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天子とガイド~〚最強遊牧民リーダーの朕、中国系売国奴に地図を貰ってユーラシア大陸で無双する〛~

 耶律楚材が……ユダヤ人!?

 いや、分からないでもない。

 耶律楚材は謎の多い人物だ。

 ってことは……ユダヤ系中国人ってことね。

 モンゴル軍をモンゴル帝国へと変貌させる役割を担うほどに賢いなら……世界帝国を考えることができるだけの脳みそを持つ奴等であっても――ユダヤ人であってもおかしくない。


 チンギスハンは神妙な顔で眉を顰め、耶律楚材から受け取った地図を見る。


「貴様、何が狙いだ。これだけ詳細な大陸の地図を持ってくるということは矢で射られ、死ぬかもしれないと覚悟した上で……朕に何かを吹き込む為に渡したのだろう? 世界を朕にくれる? 大業なことを言うが、貴様にそれができるとでも?」


 チンギスハンの頭はやはりバカではない。

 確かに、あれだけ詳細に書き込まれた地図は……そうか。

 チンギスハンに渡す為に作られた地図なんだ。

 あらかじめ、耶律楚材は準備した上で渡した。

 命乞いの為に慌てふためいて持ってるものを差し出したのでなく……全て計画的な行動ってことか。


 だからあれは……文字が書かれず、色だけで分かるような地図にしてあったのか。中国人なら地図に文字を書き込むはず。だが、チンギスハンに渡された地図は国を色別に書き、シルクロードの原型が色塗りされてるだけだ。

 モンゴル軍という文字を持たない民の為の地図を渡してやがる。


 耶律楚材は言われた瞬間に、感極まったように不気味な笑いを草原覇者チンギスハンに見せる。


「はははは! ハンよ、貴方は誰よりも正しいくせにとぼけるんですねぇ! 私には分かりますよ? 聞こえるのでしょう? 神の声が!」


「――」


 チンギスハンの顔が強張る。

 ……神の声が、聞こえる?


 どういうことだ?

 俺は、「おい、チンギスハン」と聞く。


〚ロードロード、貴様は知ってるはずだ。朕は……宗教上の話は、避ける。明確な正しい解答というのができないものだと分かり切ってるからだ。それより耶律楚材の言葉に耳を傾けろ〛


 ……まぁ、天啓持ちだったってことだな。

 ってことはチンギスハンは神? かなんかの声が聞こえるのに……暴君になったってことか。

 西洋的には悪魔なんだろうが、それなりに強力な霊が憑いてたってことか。


 天皇も陰陽術を使うし、珍しい話ではないのだろう。


 そもそも巫術士シャーマンが「この子供テムジンは全モンゴルの覇者になる」と予言してたらしいから、今更驚きはしない。


 と、それより耶律楚材だ。

 彼は無言のチンギスハンに向かって狂気のような笑顔を浮かべている。


「我々は世界を知っている。貴方の様な方は……偶に産まれてくる」


「何……朕のような、奴が? 不細工で陰キャコミュ障の侵略者ってことか?」


「何言ってんですか、違いますよ。……天子ですよ、貴方は」


「……天子」


 ……天子。

 天の子供。

 中国で昔から言われる概念だな。


 つまり、中国の皇帝になるべきだって主張しているに等しい。

 売国奴と呼ばれた耶律楚材ならそういうだろう。

 まぁ、チンギスハンを相手にした時点で大陸国家なら亡国は避けられない。

 どうせ滅ぶなら、国を売って相手に取り入ろうってことにも思えるが……書かれていたのは詳細な地図だった。


 本当にあれを捧げようとしているんだろう。

 あの……色づけられた線の数々――シルクロードを。


 つまりあの男は……耶律楚材は、チンギスハンにとってシルクロードを作る為の案内人ガイドってことか。

 恐ろしいにもほどがある。


 が、そんな耶律楚材に目をやると、彼は近くにいたモンゴル武将に首を絞められていた。

 顔が赤くなってて、涙目になってる。

 モンゴル武将はギロリと耶律楚材を睨みながら、首を絞めたまま奴を持ち上げた。


「下郎め! ハンにカルト宗教を吹き込むというのなら、ただじゃすまんぞ!」


「ひいいいい! た、助けて……苦しい、チンギスハン様、助けて下さい!」


「ハーン、こいつを殺します! 経験則で分かる! この手の奴は何を話すか分かったもんじゃない!」


 耶律楚材はじたばたと暴れているが、モンゴル武将の力に文官が太刀打ちできるわけもなく、どんどん顔が赤くなってる。


「や、止めて。私はこの国を……いや、世界を売ります! あなた方、モンゴル軍に!」


「何をいう。貴様の手には何もないではないか! そして我らがモンゴル軍は持ってる奴等から全て奪えるのだ! 交渉の余地なんてないのだよ!」


 チンギスハンは「ふう」とため息をついて、


「よせ」


 と言った。

 部下の手がぱっと耶律楚材の首から離れ、耶律楚材は落ちると共に激しくせき込んだ。


「ハン?」


「聞こう、耶律楚材よ。貴様の提案に乗ってやろう」


「な――」


 キョトン、としていたモンゴル武将はチンギスハンの顔をまじまじと見つめている。


 喉を抑えながら、耶律楚材は大笑いした。


「ははは、流石天子だ! 器がでかい!」


 耶律楚材は騎馬兵の後ろに乗せられ、モンゴル軍の拠点基地まで向かった。

 テントが張られた中の軍人達の空気は暗かった。


 不気味に笑う新参者が、地図を広げて笑っているからだ。


「我が名は耶律楚材! ユダヤ人でございます! 最強民族である皆様に……世界を捧げる者でございます!」


 耶律楚材は一礼し、モンゴル軍の武将達は眉を顰める。


〚耶律楚材。奴は不思議な人間だった。最強の人殺し狩猟集団に過ぎないモンゴル人が……世界最大の帝国へと生まれ変わるきっかけとなる人物だった。そしてあいつは言っていたよ。この道は……シルクロードは三名の人物を参考に作った、と〛

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