«新キャラ敵襲»
〖そもそも、子供を産むのに恋愛は必須条件じゃ無い。世間体を気にして家族を造るっていうのも子作りの動機には充分だ〗
チンギスハンの顔は自信満々、と言った感じだ。
……懲りない奴だな。
「子作りって点だけで考えるならそうだな」
〖ロードロード、お前と話して分かったことがある。強○は男系社会に必須条件じゃないって指摘はお前の言う通りだ〗
「うん」
〖だがな、恋愛もまた人類の発展においては十分条件であって必須条件じゃない〗
「……そりゃそうだな」
子作りさえ出来れば科学技術とか法律や倫理は発展する。
恋愛は無くても社会の存続には問題が無い。
というか……あのローマも恋愛文化が発展して滅んだ感じあったな。
歴史は繰り返す、か。
初代ローマ皇帝・アウグストゥスが少子化対策してたって言うし、俺が思う以上に為政者から見れば恋愛で国が滅びるってのは馬鹿らしいんだろうな。
……強権を振りかざすことが出来ると言われる中国共産党ですら、少子化というのは怖がってるらしい。
中共の幹部はアメリカ軍や国連より国内の寝そべり族のが恐怖してる節があった。
それを踏まえれば、チンギスハンの視点は一考に値する。
少子化しないってならメリットだったんだろう。男の俺ですら吐き気を催す悍ましいほどの男系社会だが、少子化という社会問題が解決されるのは凄い。
天下人になったチンギスハンからすれば……恋愛というのは醜いと思うのかもな。国家の存続ってのが普通の人より見えてしまうだろうから。
だがそれでも、俺は民主主義のが好きだな。
人の尊厳を大切にするのは大事。
フェミニズムだろうが男系社会だろうが、過激に振りかざすのは良くないと思うな。
男も女も、それぞれの役割をこなして尊重し合ってりゃいいんだ。
ま、そんなのいつの世も壊れがちなんだろうけどな。
チンギスハンは得意げに頷く。
〖だろ? ロードロードは恋愛したいって言うけどさ、それ人生において必要なものじゃないんだよ〗
「……国って点じゃそうだな。だが俺個人として、恋愛したいんだよ」
〖個人の趣向なんて聞いてねえ。少子化問題解決出来るから、朕は正義だ。だからこそ言わなきゃいけない。恋愛が十分条件なら兎も角、必須条件になったら性淘汰が起こって少子化になる。つまり……恋愛なんてのは強○以上に悪の思想に他ならない。国家を滅ぼすなら、女に権利なんて与えてはいけなかったんだ〗
頭にくるなぁ。
とんでもない意見だ。
だが……考えて見れば恋愛で結婚する人達がいても良いって社会と、恋愛能力が必須になった社会は大きく違う。
そして俺はふと気付く。
物事における……才能の是非。
受験勉強であれ、運動であれ、恋愛であれ才能が絶対的に必要だ。
知性が低いなら受験勉強は難しいし、運動音痴なら運動は難しいし、ブス不細工コミュ症なら恋愛は難しいだろう。
それを全部、「本人の努力不足」とか「才能がないだなんて言い訳するなよ」とか「できないのは出来るまでやらなかったから」とか頭おかしい意見で踏みにじるのは無理矢理でしかない。
実際、物事を達成するには才能が必要なのだ。
そして才能にはランクがある。
東大受かる奴もいれば、早慶受かる奴もいれば、GMarchに受かる奴もいれば、日東駒専に受かる奴もいれば、Fランクかそれ以下の奴もいる。
運動だって世界一位もいれば、国一位もいれば、県一位もいれば、学校一位もいれば、万年補欠もいる。
イケメンもいれば、フツメンもいれば、不細工もいる。
……結局、才能を授かるか否か、なのだ。
そして仕切りが高くなれば高くなるほど、敗者も多くなる。
恋愛というのは国家の存続に必要な生殖行為に仕切りを高くして、少子化してしまう危険性があるってのは疑いようが無いだろう。
だが、大切なことは一つ。
俺が不愉快な思いをするかしないか、だ。
道になった今は、恋愛否定したくないんだよね。
一応、彼女持ちだから。
「……言いたいことは理解出来る」
〖なら言ってくれ〗
「は?」
〖天皇の造った日本より、朕の造ったモンゴル帝国のが優れてるって言ってくれ〗
「!?」
〖頼む、お前にそう言って欲しい〗
なんてことを言うんだ。
だがチンギスハンの目はマジだった。
そしてチンギスハンの野郎は手を合わせ、俺を拝んでくる。
〖お前の言葉は価値がある。そこら辺の流されるだけの奴とお前は違う。確固たる意思を持つお前に……朕は褒められたい!〗
えー。
……どうしようかな。
嫌だよ、こんな性犯罪者を褒めたくないです。
俺は困り顔になった。
〖国として優れてるのは、朕の方だろ? 日本が長く国家として存続してるのは島国だからだ。天然の自然障壁が外国の侵攻を食い止め続けたに過ぎない〗
「……俺さ、日本を優れた国とは見なさない」
チンギスハンの顔がぱぁっと明るくなる。
「だが、チンギスハンのモンゴル帝国を優れた国とも見なさない」
チンギスハンの顔が一気に暗くなった。
「……ただ長生きする国。戦争に強かった国。国家として優れるとはそういうことじゃない」
〖じゃあ、優れた国って何だ?〗
「衆愚に良い経験を積ませつつ、良い文化を作れる国なんだと思う」
〖……言いたいことは理解できる〗
チンギスハンの顔が複雑な表情で強張る。
……理解できる、か。
こいつはやっぱ凄い。
庶民が経験を積み重ねることの必要性を理解できるのか。
……大した奴だ。
それを理解し、育むことの尊さを理解出来る為政者が……世界に何人いるか。
この男は異常だ。
本は人を豊かにする。
だがこの男は……本など読まず、ただ己の直感と心と、持って生まれた体躯で世界最強の男になった。
強○は批判されるべきだが、才能があったことは疑う余地がまるでない。
そもそもあれだけ強かった中国を征服できてる以上、ただの脳筋だなんて有り得ない。
……学習能力、高い方なんだよな。
その才能を間違ったことに使わなければ、誰より絶賛される奴になってもおかしくなかったかもしれないのに。
色々と惜しい男だ。
「……それを理解できるだけお前はマシだ」
〖でも、褒めてくれないんだな〗
チンギスハンの目が潤む。
……っち。
何か褒めてやるか。
何かあったかな、こいつの良いとこ……ってあれじゃん。
「チンギスハン」
〖?〗
「お前の良いところ、あったぜ」
〖な、何だ!?〗
チンギスハンは少し顔を赤らめ、興奮気味に言ってきた。
全然可愛くねえ。
「お前の良いところはだな」
〖うむ〗
一帯一路の一路。
中華史上最高クラスの政略家に見出された人類屈指の道を造ったこと。
それを言おうと思ったその時だった。
突如、巨大な何かが無音でチンギスハンを貫いた。
〖っ!〗
大きな弓矢だった。
弓矢には刻印が施されており、黄金色の魔力が刻印から放たれている。
〖ぐふ……〗
チンギスハンは吐血し、苦しく呻きながら倒れ込んだ。
そして、聞き慣れない綺麗な男の声がした。
少年のものとも、青年のものとも言えるような声。
«僕は喚起する! 全てを燃やし尽くせ、不死鳥!»
巨大な業火が草原を襲い、草原覇者も俺もエヴォル軍も全てが火に飲まれていく。
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