表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
85/97

第76話 天を掴む力+Seventh Lord

 

「うぁー、何も分かんねぇっすー!!」

 草木ヶ丘の街中を探し回り何日が経ったのか。写身は未だ有益な情報を手に入れられず、頭を掻き毟る。

「俺だってなんか、なんか皆さんの力になりたいっすー!! ……うひっ、今度はなんすか!?」

 冬も半ば、コートを羽織っていたにも関わらず背筋に凍てつく様な寒気が走った。

「この前も変な熱波が来たし、ほんとついてないっす俺…………ん?」

 少し離れた先。誰もいない閑散とした街道に目が行く。不自然に空間が歪んでおり、その中心には灰色に揺らめく謎の物体があった。

「……もしかしなくても、あれ、やばい奴っすかね」

 いつも一緒のカメラを取り出し、中央に捉える。そこでようやく揺らめきの正体を掴んだ。

 写身は息を呑み、撮影した写真を桜達へと送信したのだった。



「……っふふ、君達も暇だねぇ」

 自分を取り囲む4つの影に気づき、ノアは覆っていた炎を消した。

 以前とは違い炎を象ったドレスとローブに身を包み、灰色の瞳の中で炎が揺れている。

「衣替えでもしたかよ。暇なのはお互い様だな」

「よく私がここにいるって分かったね?」

「頼れる友達がいるの、貴方と違って」

 山神と紅葉に目を向けると、背後にいる彼岸と蒼葉へ向き直る。

「それで、何の用かな?」

「貴方が持っているプラウダのチップを渡して貰う」

「あぁ、アレか。いらないけどなぁ、君達に渡す理由も無いしなぁ」

「お前の許可は、元より求めていない」

 彼岸の言葉を皮切りに、4人は一斉にローダーを起動。ノアへ挑む態勢を整える。

「仕方ないなぁ。おいで」


「「「「変身!」」」」

「変身」


 同時に変身。眩い光と灰色の光が混ざり合い、消えると同時に4人が同時に挑み掛かる。

「ノアの姿が変わっている!?」


 以前と違い、背中には翼が折り畳まれ、肩に湾曲した角と光輪が出現。身体には火炙りにされる天使と悪魔の紋章が浮き出ている。


「関係あるかよ! ぶっ飛ばす!!」

 ヒガンバナのデストロイセイバーと、ホウセンカの拳がノアへ叩きつけられる。しかしノアは一切怯む様子はない。

「手応えが薄い!!」

「いや、痛いよ。でも、それだけだから」

 両手を払い除けた瞬間、2人は吹き飛ばされた。

「ぐっ!?」

「うぉぉぉっ!?」

「2人とも!」

「紅葉、データシェアを!」

 ユキワリとネメシアはノアへ蹴りを入れながら、データシェアを開始しようとする。しかし、

「中々あれも厄介だったね」

 ノアの背中から翼が広がり、散った羽根がナイフの様に鋭利化。飛翔してプレシオフォンとアルゲンタヴィスフォンを串刺しに、地面に繋ぎ止めた。

「そんなっ!?」

「前とは明らかに……」

「違うんだ。比べ物にならないくらい」

 ノアは2人のリワインドローダーを掴む。刹那、爆発と共に破砕、腰から外れてしまう。

「変身、がっ!?」

「蒼葉、う、ぁぁぁ!?」

「転校生、社長!?」

 変身が解けた2人が一瞬にして燃え上がった。

「あー、ごめんね。生身だと近づいただけで燃えちゃうんだ」

「くそっ!!」

 ホウセンカは2人をノアの前から回収。拳を振るった衝撃波で燃える炎を吹き飛ばす。

「消えるタイプで良かった、けど……!」

 服の隙間から覗く肌は無事。しかし未だ2人は猛火に焼かれているかのように苦しんでいる。

「おい、大丈夫か2人とも!!」

「私は、いいから……ぅ、ノアを……」

「彼岸と、山神君なら……ぁ、っ、きっと……」

「大丈夫な訳ねえか畜生! おい彼岸、ここは一回……」

「2人を連れて逃げろ、時間くらいは稼ぐ」

「だよなぁ!」

 2人を抱きかかえ、ホウセンカは退却しようとする。しかし、

「行かせない」

 氷の壁が目の前に立ち塞がり、退路を塞ぐ。同時に睡蓮が姿を現した。

「お前も懲りねぇな。こんな壁ぐらい……」

「ふっふーん! させないよー!」

 タックルを仕掛けようとした直前で、ホウセンカは別方向からの攻撃に感づく。抱えた2人に当たらない様、咄嗟に背中で受ける。

「いってぇ!! ちっ、ノアの分身か!」

「ピンポーン! ふっふふ、そんなお荷物持って睡蓮と私を相手出来るかなー?」

「今のうちに、忌魅木ごと始末する」

 キョウカロータスへ姿を変えた睡蓮が氷の手剣で斬りかかり、赤いノアの分身は腕をランチャーへ変えて火炎弾を発射。

「やるしかねぇ……2人とも、ちっと熱いが少し我慢な!」

 ホウセンカの装甲が爆砕、弾け飛び、氷の剣と火炎弾を押し返す。身体を熱波で覆い、蒼葉と紅葉を守る。

