第137話 栗毛聖女、大精霊復活祭を迎える。
【厄災】大火精霊を倒して数日が経ちました。あれから色々なことが起きましたが、一番の変化は【厄災】トロピドラゴンの時と同じように私たちが倒した後、タンレンの町でイベントが起きたことでした。
「いよいよ大火精霊復活祭だねー」
「そうだね~。けど、ラピスちゃんはお祭りよりもその後のことが気になるでしょ~?」
「あはは……、恥ずかしいけどそうだね。アユちゃんはもう複合魔法とかもらってるけど私たちはこれからだから」
なんと、大火精霊復活祭というイベントが発生し、鍛冶屋の機能がパワーアップするようなのです。それをNPCから聞いたプレイヤーたちはそれはもう大盛り上がり、コンバートで持ってきた装備の能力解放じゃないかと騒ぎに騒いでお祭り前からお祭り騒ぎになっていました。
「ラピスちゃんたち四人でクリアしたのですよね? ……私も塾がなければいきたかったです」
「ミナツちゃん、私はリアルもネットも大事だっていつも言ってるよ? 勉強を頑張ったミナツちゃんは凄いんだよ。それこそ【厄災】なんかを倒すよりも立派なことしているんだよ」
「……はぁ。ラピスちゃんがそれを言うと重みが違うと思うんですけど、そういってもらえた以上は頑張って志望大学に行けるように私も頑張ります」
それからミナツちゃんを始めとした他のメンバーみんな優しいので羨ましいとだけ言われました。私たちのパーティーが初撃破というのはアユちゃん無双した火精霊のマップで多くのプレイヤーは止まっていて、その先で【厄災】大火精霊と戦ったパーティーも倒し方がわからない状態だったそうです。
「それにしても凄いっすね。あーしたちも物理攻撃が効かないからと実は魔法使いばかりのパーティーに誘われて一度戦ったっすけど、最後の魔法無敵状態で詰んだっすよ」
「そうね~。けっきょくリトル・ア・ポコの皆さんと行ってヤスナガさんのおかげで倒せましたけど、あれは正攻法ではありませんしね」
ヤスナガさんとリョウさんが【厄災】の核を的確に攻撃をできるプレイヤースキルを身に付けたようで、私たちはその後もクリアしていないギルドメンバーと共に攻略を続けました。
「あの~、その件なんですけど、僕たちがあの時に受けていたクエストで〝灼熱温泉水〟を納品したらタンレンのお風呂に入れるようになりましたよね?」
「うん。そうだったねー、あっ! ミナツちゃん! あとで一緒でお風呂屋さんいこうね!」
「急ですね……。けれど、嬉しいですしお誘いには乗らせていただきます。アユちゃんも行かれますよね?」
「もちろん! うひひっ! ミナツぅ~、覚悟しててよね~?」
アユちゃんがミナツちゃんとじゃれ始めたのを放っておいてリョウさんが私たちに続きを話してくれました。
「なるほどね。一度戻って、温泉の効能で弱点が分かるようになる仕様だったんだ」
「いやー、ムリっすね。あそこでボス部屋があったら突撃したくなるっすよ。特にここが今は最前線なんっすから、突撃しない選択肢はないっすね」
灼熱温泉水はどうやら死に戻りでは持ち帰ることができず、大火精霊に挑んでクエストの存在をみんな忘れてレベル上げなんかに勤しんでいたようです。そのせいで温泉に入るイベントが攻略のカギだと発見されなかったようです。
「あー。だからリョウさんとヤスナガさんの攻撃はちゃんと通ってたんだ」
「むっ……、ラピス、その言い方だとボクが役に立っていなかったみたいに聞こえるんだけど?」
「コータはコータなりに補助に回って頑張ってくれてたのをちゃんと見てたよ! ありがとうね!」
「……ならいい。ラピスたちも何度も付き合ってくれてありがとうな」
ちなみに、その情報は私たち以外に話していないようで、まだクリアしたのは私たちだけのようでした。私たちが何度も倒しているせいで逆に温泉に入るというイベントに辿り着けなくなっている可能性もあるように感じました。
「ヤスナガさん、温泉はいいぞーって広めてもらってもいいかな? 【厄災】の核に関しては伏せて」
「畏まりましたですぞ! ―――背水忍法・五右衛門風呂ッ!」
「ちょっとー! やめてくださーい! 主にヤスナガさんのせいで僕らは〝裸のパーティー〟という名で呼ばれるようになったわけですけど、今度は〝裸のギルド〟に格上げされちゃいますって!」
「あははっ! リョ~ウ、間違ってないからいいじゃん!」
私たちの凱旋は水着に腰タオルという目を引く装備だったので〝裸のパーティー〟が【厄災】大火精霊を倒したと話題になったのです。余談ですけど、それから水着装備を求めてナミノでまたカニッパーとトロピバードの乱獲が酷くなったのだとか。
ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドドンッ!
カンッ! カンッ! カンッ! カカンッ!
「あ、みんな! そろそろ始まるみたいだよ!」
タンレンの町に太鼓と大槌の叩く音が響きます。ここは鍛冶師の町〝タンレン〟です。どんなふうに鍛錬して装備強化が行われるか私たちは楽しみにしながら祭りを楽しみました。




