夜空が綺麗だった
砂漠横断飛行は順調に進み、まだまだ遠くではありますが火山も見えて来て、この調子ならあと2日も有れば火山地帯に到着すると思われます。
「今日はここまでにしますね」
「はぁ……はぁ……そうだね。私はもうちょっとでイキかけたけどね」
「とりあえず鼻血を拭いてください。ロトルルはほんとドヘンタイですね」
ぷりぷりしたアルリナのお尻を凝視しながらの旅は中々に良い物です。ウィッチじゃないから恥ずかしくないもん! の主人公の淫獣ちゃんの気持ちがよく分かりました。
その代わりアルリナからは心底軽蔑するような視線を送られて来ます。
姉のお尻を凝視して何が悪いんですか? 何かそういう法律とか条令とかあるんですか?
んー、なんだろう……人を悪者みたく見るのやめてもらって良いですかね? 興奮しちゃうので。
姉の視線に身悶えながら砂しか無い砂漠に錬金スキルで小屋を建てて、今日はここで一泊します。
「ベッドは一つで良いでしょうか?」
「答えが決まっている質問はしないでね。それとロトルルが私にナニをしようとも疲れてるから反応出来ないよ。ごめんね」
「いや、その、やっぱりベッドは二つにしますね」
そんな塩対応されてしまうと流石に傷付くので素直に諦めます。
ベッドと食卓テーブルと椅子、キッチンを作って晩御飯の用意をしましょう。
「何か食べたい物はありますか?」
「さっぱりした物ならなんでも良いよ。それに今は疲れてて無理だけど食事の用意とかはわたしにさせて欲しい。恩返しとは言わないけど元奴隷としては何かしてあげないとそわそわしちゃうんだ」
「目の保養になるのでアルリナが居てくれるだけで恩返しになってますけど、アルリナには元々料理スキルと裁縫スキルがあるのでその辺りを伸ばしてくれると有り難いです。必要な材料とか機材があれば言ってくださいね」
「うん……パンツもっと見る?」
「そういう意味では言ってませんが、恥ずかしがりながらスカートを捲ってくれるとすごく助かります」
「ご主人様……どうぞご存分に……」
「エッッッッッッッッ!?」
江戸とは日本の地名、あるいは時代の名称である。詳しくはサファリのヤフーでググってください。この世界にインターネットは無さそうですけど。
「さて、料理を始めましょうか」
「その前に鼻血を拭いたら?」
今日の晩御飯はそうめんと豚しゃぶにシーザーサラダとデザートにスイカを出しました。
「どれも美味しいね。やっぱり料理はロトルルに任せようかな?」
「アルリナの作った美味しいご飯が食べたいので、料理スキルのレベルを上げる為にも毎日作ってください」
「これ以上に美味しい料理は作れそうに無いけど頑張ってみるよ」
ご飯の後はお風呂を作ってハイポーション、ではなく木材からポーションを作ってヒノキ風お風呂にしました。
「良い香りだね」
「そうですねぇ……それに星空が凄く綺麗で最高です」
砂漠の夜空はまさにファンタスティック。玉虫色の星々が集まって川の流れのようにキラキラと煌めいています。気になるあの子と一緒に見にくれば好感度うなぎのぼり間違いなし。
「……星空が綺麗なんて考えた事も無かったなぁ。本当に綺麗だね……」
アルリナが右手を空にかざすと、そのまま宇宙の果てまで行ってしまうような、そんな感覚に襲われて私は無意識にアルリナを抱きしめていました。
「……またムッツリかな?」
「これからは楽しい事いっぱいしましょうね」
「……そうだね。とりあえず鼻血風呂は楽しくないかな」
「これは失敬」
せっかく真面目にしようと思ったのに私の鼻の血管弱すぎない?
