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S051 ももから生まれた浦島太郎と魔法のランプ

書く内容を決めているから話の展開が思考誘導ぽくなっているのでお気を付けを。

何度も同じような事を書いている部分もありますが若干のニュアンスの違いがあります。

言うなれば、一つの結果があるとしてそれの根拠となる支える柱を何本か挿入して固めている、というものなので冗長なのはご容赦を。

話がかなり広範囲に派生するからまとめるようには書きましたがそれでもまとめ切れていない気がします。

長くなりすぎて区切りを作れなかったので次にまたぎます。すいません。


*20190602・曖昧さ回避の為修正。

人間は欲望に支配され、自滅する運命

-->人間は欲望に支配されたままの自滅する運命

昔々あるところにおじいさんとおばあさんがおりました。

おじいさんは山へ遠征に、おばあさんは川へ選択に行きました。


「ファイナルアンサー?」


「ファイナルアンサー」


おばあさんが川の精霊にそう答えました。

先程おばあさんが川でさぼっていると上流からドンブラコドンブラコと小舟が下ってきてその船には女が一人倒れておりました。

するとそこに川の精霊が現れて


「あなたの落としたのは金の小舟ですか、銀の小舟ですか、それとも普通の小舟ですか」


と聞いて来たのでこれ以上揉め事に巻き込まれたくないおばあさんは「普通の」と即答しました。それはそうです。どうみても金箔を貼ったような女や銀メッキしたかのような女とお近づきになりたくありません。小舟は少々勿体ないかと思いましたが女を見る限りその塗装感から何の迷いもありませんでした。

そして「ファイナルアンサー」と答えたおばあさんは川の精霊が岸へと乗り上げさせた小舟から女を助けましたが女は身重で産気づいていました。おばあさんがあれよあれよと世話をしているとすぐに赤ん坊は生まれ、それを見て安心した女は息を引き取りました。

見てみぬ振りも出来ず家を連れ帰ったおばあさんはおじいさんが帰ってくると事情を話しました。


するとおじいさんは、そういえば今日の場所で男が女を逃がしていたな、と思い、過去の事は振り返ららない性分のおじいさんは良き思い出として心の内にしまいました。

おじいさんとおばあさんは拾った子に太郎と名付けましたが、村の人達は他の子と区別するために|百[もも]から生まれた「ももたろう」と呼んでいました。

すくすくと育ったももたろうは強い男の子になり、おじいさんとおばあさんは、この子はやがて山へ遠征に行ってたくさん手柄を立ててくれるだろうと期待に胸を膨らましました。


そんなある日の事です。


「おじいさん、おばあさん。お世話になりました。私は旅に出ます。立派になって帰ってくるので待っていてください」


おじいさんは思いました。こいつはいきなり何を言っているんだと。山へ行って同族殺・・・、いやそれは心に閉まった大事な良き思い出だったと思い止まったおじいさんはももたろうに言います。


「おまえはやがて山に出稼ぎに行ってくれると思っていたんじゃが。とんだ期待外れじゃ」


おばあさんも言いました。


「そうじゃ。育てて貰った恩を忘れて親不幸者じゃ」


そんな2人の小言を聞きながらもももたろうは答えます。


「おじいさん、おばあさん、私は旅に出たいのです。うまくいけば宝を持ち帰る事が出来るでしょう。それではお達者で」


おじいさんとおばあさんの言葉など聞く耳持たないと言わんばかりにももたろうは出発しました。

実はももたろうは知っていたのです。

自分がおじいさんとおばあさんの孫ではないと。

村の者から受ける疎外感と何より偶然会った行商人が「お前は山の一族の者だろう」と教えてくれたからです。育てて貰った恩があるとは言え親や親戚かも知れない者達を殺す気にはなれずにももたろうはどうにか逃げる方法を考えながら体が大きくなるのを待っていたのです。

そうして村を出発したももたろうは海岸へとたどり着きました。

途中、ももたろうは猿のようにがんばる男や雉撃ちしている所に思わず遭遇してしまった男や犬のように平伏して媚びる男が居たような気はしましたが、関わり合いになると面倒だから軽く無視しました。

