転生したら水筒だった件 後編
第七話 もう一つの大作戦。
なんで僕の住んでいた町にあるんだ?
そもそも僕の町だったらとっくに更地になっているはずじゃないか。
この感覚。
大木の隣だぞ。
まさか過去?僕は僕の世界の過去にいるのか?
そのとき僕はとてつもないことを考えてしまった。
彼女と僕を助ける方法。
悪魔の思いつき。
そしてそれはもう一つの大作戦。
僕はこの世界をぶっ壊して世界を助ける。
どんでん返しの大作戦だ。
第八話 悪魔の作戦
事実をまとめてみよう。
1、僕は内部高圧型噴火にあった。
2,僕は水筒の体を得た。
3,水筒の体が近衛山大噴火にあった。
4,僕の破片は世界中に散らばった。
5,僕の破片は世界中に散らばった。
6,僕の破片は僕の住んでいた町の過去にある。
ここから3つの事が求められる。
1、噴火口付近で内部高圧型噴火に遭うと転生する。
2,遠くで内部高圧型噴火にあうと世界中に転送される。
3、内部高圧型噴火の転送では時間をも超える。
このことを博士に相談したところ面白い事が聞けた。
「1の転生だけど2と同じなんだと思うよ。
転送されるまでに砕けるほどの時間が無くて体そのものが転送された先が水筒と重なり、水筒と一体化したんじゃないかな。
二回目の噴火にあったから確かめようがないけど。
3も多分あってるよ。」
確証を得た。
後はやるのみ。
待ってろよ。彼女。
僕は人工的に近衛山大噴火を起こし、転生することにした。
今から初めて一番噴火がしやすいのは北海道の浅山だった。
僕の転生時の噴火である。
多分僕の大古した噴火によって転生するのだろう。
僕は自分を滅ぼしたあの大厄災を起こし、さらなる大厄災をも止める。
人工的にしか起こらないはずの内部高圧型噴火が起きたのはこの為だろう。
待ってろよ。必ず助けてやるからな。
第九話 決戦準備
目を開ける。
知らない天井だ。
時刻を確かめる。
現在は2034年12月13日午前8時03分。
噴火まであと約49時間。
現在いるのは東京都港区。
神宮市まで行くにしろ3時間はかかる諸々の準備を考えると作戦開始は12月14日午後9時。
まず行くべきは大阪だ。
僕一人では軍にかなわないだろうし銃もほしい。
手に入るのはあそこだけだろう。
いけるかいけないか。
拒否はさせない。うなずかせてみせる。
「だから大勢の人が死ぬし、あなたたちの基地もなくなるんですよ?」
「証拠は?」
「証拠はありませんが航空写真を見ても可能性はうかがえるでしょう?」
「なぜ今なんだ?時間はあったでしょう?それになぜ時間を知っている?」
「言うことは出来ませんが理由があるんです。」
「お前が東日本軍ではないという証拠はあるのか?」
「無いですが、何でもします。だからお願いします。」
「どこの馬の骨かもわからないやつに武器は渡せん。帰れ。噴火が起きたら考えてやる。」
「噴火が起きてからじゃ遅いんです。何千万人も死ぬんですよ。」
「戯れ言かイカれた空想だとしか思えん。追い出せ。」
「信じて下さい。お願いします。」
「断る。」
「おねがいします。」
「帰れ。」
僕はうなずかすことが出来ず、追い出された。
「やあ。
こんなところに入ってどんな話をしていたのかな。
ちょっと話を聞かせてくれないかな。」
そこには東日本軍がたっていた。
「吐け。」
「嫌だ。何があっても吐くものか。人殺しどもめ。」
「これでもか。」
僕の体に鞭が入る。
「ああ。それでもはかない。
殺人鬼どもに吐く言葉はない。」
「お前は西日本軍か?」
「違うな。」
「じゃあ何なんだ。」
「平和主義者だ。」
「平和主義者がテロなんて起こすわけ無いだろ。」
「お前らを倒したら平和になるだろ。」
「頭悪いとかは言われなかったか。」
「頭が悪くともやらなけりゃならないことがあるんだ。」
「何だ。言ってみろ。」
「愛してる人がいるんだ。」
奴らは笑った。
「大丈夫だ。もう一週間もないうちに西日本軍は滅びる。」
「滅ぼさせん為に僕がいるんだ。」
「馬鹿め。もういい。
お前ら。拷問しとけ。」
「はい」
「吐かないからな。」