こうなったらハイポーションを鼻から飲んでやる。
「鼻からポーションを飲むなんてロトルルって器用だね」
「ギャグでやった事を真面目に捉えないでください!」
「ふふっ、ロトルルと一緒ならきっと、いつまでも楽しく暮らせて行けそうだよ」
「シリアスなんて全部ぶっ飛ばしてやりますから安心して一緒に居てください」
もう二度とあんな辛い目に遭わせない為にも私のギャグセンスも磨いて行かねばなりませんね。
……訂正します。精神と心を強くして行きたいと思います。
お風呂から上がって今夜は大人しく就寝しました。
「おはようロトルル」
「んあ……何故添い寝……?」
「ロトルルの寝顔が余りにも可愛くて」
「そうですか……なら仕方ありませんね」
「んー」
「え、目覚めのキスとかご褒美まで頂けるんですか!?」
「んー……」
「ロトルル大丈夫?」
「んあ?」
「突然唸り出して、怖い夢でも見てた?」
「夢……オチ……?」
くっ、後もう少しでアルリナとキス出来たというのにアルリナに邪魔されてしまうとはっ!
「アルリナ、目覚めのキスをしてください」
「えぇ……おでことほっぺ、どっちが良い?」
「唇……すみません冗談です。ほっぺでお願いします」
そんなジト目で見つめないでください。朝から興奮しちゃうじゃないですか。
「チュッ」
頬に柔らかい感触と少しの湿り気。
鼻腔をくすぐる女の子特有の香り。
あぁ……脳が蕩けりゅぅ……。
「目、覚めた?」
「バッチリと!」
朝から美少女にキスされるとか最高だな!ガッハッハッ!
「ふふっ、変な顔」
「元からこんな顔ですよ。さ、朝食にしましょう」
朝はアルリナに作って貰ったフルーツ盛りとリスさんの料理屋で溜め込んだナッツ料理です。火を使う料理はアルリナにはまだ早いかなって。過保護かな?
「ロトルルが居ると、どんな旅でも快適に過ごせそうだよ」
「安心安全すこぶる快適な旅をお約束しましょう」
「ふふっ、旅行会社の宣伝文句みたい」
朝食を食べ終わったので身支度して出発します。
「昨日と同じ様な感じで、慣れて来たらスピードを上げて飛んでみてください」
「頑張るよ」
昨日と変わり映えしない砂の山を飛び、時折見える動植物の話をアルリナが話して、私が鑑定スキルで確認すると間違った情報で覚えていたりするので訂正したり、訂正した時にムッとするアルリナの表情を楽しんだりしながら、着実に火山地帯へと近付きつつありました。もちろん使えそうな物はストレージに入れておきました。サボテンや毒スイカなどなど。
「ロトルル、喉渇いちゃった……」
「分かりました、水魔法を合成するので手を出してください」
「そこは普通に水を出してくれれば良いんだけど……」
一旦降りてアルリナに水魔法スキルのブドウを渡し、液化合成。
「ウォーターと唱えるか、あるは水をイメージすれば出せると思います」
「ウォーター、うわあ! ほんとに出たよ! でもこれじゃコップとか入れ物が無いと飲めないよ?」
「こうやるんです」
人差し指を自分の口へ近付けて「ウォーター」と唱え、チョロチョロと蛇口を軽く捻った時の水量で流し込みました。
「……なんか、下品だね」
「んくっ、では他の方法を考えてやってみてください」
「うーん。ウォーター!」
アルリナがウォーターと唱えると水流では無く一口大の水球を作り出してパクりと飲み込みました。この子控えめに言って天才では?
「凄いですね! 次からは私もそうします!」
「えへへ」
得意げに笑うアルリナにほっこりし、水分補給も終わったので先に進みます。
「もうすぐ火山地帯だね」
「そうですね。ここまで熱気が来てヤバイです」
あと半日も飛べば火山地帯突入ですが日も暮れて来たので今日はここまで。
小屋を建ててお風呂を作り内装を整えて野営準備完了です。
「はふぅ……」
「はぁぁ……」
今日はオレンジから調合スキルで匂い成分だけを抽出してお風呂に入れました。
入浴剤として貴族やお金持ちに売ると儲けられるかもしれませんね。
私にしては珍しく知識チートが出来るような気がします。
「明日はいよいよ火山地帯に突入です。危険を感じたらアルリナを抱えて突っ切るので安心してください」
「お世話になります」
二人でニコニコと笑い合いながら他愛無い話をし、その日は少しだけ夜更かしをして就寝しました。