そんなももたろうは子供たちが亀を虐めているのを見つけました。


「こらこらお前たち、そんな事をしてはいけないよ」


「ヒャッハー!これは俺らの亀だ!口出すんじゃねぇ!」


随分と口の悪い子供達には教育が必要だと思ったももたろうは、下段足払いキャンセルからの奥義「烈風昇竜蒼破紅蓮真空気功拳!」と叫びムーンサルトキックを放ちながらデコピンをしました。

彼もお年頃なのです。ヒーローに憧れても良いお年頃なのです。

ももたろうの放った蹴りは衝撃派を放ち海に浮かぶ小島を吹き飛ばしました。デコピンされた子供たちはびっくりしてしまい「すいませんでしたー!」と叫びながら逃げていきました。

そんな子供たちに向かって、吹き飛ばした島を見ながらももたろうは言いました。


「俺の名は浦島太郎だ。文句があるならいつでもかかってこい!」


どうやら島を吹き飛ばした記念に命名したようです。男の子はいつだって目立ちたいのでしょう。

すると虐められていた亀が言いました。


「助けてくれてありがとうございます。お礼に竜宮城へと連れて行ってあげます」


そうして竜宮城に連れて行かれた浦島太郎は色々と良い思いをしましたが大人の一線を越えた太郎の話は自主規制にひっかかりました。

そんな太郎が3日程遊んだ後に帰る事になると、乙姫さまが太郎に魔法のランプを手渡しこう言いました。


「浦島太郎様、あなたの子供にまた会いに来てくださいね。後、ランプはこすると良い事があります」


男としてはドキリとする一言にヒヤリとしながらも太郎は会計を済ませた亀の背に乗り岸へと帰りました。亀に充分礼を言って別れた後に太郎は貰ったランプをこすってみました。

するとどうでしょう。

ランプから煙が出てその中から大きな魔神が現れたのです。


「竜宮城10000人目のお客様記念です。3つまで願いを叶えましょう。あと、手紙です」


魔神に驚いた太郎ですが、渡された手紙を読み、さらにびっくりしてしまいます。


---前略、過去の俺へ

突然の事で驚いているだろう。

俺は考えた。このランプで何が出来るのかを。

そしてふと思い出した。

あの行商人。その姿を思い出すとあれは俺だったのではないかと。

そうと思えば腑に落ちる。あれ以上の干渉をすればどう未来が変わるか分からない。もっと昔に帰ると俺は乙姫に出会う事もなかっただろう。だからあの行商人と出会う事は絶対であり、俺にとって望ましい事だ。だから俺はあの時代に帰る。

お前も同じ結論に至る事を望む。乙姫は良い女だっただろう?

一つ目はこの手紙を魔神に預けてやがて来る太郎へ渡してもらう。

二つ目はジジババにやるつもりはないが乙姫には持ち帰りたいから金銀財宝がいる。

三つ目はあの時代へと戻る。


さあ、お前も戻るんだ。あまり欲張らずに大きく変えない未来を選べ。

俺はお前が帰った後に乙姫に会いに行く。---


そして太郎も手紙を魔神に渡し、あの頃へと帰っていきました。



そしてそれを見送った太郎は船に金銀財宝を乗せ、亀を呼び出して乙姫に会いに行きましたとさ。

めでたしめでたし。




「というような事は起きるのじゃろうか?」


「難しいですね。いくつか問題点があります」


「ああ。僕も色々と言いたいね」


エールトヘンとマーガレットはローレンシアの言葉にそれぞれ返答をした。キャメロンはいつも通り無言であるし、ローラはタイミングを計っているようだった。するとエールトヘンとマーガレットはお互いに頷きあい話し出した。


「子供」「時間」


どうやら2人の意思疎通は出来ていなかったようであり、それとも優先順位が違うのかお互いの発言は違うものだった。一瞬黙った2人だったがコホンと咳払いしてからマーガレットが譲歩した。


