第12話
今回はかなり短いです。
シルバーナは混乱した。森の中を走っていたと思っていたら、アキトの部屋に居たのである。
「え?あれ?私、どうして…。」
そこまで言いかけて、シルバーナは気づく。
「あ…、転移召喚…。」
シルバーナはアキトと転移召喚契約をしていたことをすっかり失念していた。
(うう…恥ずかしい。あんな嘘までついてアキト様から離れたのに、すぐ呼び戻されるなんて…。きっとアキト様はもの凄く怒ってるよ…。)
恐る恐るアキトを見ると、アキトは怒るどころか、少し申し訳なさそうに笑っていた。
「無事で良かったです、シルバーナ様。あなた様のお気持ちも考えず申し訳ありません…。」
「そんな…、違いますアキト様。アキト様は何も悪くないです。悪いのは私…」
悔恨の気持ちのためアキトを見ることが出来ず、俯いたまま喋るシルバーナは、謝罪の言葉を紡ぐ途中で暖かいものに包まれ、言葉をなくす。シルバーナはアキトに抱き締められたのである。
「いいえ、あなた様が心優しいのは良くわかっていました。そして、そんなあなた様なら僕に申し訳無いと思って行動することも、予想がついていました。…だから、すみません。あなた様に気を遣わせてしまいました。シルバーナ様、大丈夫ですよ、僕はどんな事があってもあなた様の味方です。あなた様は僕に気を遣わず、思いっ切り頼れば良いのです。」
「そんな…、わた、私、は…。」
アキトの腕に優しく包まれ、アキトの心臓の音が聞こえる。その音がシルバーナの心の堰を優しく崩していく。
囁きかけるようなアキトの言葉は、シルバーナの心に染み込み、暖かく溢れる。シルバーナは心の中から零れ出しそうな想いに声を詰まらせる。
「どうじで…、ぞごまでわたじのだめに…」
必死で崩れそうになる心の堰を支える、もはや時間の問題だとわかっていても支える。この堰が崩れてしまったら、もう後戻りは出来ないとわかってしまったから。
シルバーナの必死な声に、更にそれすらも包み込んでしまいそうな優しい声で、アキトは告げる。
「それは、あなた様のことが好きになったからです。」
「しゅ!!しゅき!?」
アキトの突然の告白染みた言葉に、気が動転したシルバーナは噛みまくる。
「はい、あなたの健気な所、優しい所、他にも沢山有りますが、あなたは本当に良い娘なのですから。そんなあなたが好きになりました。」
「あ…、う…、うあ…。」
アキトの言葉に心が激しく揺さぶられる。堰はもう堰の体を成さず、只々激しく流れる想いの波に彼女は飲み込まれ、流されて行った。
「だから僕を頼って下さい。可愛い女の子のために頑張れるなら、男名利に尽きるってものです。」
「で、でも…。」
最後に残された堰の残骸が、それでも不死者の如く立ち上がり、最後の抵抗を見せる。
「僕は本当に、心からあなたの役に立ちたいのです…。ルビィ。」
「……!!。う…、うう…、あああああああ!!」
その最後の抵抗も虚しく、塵一つ残さず残骸は消し飛ばされ、剥き出しの心はひたすらにアキトを求めた。
シルバーナはただただ暖かく大きいアキトの胸の中で赤子のように泣き喚いていた。しかし、その泣き声にもはや悲壮感はなかった。
シルバーナマジチョロイン。




