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025 お嬢様とローラ

マスター・ララが立ち去った後、壊れた壁をララが器用に修理する様子を眺めながら、ローレンシアは先程新たに判明した事実を考える。



テレパシー、そう、テレパシーだ。

もしかすると自分は今まで周囲にただただいろいろアレな事を漏らしていたかも知れないということに衝撃を受けた。

そんな私にララは不意にとんでもないことを言ってきた。


「お嬢様は色々お漏らしして大変」


もしかして今も漏れていたのだろうか、と思わずその言葉にドキッとしつつもララに聞いてみることにした。


「なぁ、ララ。今、わし、何か漏れてた?」


そのローレンシアの問いにララは顔を向けずに壁を見ながら答える。


「いいえ。今は漏れていません。良かったですね。エールトヘン様とのやり取りの中で自然とある程度は制御できているようでございます。ですが完璧かどうかは分かりません。ですのでお嬢様のは漏れパシーですね」


ララは事も無げにさらりと言ってのけ、その一言にローレンシアは少し不機嫌になる。


「ララ。もう少し物言いがあるじゃろう」


「お嬢様。屋敷内ではそれでも良いですが、外ではローラとお呼び下さい。マスター・ララと間違えられます。

間違えられる度に皺が増えそうです。

後、エールトヘン樣が褒めて伸ばすタイプのようですから、あえて私はからかって伸ばすという辛い選択を・・・」


などと口の滑りが絶好調のララ。涙を拭く振りをしながらも、口元が笑っているララに『今は我慢』とローレンシアは堪える。

ララの口調に不機嫌なローレンシアだがどこまで漏れているのか確認するほうが先決だと思う事で会話を進める。


「しかしじゃ。なぜローラなのかわからん。ララでよいじゃろ?」


「いけません。ララは折角生体型高性能アンドロイドロボ()という設定があるのです。ロボ・ララ、略してローラ。これでいきましょう」


「今、設定って言った!素直に親子で良いじゃろ」


「それでは面白みがありません。人生は短いのです。楽しみましょう」


「それを乳児に言うオヌシもすごいのぅ・・・」


そこにエールトヘンが割って入る。


「お嬢様。訓練の時間です。あまりお気になさらず。カリキュラムには組み込みますのでその内自然と制御が出来るようになるでしょう。今までも問題なく過ごしていらっしゃいましたのでそれほど問題にならないと思います。もし本当に漏れていたら誰かしら『幻聴が聞こえる!』などと言っていたかと」


エールトヘンはローレンシアを安心させようとするがそれでもローレンシアは落ち着かない。


「でも、でもじゃ。もし漏れていたとして、わしはどれだけ恥ずかしい事を漏らしていたのか考えると居ても立っても居られない・・・」


「まあそうおっしゃらず。実際お嬢様は座っても立ってもいませんからね。寝ているか浮遊しているかのどちらかです。つまりいつもの通りだという事です。さあさあ、訓練を始めますよ」


エールトヘンのその一言に、「あれ?ならいいのか?」と思わず納得しかけてから「それは違う」と言おうとしたがエールトヘンに促されるままに訓練を始める事になるローレンシア。


しかし訓練を始めてももし漏れていたらと考えてしまう。もしあの時の考えが漏れていたら?あのゴニョゴニョな妄想が聞かれていたら?などと気が気でない。

赤子だから見た目からはわかりにくいがソワソワソワソワしているローレンシアにララからの一言が。


「大丈夫。今はお漏らししていない」


「なぜ今考えている事がわかる!?」


「お嬢様。注意力が散漫だからローラの言葉に反応してしまうんです。さあ、ローラもああ言っています。ほら、気を逸らすから人形が落ちるんです。しっかりと支えて。そうです。その調子です」


思わずローラの一言に反応してしまったためローレンシアは念動力(サイコキネシス)で動かしていた人形を落としかけてしまい、そこをエールトヘンに窘められる。


「しかしじゃ。気になってしょうがない!誰かにずっと見られている感覚、あれと同じなんじゃよ・・・」


そのローレンシアの一言にエールトヘンは穏やかな笑みを浮かべながら答える。


「お嬢様。あまりお気になさらず。それほど深刻なら私が気づいていたでしょう。それに今はローラも居ます。今は訓練に集中して早く制御できるようにするのが良いでしょう」


「そう。お嬢様はお漏らしした時の事を心配するよりお漏らししないようにがんばるべき」


横から目敏く茶々を入れるローラ。


「ぐぬぬ・・・。しかしじゃ、なぜエールトヘンは簡単にローラって呼び方を受け入れているんじゃ?」


その問いにエールトヘンが答える前にローラが割って入る。


「お嬢様。エールトヘン樣はローラって言ってます。お嬢様は子供なのに柔軟性が無さ過ぎです。もっと伸びやかに。あるがままを受け入れて下さい」


「受け入れているからローラはおかしいって言っておるのじゃ!」


「ですがお嬢様。親子なら私もシュプレンティーンですからどう呼んでも二人とも反応しますよ?

それとも大ララ、小ララとでもお呼びしますか?それならローラでもいいじゃないですか」


「くっ・・・。マスター・ララの気持ちが段々分かってきた。

もういい。わかった。ローラでいい」


「さすがお嬢様。話せば分かると思ってました。

後はお漏らししそうかどうかも分かってくれれば・・・」


「ぐぅ・・・。おのれ、今に見ておれ」


ローラに良いように言い負かされたローレンシアはつい負け惜しみを言うがそれにエールトヘンが反応する。


「その意気です。お嬢様。さあ、手元が疎かになっております。集中です」


ローレンシアは横目でララを見た後、我慢我慢、と思いながらエールトヘンとの訓練を再開した。

その横で『そう、我慢我慢、です』と細目(こまめ)に言葉を拾うララ。

ようやくローレンシアがララの言葉に反応しなくなって、ララも黙々と部屋の修理を再開する。


新たに判明した能力の訓練も加えられ、やる事だけがますます増えていくローレンシア。

精神感応(テレパシー)はどれだけ制御できるのか、誰とチャネリングできるのか、今まで漏れ続けていたのかなど調べる事が多くて忙しい。

幸いにも周囲にローレンシアの声を聞ける人物はエールトヘンとララ親子だけであると分かり、後はローレンシアが漏らさないようになるまで特訓あるのみだった。



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