四十日。
話があると、呼び出した。
初めて告白されたあの場所で、あの時より寒くなった空気で肺をいっぱいにして、待つ。
遅刻はしてない。約束時間とはまだ五分くらい、残っていた。
なのに、私もあの子も。
「早かったじゃん。」
既にお互いの顔が見えるくらい近くで、同じ香りを漂わせていた。
「もう遅刻はしないの?」
秋だった私達の背景は、いつの間にか冬に移り変っていて。かなり、乾いた返事が返ってくる。
言葉一つ一つにおどおどしていた頃はもうない。
「まぁ、いいよ。」
それが少しだけ気に食わなかった。
人の慌てふためく姿が見たいって思う私はきっと悪い子だ。他人の困りを見て楽しむなんて。
「それより、お話し。」
一歩近づいて、顔を見上げる。
あまり、慌てる気配はなくなってて、また機嫌が悪くなった。驚いていちいち反応して欲しいのに、もう慣れてしまったってことなのか。
「私ね、最近思ったの。」
手を握ると、ようやく。
「ふふ…」
動揺した。
「私達、結構仲良くなったなーって。」
慌てて手を握り返して、すぐに力を抜いて、また力を込めてと忙しない。
「握ってもいいよ?」
ぎゅーっと、力を込めて指を絡める。
「こんなのいちいち悩む必要ある?態度はでかくなったのに、まだ臆病者なんだから。」
反対側の手もぎゅっと握る。
「仲良くなったんだから私達。」
そっと顔を近づける。
「当初の目標に、一歩近づいてみようよ。」
固まった顔に、頬に、ちゅって。
口付ける。
「私、君が好き。」
わかりやすく顔が赤くなって、息も荒くなって、手に込められた力がますます強くなる。
可愛い反応。
「でも、付き合うのはまだ先のことだから。」
面白くてつい、キスを繰り返す。
「まずは……」
頬に軽く唇を当てて、離して、また当てる。
「両思いの友達になろ?」
リンゴみたいに真っ赤になった顔はもうすぐ弾かれそうな感じがしていた。
手のひらから伝わる温もりは生半可なものではない。冬が、秋に感じられるくらいの温もりだ。
「答えは?」
私の顔は案外、平気なのかも知れない。体が火照ったりはしない。寒いだけだ。だから、温もりを求めて体をくっつける。
「うん。よろしい。」
同じ香水の匂いがふんわりと、鼻をつんざく。お母さんと、お父さんと、お姉ちゃんと…
私達の匂い。
そう思った途端に、わけも分からず恥ずかしさが物凄く込上がってしまった。
突然、現実を突きつけられた感じ。
「………っ」
私が、告白した。
私から、告白した。
「……これからも、仲良く…なってみようよ。」
絞り出すように、いつもの調子で声を出すつもりだったけど、駄目だった。




