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本城玲子は黙ってない ~最強の嫁・本城玲子の半生~  作者: 上板橋喜十郎


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エピローグ

 以上が、私の武勇伝。

……いや、武勇伝なんて格好いいものじゃないか。

泣いて、怒って、騙されて、時には自分でも引くくらい意地悪なこともした。

それでも、娘を守るため、生きていくために必死だった。

気付けば、もらった慰謝料の総額は三千九百五十万円になっていた。

もちろん全部が全部、私の懐に入ったわけじゃない。

弁護士費用、調査費用、修繕費、引っ越し代、壊された家具や窓の交換費用。

消えていったお金もかなり多い。

そもそも、義母絡みの事みたいに、精神だけ削られて大して得にならなかった話もある。

だから、別に「慰謝料で大儲けしました!」みたいな話じゃない。

むしろ、人生そのものを削って稼いだ金って感じだ。

それに、全部が私一人の力だったわけでもない。

松元先生。

あの人がいなかったら、途中で心が折れていたと思う。

淡々としてるのに妙に頼りになる人だった。

朋美にも、本当に助けられた。

高校時代からの付き合いだけど、まさか弁護士として背中を預ける日が来るとは思わなかった。

そして――田所さん。

最初に会った時は正直、「大丈夫かなこの人……」って思った。

太ってるし、甘ったるいコーヒー飲んでるし、椅子から全然動かないし。

でも、あの人は凄かった。

人の心の動きを読むのが異常に上手かった。

まるで最初から全部見えてるみたいに。

結局、一度も現場には行かなかったのに、全部暴いた。

世の中には本当に色んな人がいるんだなって思った。

 今の私は、娘と二人暮らし。

玲香ももう随分大きくなった。

昔は私の後ろに隠れてばかりだったのに、今じゃ「お母さんまた変な人に絡まれてない?」なんて言ってくる。

ちょっと生意気。

でも優しい子に育ってくれた。

それだけで充分だ。

休日には二人で映画を見たり、買い物に行ったり、たまに少し贅沢なケーキを買ったりする。

そんな普通の毎日が、昔の私には信じられないくらい幸せだった。

 時々、昔のことを思い出す。

どうして私の周りにはあんな変なのばっかり集まってきたんだろうって。

疫病神でも背負ってるのかと思った時期もあった。

でも、今になって思う。

きっと私は、黙って耐えるタイプじゃなかったんだろう。

嫌なことをされたら、絶対に忘れない。

やられたら、やり返す。

しかも割と陰湿に。

だから余計に修羅場になる。

……まあ、性格はあんまり良くないのかもしれない。

でも、それで娘を守れた。

自分の人生も守れた。

だったら、少しくらい性格が悪くても良いかなって思ってる。

 再婚について?

うーん……。

まあ、浮気しない。

義母や義妹を勝手に転がり込ませない。

あと、変な女に引っかからない。

最低でもその辺を守れる男なら、もう一回くらい結婚しても良いかなとは思ってる。

……私の年齢じゃ、かなりハードル高い気もするけど。

 でもまあ。

今はまだ、娘と二人の生活で充分幸せだから。

だからしばらくは、この平和を楽しもうと思う。

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