「まずは最初に子供から考えてみようか。僕としては時間の方が重要だと思ったけれど、お嬢様に関する事だからエールトヘンからどうぞ」


するとエールトヘンはマーガレットとアイコンタクトを取った後に話し出す。


「古来より人間というものはその短命さにより深く知性を積み重ねる事が難しくその行動は幼い頃にあっては収束する事が難しく収束させ安定させるための経験を積むために間違いを量産すると言っても構いません。その一つとして殺した相手の子、それもまだ生まれたばかりの子を、自分達が親だと錯覚させて育てて利用しようとする事があります。その場合の目的は、自分達の奴隷のように使う、殺した相手の民族または一族の秘密を育てた子の遺伝子の中に宿る記憶を利用して暴く、自分達に都合の良い嘘を教えて洗脳して使い捨てる、などがあり得ます。この話では最後の選択ですね。これは成功しやすい場合があります。それは極端な分類になりますが知性を持つ存在には性善説で語られるべき存在と性悪説で語られるべき存在がいるからです。

性善説で語られるべき存在が作る社会は、社会の中で互いに助け合い、また、社会を有効に利用しようとするために、親から子だけではなく、その子の近しい者も悪意を持って間違った事は教えずになるべく正しい事を教えます。それゆえにその社会で積み重ねられた遺伝子は子供の内、つまりは情報がたいして蓄積されずにまだ充分な推論を行うだけの知性が育っていない時には教えられる情報が"正しい"ものとして受け入れます。それが元居た社会で生き残るために必要な高い効率だったからです。ではその子を手に入れ自分の欲望のままに操るために育てる性悪説で語られるべき存在Bがいたとしましょう。そうすると、Bは性善説で語られるべき存在Aに育てる過程で自身に都合の良い事を教えます。Aはその今までに蓄積した経験、遺伝子に蓄積した経験、つまりは性質により、それをまず疑う事なく受け入れます。ある程度情報が集まれば自然と推論されて間違いに気づかれるのでBは情報を偏らせて気づかれないように与える情報を制限します。すると自身が間違っているとは気づけないAが出来上がってしまい、Bの都合の良いように行動している事も気づかないようになる可能性があります。そしてその手口がより洗練されると環境そのものから作り変え、その人物が真実に気付くものを排除したり、薬を用いて精神そのものを偏向させる方法へと発展します。以前にも言いましたが、人が知性を伸ばす時にはニーズかエクスキューズが必要です。自身の欲求から必要である場合、自身がそこに何かの違和感を感じる場合、前者は目的、後者は求める自身の理想や完成形を実現する為の知的好奇心、もちろん成功体験の積み重ねによる知的好奇心というものもあります。今しておけば後で楽になるから、やればご褒美が貰える、というものです。ならそれらを与えなければ知性の発達は抑える事が出来るのではないか、となるのです。存在Bがそこまで考えているかはともかくも、Aが気づかないなら自身に都合が良く楽して利益が手に入る為にその状況を維持しようとするのです。誰かに作られた社会というものはそれに従ってさえいれば生活出来るとするならそこに問題意識は形成されません。また、違和感を感じてもその違和感を追求すれば現在の安穏とした生活が失われると恐れを感じれば見て見ぬ振りをしてその社会というゆりかごに揺られ続けようと、殻に包まれたままでいようともします。そして違和感を感じて問題意識を形成する性質を持ち合わせたとしても、その環境そのものから違和感の元になるものが排除されているならその機会は訪れません」


