すと取り決めていたりする事があります。

しかしこの使われ方も悪用される様になり、悪用される方が多くなります。悪人がカモとなる対象が訪れた事を対象に気づかれる事なく仲間に知らせたり、対象の気づいていない間に物の準備をさせたりなど行う様になります。

しかしこれとは別に、普段の日常から、直接指摘しないが気づいてほしい物事を気づかせようとする為に行われる場合もあります。

本来ならそれら全ては使い方として間違っていますが、私達の未熟さから生じる例外や錯覚により言葉自体を正しくつかいこなす事が出来ません。

これらの方法で行われる悪事は詐欺の一形態であり、過去にあった事例を基に行動を真似る事で不当に利益を得ようとする行為になります。


簡単な例では計画倒産などがあります。例えば起業したがうまく行かず、取引相手に譲歩してでも契約したり過労働したりして努力を重ねたが倒産するしかなくなり何らかの救済措置を受けて、負債の減免若しくは免除が得られたとします。するとその結果はそれまでの過程を無視して見るなら浪費をした後にその浪費によって生じた損失は消去され、そこにあったはずの責任は取らなくて良い事になります。これを悪用する事で利益を大幅に得る事が出来ます。どの様な企業活動もそこには収入と支出があります。企業が倒産するまでに金銭も含めて資源を消費すると取引相手である他の企業に取っては収益が発生している事になります。そしてその企業が倒産した場合、他の企業が"し掛かり"を持っていれば影響はありますが、取引を終えていれば影響はないでしょう。そうなると他の企業はその企業が潰れるまでの間に利益を出し続ける事が出来ます。ここに着目します。その企業がもし投資家から資金を集めて企業したとすれば、その資金をその企業を使ってロンダリングして他の企業の収益とする事が出来ます。いうなれば使い捨てフィルターとして使うという事です。投資家の資金そしてその計画の協力者以外の人物から売掛買掛で資金と物品を集めて売りさばき、頃合いを見て計画倒産して免除が認められればその悪用をした者の所には利益しか残りません。その為に、かつて倒産時に免除が認められた企業の行動と同じ行動をして実績を作り、帳簿上や対外的な見える部分での活動に不審な点が残らない様に工作し免除を勝ち取るという手法があります。その企業のトップに関しては、既に操り人形にした人物や得られる収益との差で生活保護を約束するなどの手段があります。どのみち破滅するしかないのなら出来る限りの事をしてやれ、と自棄になる人物は居ます。

この方法に似たものとして、逆に投資家が計画の主犯であり、他の投資家から利益を奪い取る形で行われる場合もあります。高配当を謳った投資においては大抵はねずみ講と同じ様な欠陥があり、早い段階で投資したものが利益を得るものがあります。高配当で他者が投資する様に誘惑し、さも利益が出ているかの様にみせかけて配当金を受け取り、頃合いを見れば価格の上がった投資の証書を売り払って、原資回収して逃げた後に計画倒産するというものです。計画者の利益は他の投資者の投資金であり、そこに実のある企業活動はない方法になります。


この様に既成事実を捏造する方法は良く行われます。本来の方法ではコストもかかれば利益を出すのも難しい事も既成事実の捏造なら簡単に利益を出す事が可能だからです。そこに利益を出した結果があり、もしそれに対して法律や制度が欠陥を抱えていて対処出来なければ悪用出来、そして悪人により悪用され、まともに行為行動している者がそれだけ損をし、相対的に不利になり、社会は悪人がのさばる事になります。そうなれば善人はまともに行動するのもばからしいと思って怠惰になるでしょうし、社会の利益になる行動はそれだけ悪人を肥やす事になるので控える様になるでしょう。権力者は配下の行動が社会の利益に結び付く様にシステムを組み上げる必要があり、それを怠り誰かが与えてくれるルールに従っていさえすればよいと思う様になるとその時点から社会は劣化します。個人の利益は必ずしも社会の利益と一致しません。


話を戻しまして、名前付けは基本的に他と区別する必要のある場合に行なわれるのが主でした。村人が子供を作った際に太郎、次郎、三郎などの固定した呼び名を付けて管理する事があり、簡単に一人目、二人目、三人目という意味で付けられ、これは成人するまでに死ぬ可能性がある場合に良く行われます。特に管理する必要もないものに特別な名前を付けて覚えるだけのリソースを割く事は効率的ではありません。何か特別な地位に就くか功績が認められた時に名前を貰い、他と区別されるのが慣習であった時もあります。

例えばリーダーが配下を100人持っていたとして彼らの特徴や名前を全て覚える程のリソースの余裕があるなら他の知識にそのリソースを回した方が効率的であり、指示する時に名を聞いて判断する方が良い方法になります。特に注意する名前でなければ簡単なものを任せ、注意すべき名前であるなら任せられる内容を指示し、能力がある為に名前を貰っているならその専門分野を任せるなどの方法が可能になります。

