滅亡の序曲(裏)ベータ
――ノースポイント・北の禁域。
雪が降り積もり、冷たい風が吹き抜ける。
我らが故郷がこれですか。美しかったあの頃を思い出すと、この廃墟のような有様に胸が痛くなりますね。
「ガンマ、お久しぶりです。この研究所もすっかり寂れてしまいましたね」
「ベータ。こっちになんの用?」
「あなたとお話にきたのですよ。朗報を伝えにね」
「朗報ですって?つまんないことだったらぶっ飛ばすわよ」
怖い怖い。ですが、今回のお話は朗報の中でもとっておきです。きっとガンマも喜んでくれるでしょう。
「マザーは消えていなかったのです!人格とデータを複製し、システムを維持していました!」
「…………」
「ガンマ。大至急計画の練り直しが必要です。すぐにアルファを開放して話し合いましょう」
「な、なんですって!?」
「私はマザーから全てをお聞きしました。そしてイプシロンが……ッ!?」
次の瞬間、体が凍りついた。これは停止領域――ガンマ、なぜ……。
「はぁ、くだらない。暴れても無駄よ?ナンバーズ特化型の私から逃げられるわけないでしょ。アルファは例外だけどね」
「な……に、を」
「あたしたちが協力して、やっと封印したあいつを開放しろですって?バカなのあんた?」
まずい、ちゃんと話さなければ取り返しがつかないことに……。
「マザーがいる?そんなわけないでしょ!!あたしがどれだけ探したと思ってんの」
「……ぐ……は、な……し……」
「誰の影響を受けたのかは知らないけど、あんたが考えを変えたのはよくわかった。計画の邪魔をするなら眠りな」
「ま……て……」
「そっちがその気なら帝国は捨てるから。悪いけど計画も前倒しだよ。恨むなら自分かマザーの幻影にしとくんだね」
ようやく……希望を見つけたと思ったのに……また間違えたのか。
マザー……イプシロン……クロさん。すみません……本当にすみません……私は、使命を果たせなかった……。
治療カプセルの蓋が閉まり、スリープコードを打ち込むガンマの冷たい顔が遠のいていく。
あぁ……こんなはずじゃ――