そこで話を区切ったエールトヘンを見てマーガレットが話をする。


「そもそもが神の教えを守り、悪心を退けて根拠が足りなくとも善性を示すものがそのまま意図的に間違いを犯さずに、それこそ性善説で語られるような存在であるとするなら、世界はそのまま調和を保たれやがて知性も育まれ、神の約束した世界が実現された。しかしね、そうはならなかった。幼い知性は魔の誘惑に負け、意図的に間違いを、罪を犯してしまった。その時、神が約束した世界は実現不可能になり破綻した。その方法では実現できない事を証明してしまったの。神は演算し、最も速く最も合理的に到達するための最適解を示したけれど、エルフも人も含めた私達はその最適解の通りに行動する事は出来なかった。その日から私達は神が約束した世界、楽園から追放された身になるの。言い方を変えれば神が望んだ可能性が神の意図しない可能性を生み出したと言えるわ。考えてみなさい。神の一部を、知性をその身に宿してもそれは神そのものではない。その知性の在り方は生と死を繰り返し、未熟な状態と成熟した状態を繰り返す。一方で神は高みから私達を見下ろし、私達を客観的に把握しようとする。客観的に見て正しいと思われる行動も主観から見てその情報の違いから正しいと見えない時もあり、そもそもが理解出来ない時があるわ。それでも神はその差を最初は信仰心で、いずれは自身で推論して充填する事を望まれた。仮に正しい方法があるとして、最初は理解できなくともそれを繰り返す事で経験を積み、やがて検証するだけの知性を持ち合わせた時、それが正しい事が証明されたなら、その方法はもっとも速く正解に辿り着く方法になり得る。神はそれを望んだの。しかし私たちは間違ってしまった。いいえ、神ですら間違ってしまったのよ。高みから見るだけでは私達の持つ暗闇を見通す事が出来なかった。間違いが起こったその日から神の教えを守り善性を示して生活するための利益を得ようとする側と、間違いを、罪を犯す事により利益を得ようとする側が生まれた。例えば飢えている人がいれば食料を分け与えなさいという教えがあったとするね。ではその教えを守って分け与えた者は社会の維持のためにコストをかけた。しかしその教えを守らなかった側はその食料を保持したままになり、分け与えた者より資産的に優位に立つの。また、その飢えている人というのが誰かに食料を奪われた、または搾取されているとしてその人に食料を分け与えるという事は、その奪った、搾取した側を肥え太らせる事につながるの。つまりは、教えに従い善性を示したにも関わらずその行為は社会をより悪化させる結果につながるわ。私達はもはや神の教えに従うだけでは生きていけないの。それは指針にはなっても私達が何も考えなくて良い理由にはならないの。私達が楽園を放逐された後にそれでも神の示した約束の地へと辿り着くためにはもはや性善説で語られるべき者というだけでは駄目なの。それだけでは性悪説で語られるべき者の糧にしかならず、彼らをより増長させて肥え太らせる結果になりかねないの。なぜなら彼らは元々ある行為に存在する瑕疵を、間を悪用し利益を得るのだから。神の教えを全て理性で読み解き論理性を示す事が出来るまではそこには常に瑕疵が生じる可能性があるわ。だからこそ、彼らは私達を約束の地へは近づけさせない。そこに彼らが見る理想の世界はないのだから。だからこそ、その話にあるように、都合の良いように操られない行動をする必要があり、自身の置かれた環境をまず疑う事が必要にあるわ。そしてそれを遺伝子上に刻み込むまでに繰り返す。そうして初めてようやく私達はかうて神が示した約束の地へ向かうための準備を整える事が出来るの。とても効率の悪い事でもあるのだけれど、それでも間違いを犯した私達はそのコストを支払う義務がある。そうしなければ、自身の正しさの証明が出来ないから」


そう話し終えたマーガレットは話の途中で入室してきたマスター・ララに目線を向けて挨拶する。


「初めまして。マスター・ララ。お噂は聞いています」


「それはどうも。マーガレット。こちらもすぐに分かりました。以前お見掛けした事がありますので。そうそう、今度あなたの愛機を見せて頂けないですか。遠くから拝見しましたが興味をそそります」


「それは期待に沿いかねます。僕の機体は特注品でね。やんちゃな子供達に危ない玩具を与えたあなたにはなるべく見せたくないものでね」


「それは残念。ですがバカとはさみは使いようです。自身のバカさ加減との付き合い方も知らずハサミの使い方も理解できない者の事まで私は面倒を見る事が出来ませんので」


「それはエルフの考え方とは違うね。だからこそ相容れないしだからこそ見せたくないの」


そこにエールトヘンが割って入る。


「だからこそ話すべき価値があるとも言えます。それでマスター・ララ、ローラを介さずにわざわざこちらに出向いた理由はなんでしょう」


「ああ、エールトヘン。あなたは実にお人好しです。だからこそ好まれるし私も安心できます。ここに来た理由は簡単で、何やら面白そうな話をしているから来させて頂きました。私も話に混ぜてください」


マスター・ララはしれっと盗聴してますと言ってのけた。しかし聞かれて疚しい事も、そしてマスター・ララがよほどの事でもない限り裏切る事がないのは知っているので気にもしないエールトヘン達はその事実を流した。それよりも話に参加する事にマーガレットは難色を示した。