「あっつーい!」

「これで少しは……っ、うぐぁ!?」

 それを見たキョウカロータスは地面へ腕を突き刺す。アスファルトを伝う極低温の冷気が熱波をかき消し、3人を飲み込もうとする。

「悪い2人とも!」

 凍りつく寸前でホウセンカは2人を放る。直後、ホウセンカの身体は完全に凍結してしまった。

「やるじゃん睡蓮!」

「……この程度」

「山神真里!」

「ほらほら、君はこっち」

 振るわれる灰色の炎をデストロイセイバーで払い除ける。しかしその隙を突いて2本の剣がヒガンバナを斬りつけた。

「こうなればヒガンバナも打つ手無しだな」

「…………」

 黒い分身と青い分身。ヒガンバナの背から火花が散るが、続く攻撃はブレイクソードとデストロイセイバーで受け止めた。

「君が手に入れた力も私には通用しない。せっかく足掻いたのに無駄だったね」

「無駄かどうか、まだ決めるには早い」

「んー、早くないよ。君達を消した後は日向桜を消して、残りのローダーを吸収する」

 炎を纏った拳をヒガンバナへ打ち付ける。巨大な爆発と共にヒガンバナの身体が吹き飛び、氷の壁に叩きつけられる。そのまま身体が凍結してしまった。

「あぁ。いくらローダーを吸収したとはいえ、呆気ない」

「ノア様。急ぎ日向桜を討ちに……」

「いや、あっちから来てくれたみたいだね」


 バイクのエンジン音。同時に2つの影がノアの前へと躍り出た。


「日向桜、それにエヴィ。待っていたよ、まさか君達から来てくれるなんて」

「……ノア」

 桜が一歩踏み出した瞬間、分身体3人が取り囲む。

「でももう話す事は無いんだ。君は私の理想郷の邪魔になるだけ。ローダーを渡せって言って渡すような人間じゃないし」

 ノアが言い終わると同時に、黒い分身と青い分身が2人へ斬り掛かった。

 だが次の瞬間、桜の右腕が輝く。それが消えた刹那、2体の分身は弾き飛ばされた。

「なっ!?」

「……!?」

「ちょちょ、何が起きて、うぇっ!?」

 続けて赤い分身も吹き飛ばされる。ノアの目が僅かに見開かれる。

「そのローダー……ふーん、またお得意の進化?」

「これは、いや、これまでも、俺一人じゃ進化なんて出来なかった。たくさん失って、もう戻らないものもある。でもノア、お前から取り戻せるものはまだ残っている」


 右腕で輝いているのは、新たな姿へ生まれ変わったプラグローダー。中心のピュアチップを囲うように7つのコネクトチップが接続されており、銀色のローダー部分は唇を結ぶノアの顔を映している。

 僅かに振り向き、桜を見守るエヴィと目を合わせる。ここに来る前に交わした、ある約束をもう一度胸に刻む為に。


《Connection Server Cem》


 中央のピュアチップを押し込むと、ローダーが起動。7つのチップが展開する。それらを1枚ずつ押し込んでいく。


《First Loading, Second Loading, Third Loading,Fourth Loading,Fifth Loading,Sixth Loading,Seventh Loading》


《All Connection Loading!!》


 コネクトチップが挿入されていくごとに、プラグローダーからローブを纏った天使達が出現。桜を取り囲み、円陣を組む。

 天使の内の1体と目が合う。きっと彼の魂だろう。小さく笑い、桜はプラグローダーをスライドした。

「変身!!」


 桜の姿がディノニクスジェノサイドへ変化。そして天使達が剣を掲げると、鋒を点として頭上に巨大な光輪が出現。迷いなくその中へ飛び込んだ。

 光輪を潜り抜けたディノニクスジェノサイドの身体は白く変化し、巨大な翼が広がる。羽化を遂げた蝶の如きリンドウへ、天使達が光となって集う。

 頭に知恵を、右足に信仰を、左足に節制を、右腕に正義を、左腕に慈愛を、胸に勇気を、翼に希望を。人類が秘めた7つの力を鎧として身に纏い、


《天地開闢! 英雄、7つの力を継承せし時、天を掴む正義の王となる!! Aim for justice,seek ideal,be prepared, and surpassGod!! 天臨せよ、七天皇!!》


 舞い降りるように地上へ着地。降り立つと同時に吹き荒れた突風は、氷の壁を砕き、凍り付いたヒガンバナとホウセンカを解放し、火傷に苦しむ蒼葉と紅葉を救う。

 リンドウの進化の極致、《セブンスロード》が降臨した。

「なん、なんだい……その、姿は……こんな、こと、予想には……」


「さぁ、ヒーローの出番だぜ、ノア!」



 続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