こうして名前付けは行われていたのですが、そのしきたりも数が増えて管理出来なくなると個々人で名前を付ける慣習へと移行します。数が増えるにしたがって関係が離れた個人同士に利害関係の一致がない為に、相手の名前が失敗などを基にして付けられた名前の場合は悪用される様になります。本来はその名前を聞いたならば該当する行動をさせない若しくは状況を作らない様に配慮する必要があるのですが、相手に失敗させる事で弁償や損害賠償という本来あるべきはない利益を得ようとします。更にその失敗を理由に譲歩を促し利益を得ようともします。弁償は対価と釣り合いが取れるので利益にならないと言える様に思えますが実際にはそこに差を生み出す事が出来ます。対価とはどの様に定められるかと言えば、それが妥当な値段という事になり、また、受け取る側が了承する価格である事が望まれます。そして対価として物品なら物品を購入出来る価格が必要になります。そうなれば、廃棄寸前の物品をあえて相手に壊させ、新品を買わせるという手法が確立されます。そうなると実際には自費で購入する必要があるものを他者に買わせる事が出来るので購入費用全額を利益にする事が出来ます。


また、名前はその人物の信用度を表す事もあります。ある人物の紹介というその人物の信用度を用いて紹介された人物の信用をある程度保証する方法があり、そういった用途で使われる名前を他者に知られると悪用されてしまいます。

こうして集団の中で特に親しいか利害関係上密接な繋がりのある集団がお互いの身を守る為に形成され、その内部と外部で違う名前を用いて対応する状況が出来てきます。外部の者が内部の対外的な名前を騙って騙そうとする事を防ぐ為に行われ、その違いで嘘だと見破る事が容易になります。しかし逆に内部で使用される名前を知られると悪人の騙す言葉にある程度の信用を与えてしまう可能性も発生します。

そうなると対外的な名称を付ける必要があり、個人の願望で付けられた名前になり、名前を付けているのは単に識別記号としての意味合いだけになります。名は体を表すという表現もふさわしくなくなり、そうなりたい、そうなって欲しいという希望が込められた名前になります。


元々は成人時にその性質に相応しい名前を付ける事が基本であり、それに準じて行っている作業や職業の分かる名前を付ける事になりますが、集団が一つの集団としてまとまり内部分裂していなければ可能な事も内部分裂してしまえば利害関係の不一致から相応しくない名前が付けられ、また、内部で分裂していなくとも、贔屓して相応しくない名前が付けられる様になり、この制度は瑕疵を持つ様になります。

一方で個々人で付ける名前はその名と性質などの不一致から覚える事が増えます。管理するコストは増え、効率は低下します。丁度、刑務所が囚人を番号管理する方法が集団行動としては最も効率が良くなる事の反対になります。そこにあえて識別する差がない状況というのがこれに該当します。


また、大罪人の末裔という事で家族名、氏族名を隠す者もいるでしょう。その名を名乗る事でどこへ行っても罵られる様な状況ではまともな生活をする事も出来ない為に隠し、平穏に暮らそうとする事もあります。しかしその名前が露見した時にその名前を使って脅される事にもつながります。」


エールトヘンが締めくくる。


「この様に名前と言うのはその血統の以前に存在した人物と同じ様な身体的特徴を有する事からその者と同じ性質を示すだろうという意味を込めて同じ名前を付けられたり、願望を込めて付けられたりするものです。その性質が顕著な名前というものは同じ間違いを犯しやすく、また、長所も分かりやすい為に付け入る隙を与えてしまうものになります。ですので名前を分けて使用する場合もありますので注意が必要です。お嬢様の名についても同様に隠さなければならない部分は隠されて名乗られます。本人の信用を得る為に偽名を使うのはマナー違反になりますが、役割や目的の為に使い分けられる事もありますので何が正しく何が間違っているのかを判断出来る様に、さあ、頑張りましょう。」


-->その際に「いいか。絶対に、絶対に物を盗むなよ。」と念押しして強調する事で逆に意味を持たせて犯罪させる手法があります。

<--映画「48時間」(エディ・マー〇ィが出てる奴)だったでしょうか。「48時間2」の方だったか忘れました。タイトルは確かこれだったと思いますが違ったらすいません。なにせ10年以上前に見たものですから。その中で刑事が証拠を押さえにある店に訪れます。そこで店主と話をして証拠を手にいれようとするのですが、証拠をテーブルに置いた状態で別の場所で話?をする事になります。その時に店主が店員に「いいか。これは絶対捨てるなよ?絶対だ」と言うような事を言ってから刑事達を別の部屋に案内して話をします。そして話が終わり証拠のある部屋に戻ってくると証拠がない。どこに行った、と店主が店員に聞くと「捨てました。」と答え、店主が「あれほど捨てるなと言っていたのにどうして捨てた」という会話になって、刑事はごみ収集車を追いかけるが追いつかずに証拠を紛失する、というシーンがあります。こうやって言葉とは逆に意味を持たせて行動させる事が多々ありますので言葉だけを信じてはいけません。


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