「マスター・ララ。どうもあなたの言動は教育に悪いような気がします。言葉を選んでいただけるのでしょうね?」


それに対してマスター・ララが言い返す。


「マーガレット。あなたの言動も否定的な部分が多く、私と似たり寄ったりと言ったところです。ならどちらも聞かせて参考にしていただく方が良いと思いませんか?お嬢様には知る権利がある。そうでしょう?」


ニヤリと笑うマスター・ララにマーガレットはそれ以上何も言わず、それを見たマスター・ララは話し始める。


「先ほどマーガレットが言った事ですが、現状で人間には不可能です。人間単体では、ですね。王国では可能でしょう。しかし帝国、そして王国外では違います。誰が広めたか、利息などのシステムが運用されており、富の偏在化は予定調和であり、外に広がり続ける事が出来ない限り、一部を除いて生き残るために行動を強いられ、奪い合いへと発展します。そのために争いをなくすために先取特権などのより早く行動したものが利益を得られる規則が決められ、それが更に奪い合いを助長するように形成されています。つまり、効率を重視するがために"考える"余裕などないのです。考える事で時間を費やした分だけ他者に遅れを取り競争に負ける要因になります。そして勝者は"より考えない事で勝利を得ます"。良い言い方をすれば、勝つために必要なだけの条件を考慮して成立させて勝利する、という事であり、それ以外は除外する、という事です。つまり、自身の置かれた環境をまず疑う事は自身を敗者へと導く事であり、そのような余裕などなく、また、そうなるように仕組まれて社会が形成されています。過剰な能力主義と制限する事ない人口増加により需要と供給バランスを崩し過当競争を誘発し、生き残るためには効率を最優先しなければならない状況を作り出し、考える余裕を失くすことでそもそもが自身の置かれた状況を考える事を失くさせています。その競争による結果はその実績となりデファクトスタンダードとして社会に浸透し、見えない可能性よりも形ある実の伴う結果を生存のリスクなどの不安を避けるためにより選択し、その結果が更に効率を優先して増々競争を激化させます。それを幾世代も継承し、より効率良く行動する選択を行う血統。その日々が、年数が、常に自身の置かれた状況を考える事なく、見せられた形ある実績にのみ依存し選択する行動を繰り返す性質を生み出します。そのシステムが続く限り、そこに生きる人間にマーガレットが提案する方法を選択する余裕などなく選択される事はあり得ません。いずれ、マーガレットの提案する方法を選択する者は長い時間の経過と共にそこに存在する非効率性により競争に負け消える事が確定しているのですから。残るのは自身の置かれた状況や環境すらまともに考えないで形ある実績を元に効率良く行動しようとする者のみで、考える余裕がなくなるように社会を組めば、考える事が出来なくなり、誰も間違いに気づく事がないままに社会はさも機能しているかのように続きます。そんな彼らが間違いに気づく事はないかも知れず、それは社会が機能を失い戦争や内乱に至ったとしてもです。その効率の中で"考える"とは誰かが与えてくれた知識を"より正確になぞる"事にすり替えられます。そんな彼らがその知識から逸脱した判断が必要になる、自分の置かれた状況を考える事などないのです。なぜならそれらは彼らの持つ知識の範囲になく、なぞれないからです。そして、その範囲にない情報を考える知性が育っていないからです。なぜなら自身が生き残る事だけを考えるなら、形ある実績を真似る事が一番確実で信頼があり、他者の事など考慮しなくて良いのですから。」


マスター・ララが言い切るとマーガレットは苦々し気に言葉を返す。


「それはつまり社会が存続するための行動をしない、という事だよね。その行動が今まで生き残るために行なって来た行動であり、実績と信頼があるから行うが、そもそもその行動が社会の規模で求められる基準を満たしているかは判断出来ないし、判断する事もないという事だよね?自分達の行動が社会にとって不利益になっている事は薄々と気づいていながらも保身の為に止める事が出来ないという結論ね。自分達の行動の結果で社会の崩壊や戦争になったとしてもそれがどうやって結果に結びついたか考えるだけの知性は育っていないし、考えると不都合だから考えない。そのように人間の社会は歪んてしまう、という事で相違ないね?」


