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23.疑問




寮へ戻り、私は早速マリーへ今日あった事を伝えましたの。

 やや興奮気味な報告であったが、マリーはニコニコと私の報告を聞いてくれて、私は嬉しくなりマリーの手を取りクルクルと部屋の中で回ってしまった…。


「場所の確保と国民への周知、後は…勉強を教える学生の確保ね。やる事はまだまだ沢山ありますわよ!」


 場所の確保と国民への周知は、リリアーナが行おうとした時にはエデル王子とカリムの迅速な行動により、すべて終わっており後は開催するだけとなっているのだが、この時のリリアーナはまだ知らなかった。知った時には、思わずエデル王子の元に駆け寄り嬉しさのあまり抱擁しそうになる程だったのだが、それはまだ後のお話。


「サクラさん、今大丈夫かしら?」


 私は、勢いのまま隣の部屋に居るであろうサクラを訪ねる。用件はそう…一緒に勉強会を開催しませんか?だ。


「あ、リリアーナ様!!どうぞ、お入り下さい。」


 私は、質素な部屋着に着替え寛いで居たであろうサクラに微笑む。


「サクラさん、今学園で補習授業を設ける話が出ている事は知っていまして?」


 私は、悪戯を思い付いた様な表情でサクラを見る。サクラは、キョトンとし、少しするとあぁ!と思い至った様だった。

 その様子を見て、私は嬉しくなり跳ね上がる気持ちを抑えつけ冷静に…極めて冷静に話す様心掛ける。


「私は、この補習授業を週一回学園が休みの時に定期的に補習授業ではなく、勉強会として教会等で行いたいと思ってますの。」


「リリアーナ様が?」


 サクラが驚いた顔をして繰り返す。私がやるのはおかしいかしら?


「えぇ、私が立案者ですから、私が先人切って行うのは勿論ですわ。」


「立案者…」


 サクラが、何か考え始めたが其処は別に重要でも何でも無いので続ける。


「ですが、私だけでは数ある教会で教える事は困難ですわ。勿論、シスターにも協力をお願いする為、率先して勉強を教える事は出来ても、知識ある人が足りませんの。ですので、私は私の信頼足りる人…そして、私の事を信頼してくれるであろう人に、一緒に勉強会をして頂きたいんですの。」


「信頼…」


「私は、明るくて元気で、笑顔が温かいサクラさんなら、子供達にもきっと馴染めますし…、何より私は一緒にできたら嬉しいと思ってますの…。どうかしら?一緒に国民全員に文字や数字等基礎的な事を教え込みません事?私は、サクラさんと一緒に勉強会したいんですの。……友達、ですもの。」


 私は、自分で何を言ってんだ!みたいな心境になりつつ、サクラを誘う。いや、もうこれ告白よね…。サクラ大好きだから一緒にやりたいの!って駄々こねてるだけよね…あぁぁ…。


「リリアーナ様。」


「…はい。」


 考えこんでたサクラが、顔を上げ私を見つめる。

 絶対サクラは乗ってくれるはずよ!と、悪戯を思い付いた子供みたいにはしゃいでいたが…いや、たしかにまだ子供ですけど…、今は違う。まるで告白の返事を待つ男子学生…もしくは死刑宣告待ちの囚人…。


「リリアーナ様は、庶民でも貴族でも分け隔てなく接して下さる…とてもお優しい方だと思います…。けど、何故そこ迄庶民に良くしてくださるんですか?」


 は?何故?それは、貴族として当然の事でしょう?


「私は、貴族も国も民あってのものだと思うからですわ。そして、民が私達貴族に力を貸してくださるなら、私達貴族は民に力を知恵を授ける…、それが普通でなくて?そこに優劣はありませんわ。」


 私は、自分自身が当然だと思っていること、そして何故そんな事を聞いてくるのだろう?という疑問を言葉にのせ、サクラに告げる。

 そもそも、そんな疑問を抱かせる事自体おかしい事なのだと、私は思う。

 貴族は決して民を下に見てはいけないのだ。民あっての貴族であり、民が居なければただの人。偉そうにすることでない。ただし、貴族は貴族の、庶民には庶民の役目はある。その役目に対しては階級制度は目安になり必要だとは思いますけど…。


 ただ、調子に乗れば、革命や一揆といったものが起こり、自身も家も潰される…、それは前世の私が歴史から学んだものですわ。

 ですので、調子に乗らず、肩書きや家名に驕ることなく、ただただ己の役目を果たすべきなのですわ。


「リリアーナ様は、変わっておりますね。」


 サクラは、微笑みながらそんな事を言う。失礼ですわね。


「あら、それは失礼でなくて?」


 私が軽く嫌味っぽく言えば、サクラはくすくす笑いながら告げる。


「私は、リリアーナ様が為さる事に賛同します。勿論協力も惜しみません!どうぞ、宜しくお願い致します!」


「ふふふ、宜しくお願いするわ。」


 私とサクラはくすくす笑いながら、手を取り合う。

 流石主人公。順応性も高く、理解力もある。是非とも勉強会では沢山活躍して頂きましょう!




 それにしても、私自分がやりたい事に夢中で、全然悪役令嬢な振る舞いが出来てませんわね…。いけませんわ!私はスチルの為にも頑張らないといけませんのに。


 けど正直、悪役令嬢よりも、スチルよりもやりたいと思った事をどんどん実現出来そうな今の方が楽しいのよね…。

 ん〜、でも、第一王子を婚約者だからといって、雑用係にすえて使いっぱしりにしてるのは…中々悪女ですし、一部からは怨まれてそうですわよね!私は、やりたい事に集中し、エデル王子をあしらい続けて周りの女生徒達のヘイトを集め続けてればイベントは発生しますわよね。


 んふふ、本当にエデル王子には感謝しなければなりませんわね。私の為にも、今後共頑張って頂きましょう。




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