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死にかけるたび仲間だけが最強になる俺の異世界逆チート 〜攻撃力ゼロなのに、残念美少女パーティの強化素材にされました〜  作者: KoiToHimitsu
第二章 レベル999の夢

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第20話 夜の静寂

悠真は口の中が乾くのを感じた。


エレノア、セリア、使用人たちは動かないままだった。


ルリカは帽子を強く握っていた。


ノノアはポケットを探る手を止めていた。


リーゼでさえ、黙っていた。


一瞬、部屋から暖炉の音まで消えたように感じた。


それから光輝が視線をそらした。


「寝る」


ただ、それだけを言った。


返事を待たずに背を向け、部屋を出ていった。


扉が彼の後ろで閉まった。


悠真は立ち尽くしていた。


(これ、何になってきてるんだ? 怖いんだけど)


次の瞬間、十人ほどの使用人が一斉に入ってきた。


全員が笑顔だった。


全員が無言だった。


「お休みの時間でございます」


「悠真様、お部屋はすでに暖めてございます」


「ルリカ様、安眠用のお茶と、寝つきのための礼儀作法の本をご用意いたしました」


「ノノア様、夜間訓練用の錠前は滅菌済みでございます」


「リーゼ様、厩舎は整備のため閉鎖中でございますが、ベッドには石のような質感の毛布をご用意しております」


リーゼの目が輝いた。


悠真は彼女を見た。


「リーゼさん、それに引っかからないでください」


「石の質感……」


「リーゼさん」


使用人たちは、拒む隙を与えないほど丁寧に近づいてきた。


数分後、それぞれが各自の部屋へ案内された。


部屋の扉が閉まった瞬間、悠真は動きを止めた。


待った。


それから鍵穴に近づき、のぞいた。


(よし、誰もいない)


ゆっくりと扉を開けた。


廊下には誰もいなかった。


(パーティを集めないと。これはホラー屋敷になってきた)


悠真はつま先立ちで外へ出た。


夜のルミナリア邸の廊下は、昼間とは違って見えた。


昼間は、清潔で優雅だった。


今は、高い窓がただ影だけを映している。古い英雄たちの絵は、通る者を見ているようだった。光の結晶もかすかに光るだけだった。


悠真はゆっくり進んだ。


自分の足音が、いちいち大きすぎる気がした。


(勇者って、普通は隠密も最大値じゃないのか?)


止まった。


(俺は勇者じゃない)


その考えで、さらに悲しくなった。


廊下の奥から、二人の使用人が近づいてきた。


悠真はパニックになり、巨大な壺の後ろへ飛び込んだ。


壺が揺れた。


悠真は両手で押さえた。


壺が左へ傾いた。


次に、右へ。


底が床をこすった。


ギギィ。


使用人たちが止まった。


悠真は目を閉じた。


(生き延びたら、二度とステルスビルドを馬鹿にしない)


使用人の一人が壺の方を見た。


もう一人は歩き続けた。


「あの方の様子を見に行きましょう」


「はい」


二人は横の扉を通っていった。


悠真は足音が消えるまで動かなかった。


(ん?)


使用人たちが入っていった扉まで、廊下を進んだ。


ドアノブに手を置いた。


心臓が喉のところで鳴っていた。


「お前らが何を企んでるのか、今ここで暴いてやる!」


勢いよく扉を開けた。


部屋は空だった。


完全に空だった。


白い壁が四つ。


清潔な床。


閉じられた窓が一つ。


家具もない。


使用人もいない。


通った痕跡もない。


悠真は入口に立ったまま、何もない空間を見つめた。


「怖っ」


「何が怖いのですか?」


悠真は飛び上がった。


「うわああ!」


踵で回り、肩を戸枠にぶつけ、純粋な運動神経のなさだけで膝から崩れ落ちかけた。


エレノアが彼の後ろにいた。


軽い寝間着姿だったが、腰にはまだ剣を下げていた。金髪は片方の肩に落ち、青い目は静かだった。


「エレノアさん、どうやって俺を見つけたんですか?」


「どうやって? 足音で目が覚めました。壺が倒れかける音も聞こえましたし、気配も……」


悠真は手を上げた。


「分かりました。もう結構です!」


エレノアは廊下を見た。


「セリアの下僕たちに見つかる前に、あなたを部屋へ連れ戻します。彼らは夜に廊下を歩く者を無差別に襲います」


その言葉が終わった瞬間、彼女の手が剣へ下りた。


刃が銀の閃きとなって鞘から抜けた。


彼女の背後で、黒い下僕が壁から跳び出していた。


液状の影でできていて、長い腕と、虚ろな濃い紫の目を持っていた。


エレノアは体をひねった。


爪が首に届く前に、剣が下僕を斬り裂いた。


影が二つに裂けた。


だが、その勢いで彼女はバランスを崩した。


「あ」


後ろへ倒れた。


まっすぐ悠真の上へ。


二人は床に倒れ込んだ。


悠真は背中が石にぶつかるのを感じた。


「痛っ!」


乾いた痛みが背骨を駆け上がった。


その瞬間、小さな紫の波が彼の体から広がった。


短く。


ほとんど見えないほど。


だが、悠真は見た。


波は細い輪のように床を走り、エレノアに触れ、廊下の先へ消えた。


(今の……天上簒奪か?)


エレノアは彼の上にいた。


片手が彼の頭の横についている。


金髪が金色の幕のように落ちていた。


青い目が近すぎて、悠真は一秒だけ、屋敷に殺人影がいることを忘れた。


(ああ、最大級のお約束だ)


心臓が速くなった。


(ついに、異世界での初恋愛フラグか)


エレノアは動かなかった。


頭は低く下がっていた。


表情から、いつもの完璧さが消えていた。


「悠真様……」


悠真は一瞬で赤くなった。


「はい」


(来るぞ。愛の告白が)


エレノアは床に指を食い込ませた。


「家に帰りたいです」


悠真は目を見開いた。


「どういうことですか、エレノアさん?」


彼女は困惑したように周囲を見た。


「なぜ私がここにいるのか、分かりません……」


片手で額を押さえた。


青い目が震えた。


「私は……木があって……それから……」


言葉が崩れた。


悠真は少しだけ体を起こそうとした。


「でも、光輝は……」


エレノアは彼を見た。


目を見開いて。


真っ直ぐで。


怯えていた。


「どうして私が、あの人のことを気にしなければならないのですか?」

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