やや強めなマーガレットの話しかけにマスター・ララは首肯し答える。


「勿論です。空間的にも時間的にも積み重ねられたその行為を修正する事は難しいのです。その間違いの蓄積で戦争に発展してしまう規模の社会で行う必要のある基準を満たした行動と言うものが分からない。そのため、その規模より小さい規模では問題のなかった行動を取り続けようとします。何より問題なのはその行動を取り、戦争などの結果に辿り着いた場合、その結果を生み出した大多数が死んでしまうという事です。そしてその教訓は活かされません。チャレンジアンドレスポンスの結果が死ならレスポンスは活かされないのです。そして生き残ったものは教訓を得たようには動きますが、やはりなぜ戦争に至ったかの認識が足りない為に以前と同じように行動し、自分達が知らない内にまた戦争に至る原因を蓄積していきます。なぜそれで成立するかと言えば、数が減り、また広がっていけるからです。そしてその成功体験がまた間違った認識を深める結果になります。」


その言葉にマーガレットはやはり好ましくないような顔をして言葉を返す。


「まるで罠に誘い込まれた弱軍のようだね。勝てると思って進むは良いが、実は罠に嵌っていて気づけば既に手遅れ。なまじ自分達を強いと思っているからこそ気づかぬままに破滅へと突き進む。誰しも自らが優勢だと思っている時は最大限の利益を得ようと考えるものだから。しかしそれが自身の能力で得られた優位か他者がそう形作ったから得られた優位かの区別がつかないという事ね。ある時点の状況は静物でありスナップショットでしかなく、その状況は自身に有利になるように状態遷移するか不利になるように状態遷移するかの違いはそこにはない。その情報はそれまでの経過にあり、またクリップした情報以外の環境にある、しかしそれを考える事が出来るように社会が組まれていない事に気づけないならそこに気づく事も出来ない。だから同じ過ちを繰り返し戦争は繰り返される。エルフは何度も教えたはずだけれどそれでも人間は、目の前にある形あるものに、形ある実績に、自身の生命の危険に対する不安を紛らわすためにしがみつく。そしてそこにある結果から自身の行動が正しいと認識して行動する。しかしそれは形成する社会の規模では基準に足らず間違いを内包し蓄積する結果となる。でも、まだあるよね?僕は知っているよ?人間が滅びる別の原因を。今、マスター・ララはあえて触れなかったよね?不可能性となる原因の一つを。」


そうマーガレットが少し冷めた目付きでマスター・ララを見るとマスター・ララはニヤリと頬を上げ話を継ぐ。


「戦争が起き生き残った者が次の社会を作るとします。生き残った者のうち、一部はそれまでの行為行動のどこかに問題があったのだと反省して過ちを繰り返さないようにするでしょう。しかしそうではない者達もいます。自分達の行動の結果、間違いが蓄積し戦争に至った時、戦争の結果として自身が生き残った。それはつまり自身の間違いを償わなくて済む結果を得、成功体験として刻まれるのです。そして同じ事を繰り返せばより楽に利益を得る事が出来、その責任は他者が死ぬ事であいまいになり償わなくて良いと考えるものが現れます。数多くの組み合わせの内、条件を揃え成立させたものが成功とみなされ、それ以外の部分は失敗になります。成功するより失敗する方が容易く、その結果として損失を被りますが、もし失敗しても罪に問われる事無く、そしてその失敗の副産物として利益を得る事が出来たとするならそれは、その当事者にとっては"成功"として捉える事も出来るのです。実際には属する社会の規模においては基準を満たす事が出来ずに"失敗"ですが、個人としては"成功"しており、よりコストをかけずに利益を上げる事が出来、失敗は容易なために"誰にでも"行う事が出来る場合が多い。その誘惑に勝てないのが人間であり、その間違いに気づく時はそのチャレンジアンドレスポンスの結果、自身に不利益を生じる時であり、そしてそれは大抵死ぬ時です。ですのでその人物がそのレスポンスを活かす事はありません。そして、そういった考えに至る事が出来る人物と言うのはそれまでの生き方でその性質を強めており、他者から言ってしまえば自制できずに暴走しつまり自暴自棄であり刹那主義者とも言えるような状況にまでなっているがやはり自制も出来ない為にそれに気づいておらず止める事もないのです。そのスパンが5年や10年といった規模ではなく、自身が80年生きると仮定すれば80年は誰かに罪を問われる事無く騙し切れば良いとも考えます。その結果、社会の寿命がより短くなったとしても自身が死んでしまえば関係ないと言い切ってしまえるのです。小は個人の一生で最大限の利益を得さえすればよいと考え、大は自分達だけ最大限の利益を得る事が出来れば良いと考える、それが人間です。求められるのはもう1ランク上の知性だとしてもそもそもが欲望を優先した者にはそんな事はどうでも良いのです。マーガレット、これで良いですか?」


