道と魔王の雑談~「エヴォル」の意味
いつも読んでくれてありがとうございます。読者の方々は「道要素は?」「パンツは?」「ソロモン王いつ来るの?」と思っているのかもしれません。
ソロモン王は二日以内に来ます。あと少し、お待ち下さい。
あと、投稿しようと思ったら間違えて「編集」して前話を消してしまった時間が20分あります。被害にあった一名の方、誠にすみません。
そろそろ夕方だ。俺達は少し待ちくたびれていた。ソロモン王の奴、今日来るって言ってたのに、いつ来るのだろうか?
まさか23:59に来るつもりだろうか。まぁ、来る日を教えてくれるだけでもありがたいけど……不謹慎だが、時間帯まで教えてくれる気前の良さもあればな。
「しかし、ソロモン王遅いな」
今日中に来ると言っていたのに、あいつは何故来ないのだろう? とっくに待ちくたびれてしまいそうだ。そろそろ夕方だぞ。
「まぁ、余としては別にエルティア王国軍が来ないなら来ない方がいいのだがな」
「確かに、美少女と……いや、レギンと待ち合わせしてるわけでもないしな」
美少女とデートの約束をしてて相手が来なかったら死にたくなる。罰ゲームで俺に告白されたんじゃないかとか思ってしまう。しかし相手はただのイケメンリア充だ。そしてこれはデートの約束でなく喧嘩の待ち合わせ。
例えるなら「放課後の校舎裏で喧嘩」を約束していたら相手は来なかった、というシチュエーションである。
……あれ、これってもしかして嵌められているんじゃ……。
「まぁ来るとは思うぞ? 余もそうだが、王とは面子が大切だ。あと六時間以上ある。少し寝てもいいんだぞ?」
確かに、まだ少し眠いからな。
俺は窓に近づき、外を見る。
そこには、軍人の活発な移動があった。ケンタウロス族やドワーフ族、オーガ族、ドライアド族、ありとあらゆる種族が移動している。
魔王ガンダールヴの命令しただろう兵の配備は順調そのもの。少し前から、兵士達が北側と西側に向かい始めていた。
俺もぼちぼち移動しよう。
「魔王はソロモン王のことをどう思っているんだ?」
「……尊敬している」
「敵なのに?」
「政治をやるからこそ理解出来る。あらゆる問題が存在していて、根回しや予算で解決したり先送りにしないといけない。そして国は一つにまとまらないといけないのに、民族だの種族だの……垣根があってまとまらなかったりする」
亜人ってひとくくりにしてるけど、この国はかなり他種族が入り乱れているからな。古代イスラエルも移民に苦労したと言うから……色々苦労を学べもするんだろう。
「余はな……リンカーンとソロモン王を参考に、この国を作った」
「リンカーンとソロモン王か……」
奴隷解放宣言のアメリカ大統領リンカーンと、古代イスラエル王国を治めた知恵の王ソロモン。
客観的には毛色が違うとも思えるな。だが俺には似たとこも発見出来た。
魔王は俺に視線を向け、
「共通点分かるか?」
「他民族の統一?」
「……まぁそうだな。民族国家から国民国家ってことだと余は解釈した」
レギンがこっそりブーケに耳打ちする。
「ブーケ、魔王様とロードロードが何言ってるか理解できる?」
「ぎりぎりですね」
と彼女達はやり取りしていた。
魔王は苦笑しながら俺に問う。
「ロードロードは理解出来るか?」
「まぁな。ソロモン王も他民族に優しい政策をとったりして……それが後世の問題になって滅んだ、と記憶している」
「うむ、その通りだ。お主は分かっているかもしれないが……エヴォルは古代イスラエルを参考に作った国だ」
「古代イスラエルを?」
「あぁ。日本やイギリスを参考にしようとしたこともあったがな。それらは合わないと判断した」
俺の前世は日本人だったらしいからな、聞いておきたい。
「なぜ合わないと判断したんだ?」
「それらは島国だからこそ成立する統治形態だった。完全なる内陸国のエヴォルは古代イスラエルのが合うと判断されたのだ。古代イスラエルは海に面しているが、民族の流入が大陸に接しているのといないのでは大きく異なる。だからエヴォルは……聖書を参考に、英語から名前をとったのだ」
「そうなのか……」
亜人国家エヴォル。他には竜国ドラゴニア。エルフ国。サキュバス国。オーガ国とかいうのもあるらしい。エヴォルだけ変な名前だよな。……あれ?
「何でエヴォルっていうんだ? こんな変な名前なら意味があるよな?」
「リリス様が付けてくれた。お前が聡いなら、自分で考えてみよ」
「聖書を参考に付けたんだよな?」
「うむ」
……リリス。Eboru。ebolu。evoru.evol……。あ。
「もしかして、ラブを逆さまから読んだってことか?」
「……そういう意味もあるかもな」
「いや、絶対これだろ」
「言ってみろ」
「リリスは愛を否定したんだ。あるいは、愛してるって向こうにいるアダムに呼びかけているんだよ」
「その発想は面白いな」
「だからloveを反対から呼んで、エヴォルって言ったんだ。聖書って愛の物語って言えると思うんだよ。アダムに愛を伝えるのか、否定する為に」
「もしかしたら……本当にそういう意味も込められているのかもしれないな。気付かなかった」
「ってことは……」
魔王はくっくっくと笑いながら俺に答える。
「違う」
残念。外したようだ。
「だが面白い考察だな」
そんな面白いだろうか? だが魔王は本当に上機嫌になった様子。愉快だったのは間違いない。
「ロードロード、お前に歌をプレゼントしよう」
「歌?」
別におっさんに歌ってもらっても嬉しくないが……ここで「社長、お上手ですね」と言う奴が出世するってのは俺にも分かる。
「聞いてみたいです」
「我々の世界に伝わる歌だ。リリス賛歌と言う」