やつがいなくなりやがった。
「おいお前。早くはいた方がいいぞ。」
僕はひもから抜けた。
そこら辺に転がっていた棒を手に取る。
僕は鞭を持ったやつの頭を殴った。
やつはうめいた。
僕は突っ立っているもう一人の頭も殴った。
やつの持っている銃で二人を撃った。
銃声を聞きつけてやつが戻ってきた。
「おい殺すなって言っただろ。」
やつめ。
人殺しめ。
殺人鬼どもめ。
「名前だけは聞いてやる。」
「誰に向かって聞いている。
私は東日本軍第三軍大佐の阿津 雅史だぞ。」
「そうか。」
僕は手榴弾を投げた。
「僕は阿部裕一郎。
今度お前を殺すものだ。」
手榴弾は爆発した。
僕は走り抜け、向かってきた兵は全員殺した。
撃った。
撃った。
撃った。
撃った。
僕は三人の首を切った。
銃を持ち、その首を持ったまま西日本軍の基地に向かった。
「通報したのはお前だな。」
「なんで生きてるんだよ。」
僕は生首を机の上に置いた。
「協力しろ。
いいな。」
やつはうなずくしかなかったようだ。
第十話 近衛山攻防戦
僕は銃を向けた。
「命だけは助けて下さい。」
僕は撃った。
仕方ないもの。
近衛山火山国立研究所。
表向きは研究所だが実際は内部高圧噴火を起こすための場所だった。
僕はここを制圧した。
表向きに警備員をおけないところだし、奇襲だし、人数も少なかったから簡単だった。
やばいのはこの後だった。
奴らは東日本軍に援軍を呼んだため後30分もすれば来る。
援軍が来たら長くは持たないだろう。
西日本軍は物資を支給するが援軍は東日本軍の行動によって変えるそうなので僕が研究所を制圧してから20分ほどでこれるらしい。
もし早くに東日本軍が来たら大変だ。
僕一人で太刀打ちするためにはゲリラ戦をやるしかない。
そして僕は一番の目的を始めた。
僕は町中20カ所に仕掛けた爆弾を爆発させた。
「現在神宮市でテロが行われております。
神宮市、前崎氏、天報市のかたは直ちに市外もしくは指定のシェルターに避難してください。
繰り返します。現在神宮市で・・・」
これで完了だ。
避難してくれるだろう。
銃声が聞こえる。
「30分かかるって聞いてたんだけどな。」
僕は応戦した。
研究所各所に仕掛けた爆弾。
トラップ。
いきなり現れる研究所の構造を網羅した僕。
僕は奮戦した。
走っては撃ち、走っては撃ち。
けれども相手が多すぎた。
すぐに僕は劣勢となり、けがも負った。
しかし西日本軍は早くは来なかった。
そのとき奴らは僕にとどめを刺した。
「さきほどまで流れていましたサイレンは訓練です。
訓練だと伝えていなかっただけです。
もう一度繰り返します。
先ほどまで流れておりましたサイレンは訓練です。・・・・」
あいつらどういうつもりだ。
訓練だと言っておきながら町中で戦うのか?
まさかっ。
ばかな。
僕にはもう打つ手がないじゃないか。
あいつら全ての軍を山に向かわせて一秒でも早く噴火させる気だ。
西日本軍が来て避難させる前に。
僕にはこの放送を止めることは出来ない。
ここを守りながら麓の放送所を取り返すなんて出来ない。
どうすればいいんだ。
打つ手なし。
時間道理に西日本軍が来たとてすでに僕は殺されて噴火は始まってしまう。
どうすればいいんだ。
どうすればいいんだ。
どうすればいいんだよ。
どうすればいいんだよ。
第十一話 鬼
僕は一つの結論にたどり着いた。
僕が死んででも彼女を救う。
なんせ僕は彼女のために生きているんだもの。
せいぜい5分は持たせてやるよ。
幸い武器はほぼ無限にある。
「やつが出てきたぞ。撃てえ。」
僕は彼女のためにこの命を捧げる。
ズドドドドドッ。
「逃げも隠れもしねえよ。
全員ぶっ殺してやる。」
ズドドドドドッ。
「あれは。
あれは私が昔この目で見た。
鬼じゃ。」
悪魔の形相。
撃たれど進み立ち向かってくる。
まさに鬼。
ズドドドドドッ。ズドドドドドッ。
まだまだ兵はいるし、奴らが持っているのは銃だけじゃない。
爆弾も効果的に使おう。
いきなり現れ連射をし、逃げたと思ったら爆弾が爆発する。