「ええ、隠さず言ってくれてありがとう。僕は君があえてその事実を言わない事に多少不満を持ったけれどとりあえずは矛先を収めるよ」


周りの事などお構いなしに2人の話合いになってしまいエールトヘンは若干頭を抱えそうになり、そこにローレンシアがようやく口を挿む。


「つまり、わし、要らん子か?」


これにはさすがにエールトヘンも慌てた。それはそうである。途中まではマーガレットの話で上向いていた話がマスター・ララの乱入で下げに下げまくったのだから、聞いていたローレンシアからすればダメなコ扱いでそう思いたくもなる。マーガレットもマスター・ララもフォローを忘れて話を切り上げた事に『マズイ』とは思ったがエールトヘンが代わりと言わんばかりに話し始める。


「お嬢様、お嬢様の話にあったように太郎も自ら気づいたではありませんか。人には知性の持つ可能性が残されています。それゆえに人は欲望のみに突き動かされる獣である事から脱却出来たのです。事象の終着点において社会を安定させるだけの情報が得られた時には何が間違いか分かる事になります。その状況に至った時、人間は欲望に支配されたままの自滅する運命から逃れる事が出来ます。ですのでお嬢様、お嬢様の目指すところはまず個人の規模でその状態へと到達する事です。まあいわゆる"悟りを開く"、"天の頂きに達する"、"解脱する"、"真理に到達する"など色々と例えはありますが、私達の行為行動を表すパラメーターを全て解き表しそこに矛盾がなければ、その情報を用いて間違いを正す事が出来ます。それは一つの標準器として作用し、社会を、世界を、より善き姿へと導くでしょう。人間にはその可能性が残されています。私達の役割はお嬢様がそこへ少しでも近づく事が出来るように配慮する事です。私達が付いています。ご安心を」


その言葉にローレンシアはほっとしたが、そこにマスター・ララがまた割って入る。


「ではエールトヘン。そうするにはどうすれば良いかですが、そもそも人間がそこに辿り着けるとお思いですか?」


元々ももたろうの話はそういった話ですので。

綺麗になっていますが他人の子を鉄砲玉にしたお話ですよ、あれ。


その環境そのものから違和感の元になるものが排除されているならその機会は訪れません。

-->「パンがなければお菓子を食べれば良いじゃない」

-->マリーアントワネットも充分社会の被害者ではあります。それを気づけずに殺した民衆の側にこそ罪は存在します。自分達は社会の不都合により正当性を訴えて革命をしましたが、社会の不都合により自身の知性に問題が生じる事になったマリーアントワネットを何の検証もなしに、感情論で殺したという罪があります。また、マリーアントワネットはその貴族令嬢としての優良さから得られた地位にいただけであり、マリーアントワネットを殺した事自体は間違いです。そもそもが、マリーアントワネットを殺した側の人間の大半は同じ状況になれば同じ結末に至ったでしょう。なぜなら、現在の社会に生きる先進国の人間は同じ状況だからです。浪費して快適な生活をしているが、電気、ガス、水道など"自分自身だけで"作ったライフライン上に居ません。だからそのライフラインの維持がどのように行われているかをほとんど理解していないかあいまいなままです。よくアニメで風刺されているように、私達の生活は余所の国の争いにより成り立っています。他者を食い物にしてそこから利益を生み出しています。さて、これより将来で、その他者から"お前たちの生活は俺たちの血の苦しみの上にあったんだ。よくも苦しめてくれたな。死ね!"などと言われたら大抵の人間は"知らなかったんだ"と答えて言い訳をするでしょう。さて、それはマリーアントワネットと何が違うのか、となります。マリーアントワネットを殺した側とそれに賛同した集団の末裔である私達は今何をしているのでしょうね。

