表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『十二星天の裏支配者 〜追放された雑用係、実は星座を喰らう最後の蛇でした〜』  作者: パーカー
第四章『観測と選択』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/52

第30話 『直接固定』

“死亡確率 64%”

赤い数字が、夜の空に浮かんでいる。

下がった。

だが、水瓶王は満足していない。

塔の最上階。

王は水晶に手を置いたまま、静かに告げる。

「集団分岐、傾向操作」

「予測曲線逸脱、確認」

その視線が、俺に落ちる。

「ならば、直接固定を行う」

広場の空気が、凍る。

リゼが一歩前に出る。

「何をする気?」

水瓶王は答えない。

水晶が青く輝く。

次の瞬間。

俺の視界が歪んだ。

世界が、狭まる。

音が消える。

足元に、一本の線だけが残る。

それ以外が、闇に沈む。

「これが直接固定」

王の声が響く。

「君の“次の選択”を限定する」

冷たい感覚が胸を締め付ける。

未来の幅が、急速に削られている。

“死亡確率 78%”

一気に跳ね上がる。

現実に戻る。

赤い数字が大きく変わっている。

広場がざわつく。

セイルが青ざめる。

「急上昇……」

リゼが俺を掴む。

「何が固定されたの?」

体が、妙に重い。

違和感。

右足。

動かしづらい。

「行動予測を絞られた」

水瓶王の声。

「君は今、三手先まで行動が計算されている」

三手。

つまり。

俺が避ける。

攻める。

退く。

その全てが、既に予測済み。

分岐が、閉じている。

俺はゆっくり歩く。

右へ。

足元の線が硬い。

左へ。

同じ。

ジャンプ。

天井から、石片が落ちてくる。

偶然ではない。

固定された“事故”。

水瓶王が静かに言う。

「逸脱を重ねれば重ねるほど、演算は洗練される」

「予測は追いつく」

蛇がざわつく。

奪えば終わる。

六つ目に触れれば、突破できる。

だが。

今回は触れない。

俺は息を吐く。

「三手先までか」

「それが限界だ」

王は淡々と答える。

三手。

なら。

四手目を作ればいい。

俺はわざと転ぶ。

石畳に膝をつく。

広場がどよめく。

王の視線が鋭くなる。

「自滅か」

違う。

俺は笑う。

「これは一手目だ」

転倒。

予測内。

二手目。

ゆっくり立ち上がる。

予測内。

三手目。

後退。

予測内。

その瞬間。

俺は手に持っていた小石を、無造作に空へ投げた。

四手目。

何の意味もない行為。

だが。

演算が一瞬、止まる。

石は落ちない。

空中で弾かれる。

観測網が再計算に入る。

その刹那。

俺は横へ踏み出す。

予測外の角度。

足元の線が、一瞬だけ増える。

一本。

細い分岐。

“生存”

水瓶王の目がわずかに見開かれる。

「四手目……」

俺は低く笑う。

「未来は三手じゃ足りない」

現実に戻る。

“死亡確率 72%”

下がった。

だが王はすぐに水晶を強く握る。

「演算拡張」

空気がさらに重くなる。

今度は五手。

六手。

未来が高速で閉じていく。

“死亡確率 74%”

上がる。

押し返される。

汗が滲む。

リゼが叫ぶ。

「アルク、限界よ!」

確かにきつい。

脳が焼ける。

未来を読むわけじゃない。

未来を“増やしている”。

蛇が低く囁く。

――まだ足りない。

俺は目を閉じる。

直接固定。

つまり、観測が俺に集中している。

なら。

俺以外に分散させればいい。

目を開ける。

広場の人々を見る。

「今から俺に話しかけろ」

唐突。

人々が戸惑う。

「ランダムに」

「何でもいい」

水瓶王の眉が動く。

演算が乱れる。

十人が同時に声を上げる。

雑談。

怒号。

質問。

情報が洪水のように流れ込む。

観測網が処理しきれない。

俺はその隙に、一歩踏み出す。

固定された線の外へ。

“死亡確率 67%”

数字が大きく揺れる。

水瓶王が水晶から手を離した。

沈黙。

広場に、重い静けさ。

王は俺を見る。

その目に、わずかな変化。

「分散干渉」

「観測負荷を上げたか」

俺は肩で息をしながら笑う。

「未来は、一人で背負うもんじゃない」

王はしばらく黙り込む。

やがて告げた。

「五割は、まだ遠い」

だが声は少しだけ、柔らいでいた。

“死亡確率 67%”

削った。

だが戦いは続く。

六つ目に触れず。

未来だけで。

第30話までお読みいただき、本当にありがとうございます。

今回は

・直接固定

・三手先予測

・分散干渉という対抗策

を描きました。

水瓶編は、静かですが確実に積み上がっています。

もしここまで読んで

「この展開好きだ」

「続きが気になる」

「水瓶編面白い」

と思っていただけたら――

ぜひ評価(☆1〜5)をお願いします。

⭐評価が入ると、本当に励みになります。

ランキングにも影響しますし、

何より「読んでもらえている」と実感できます。

今は物語の“深掘りパート”。

派手さより芯を描いています。

それでも読んでくださっているあなたに感謝しています。

ぜひ評価で応援していただけたら嬉しいです。

次話、観測はさらに強化されます。

六つ目の影も、少しずつ近づきます。

引き続きよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