研究所は一瞬で地獄となった。
戦車が入る隙も無く、出来るのは味方をも巻き込んだ砲撃のみ。
しかし長くは続そうになかった。
阿部の体はひどく消耗していた。
もう隠れるところも設置した爆弾もなかった。
何より彼の体はボロボロだった。
「関西軍が来るまでは死んでたまるかっ。」
阿部は粘りづよく戦い続けた。
そしてついにそのときが訪れた。
阿部は撃たれ、倒れた。
東日本軍が彼を取り囲んだ。
「やはりお前は愚かだな。
この量の軍に勝てるとでも思ったのか?」
その声は阿津だった。
「勝てるさ。勝ってやるよ。」
阿部は手に持っていたものを投げた。
それは爆弾だった。
「言ったよな。俺がお前を殺すって。」
彼は少しだけ後悔した。
彼が彼女と会えなかったことを。
だか反面満足していた。
彼女を救うことが出来て。
爆弾は爆発した。
その爆発は全てを吹き飛ばし、麓の人たちも危機感を覚えるほどであった。
そして駆けつけた西日本軍もそれを見た。
最終話 彼女
「起きろ。起きろ。」
僕は起きた。
生きている。
僕は生きている。
そこには西日本軍がいた。
「研究所は制圧した。
麓の人たちも今避難させてる。
東日本第二軍は俺達が相手してる。
俺達の勝利だ。」
ああ。よかった。
「なぜ僕は生きているんだ?」
「何でかわからないんだがなあ。
東日本軍の大佐がお前をかばってたんだよ。
お前を殺そうとしていたはずなのになあ?」
阿津の野郎め。
なんであの土壇場になって俺を助けた?
殺すのではなく救うという選択肢をとった?
「その大佐は?」
「さっき死んだよ。全身やけどだった。
生きてるじたい奇跡だったんだよなあ。
そいつが最後言ってたんだよ。
何で助けたんだって聞いたらさ。
あいつには愛してるやつがいるからだってさ。
お前のことを褒めてたぞ。
あいつはいいやつですごいやつだってさ。
絶対に救ってやってくれって。」
なんで俺を助けたんだよ。
お前の方がよっぽどいいやつですごかったじゃねえか。
なんだこれ。
涙。
ありがとうよ。阿津。
お前が一番すごいやつだよ。
「少佐。北西の前崎市の最後の避難民が東日本第一軍の残党と衝突しそうです。
ここからだと近いので誰か行ってくれませんかね。」
「でもこっちの軍はほとんど東日本第二軍討伐隊に回したから残ってねえなあ。
少しの人しかいないが出来るかな?
それも率いる少佐がいないし。」
「僕が行きますよ。」
「うごけるのか?」
「ええ。ちょっと痛いですが難なくうごけます。」
「行って来てくれるか。」
「喜んで。少佐。」
「行くぞお前ら。」
「うおおおおおおおっ」
阿部たちは山を下っていった。
「やっぱりあいつはすげえよ。」
「ですねえ。」
「さて。おまえら。引き上げるぞ。噴火させるんだ。」
大声を挙げて突っ込んできた自分たちの仲間を殺した鬼。
死んだはずの鬼。
第一軍の残党はこれまでに無い恐怖を抱いた。
死の恐怖である。
残党討伐隊は二手に分かれた。
避難誘導をする半分と残党を追いかける半分。
その後安全地域で会うことになっていた。
阿部は当然ながら残党討伐隊である。
「うおおおおおおおおお。」
残党は逃げた。
ものすごい早さで逃げた。
だがそれに匹敵する早さで阿部たちは追いかけた。
「おーい。残党ども。
今捕まってくれたら殺さないでやるぞ。」
残党はすんなり捕まってくれた。
避難誘導隊と落ち合ったとき僕は何か不思議な感覚がした。
僕は見つけた。
この感覚を感じた人を。
彼女は僕を見た。
涙が出る。
なんだ。これ。
おかしいな。
なんで僕はこんなに泣いてるんだろう。
彼女は言った。
「私は。あなたを知っている!」
今までの苦労がどっか行っちまった。
ただ涙が出る。
体が震える。
僕も彼女を知っていた。
彼女はまさに。
まさに。
僕の愛した彼女だった。
「ずっと。ずっと。大好きでしたっ。」
僕はそれをいうことしか出来なかった。
轟音がした。
近衛山が崩れてゆく。
彼女の目からも涙が落ちた。
彼女はゆっくりと微笑んだ。
僕らの間には暖かい風がずっと遠くまでながれていった。