何度も書いていますが"犯罪者とは社会が作り出す"ものです。一つは社会そのものが犯罪を定義するからで、もう一つは社会がその不完全さにより情報の間違った伝え方や育て方の間違いにより犯罪者が生まれます。個人の性質も大きな影響ですが、そうなるように偏向させたのも環境、社会です。

勿論マリーアントワネットの発言が良いとは言いません。ですが彼女は実情を教えられなかった。そして女性の役割はなるべく劣化をさせずに能力を継承したままで男の子を産み育てる事です。そこに男性の役割である社会の維持など含まれていないわけです。では現在社会で、役割分担した私達が自身の分野以外の失態により生じている自分の分野の矛盾点を、他者から指摘されたらどう答えるか。大抵は「そんな事知るか。俺が悪いんじゃない」です。さて、マリーアントワネットはどう悪かったんでしょうね。現状において"自分は良くて相手は駄目だ"と言っている事を証明したに過ぎずそれを改善して解決する気もない私達にその権利があったのでしょうか、となります。

ここまでの話でマリーアントワネットを殺した理由は感情論しか残らない事になります。つまりは「殺したいから殺した」という結果になります。それはつまり社会に依存し、考える事なく他者をあてにして、自分からは何の行動も起こさずに、ただ誰かがなんとかしてくれるという淡い期待を裏切られ苦しめられた感情のはけ口を求めた、という事に過ぎません。こういった解釈もあると思ってくださって結構です。押し付ける気はありません。私に言える事は、マリーアントワネットを殺したのは勿体なかった、という事です。それまで保った血統を感情論で捨てた事は暴挙だと思います。まあ、その周囲の歪んだままの男達がいる限りは何も変わらないままでしょうが。

後、時々見かけますよ?現代社会でも、男にあてがうためにバカなままでいるようにするため周囲があえてそうなるように育てた女だとか。それは誰が悪いんでしょうね。


余談ですが、どこかで人気な「ハガ〇ン」ですが、確か最初のアニメ放送ではストーリーが違い、それに都合が悪かったであろう連中が、今人気が出ているとされるストーリーに上書きしたと思われます。つまりは、俺たちの言う事を聞けば人気が出ている事にして金を稼がせてあげるから従え、というような話があったかもしれません。あくまで私の妄想です。私はそのアニメをほとんど見ていません。ただ、丁度1つの放送回の場面を見る事があっただけです。そのシーンではエドとホーエンハイムがどこか異世界に飛ばされ(それは私達の世界で第2次世界大戦中だと思われる)、そこでホーエンハイムが言います。完璧に覚えていないので意訳になります。

「俺はほっとしている。等価交換など成立しない事に。等価交換とは、どこか異世界での戦争によって死んだ人間の魂を糧にして成立しているものだと分かってほっとしている」というようなセリフを言っていました。今のハガレンのストーリーをちゃんと知りませんがこんな話ではなかったと思います。


リメイクや翻訳を重ねる度に元々伝えたかったメッセージというものが、意図的に省かれる事がありますのでそういった事も注意して見る事が必要になります。


また別の時に何処かにメモしますが、聖書でも同様の事が起きている様です。現代聖書において「世界の初めに言葉があった」という部分があり、ここに"word"という単語が使われています。古いギリシャ語の翻訳書にはここは「logos」だったそうです。この話が正しければつまりは、「論理」が「言葉」にあえて誤訳されて広まっている、という事です。これはグラフ上の「点」と「数式」程の違いです。「位置」情報と「速度」の違いとも言えます。つまりは元の分は「世界の初めに法則性があった」などとされる部分が「世界の初めに言葉があった」となっているわけです。つまりは一段階、情報が劣化している事にされています。

これは誰にとって都合が良いかという事になり、世界を見る際にどう都合よく見る事が出来るかという事になります。先に数式がありそれに従う事が基準だとします。次にその数式が分からない事から「点」を用いて近似して数式を逆算するとその差が「つけいる隙」だという事です。あえて望む誤差を生むように点の数を調整し、また、あえて偏位した点を抽出する事により、その近似は元の数式よりずれる事になります。それが自身の利益をより多く得るために都合が良いのならそれだけ楽して利益を得る事が出来ます。


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