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銀河帝国皇帝アスカ様 零ーZEROー ~スペアボディと呼ばれた彼女が皇帝陛下と呼ばれるまで~  作者: MITT


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第十七話「宇宙戦争」②

「総帥なら解ってると思うんだけど、無人兵器同士の戦いとなると、補給……要するに、電力供給の問題ってのが絶対に出てくるからねぇ……。無人兵器の運用ってのは、数やら質なんかよりも、如何に必要とするだけの大電力と弾薬を現場や前線基地に潤沢に提供できるかって勝負なんだよ」


 もちろん、質は重要だし、数が揃わないと戦力にもならない。

 そこは、有人部隊……人間中心の軍勢でも事情は一緒なんだけど。


 無人兵器部隊ともなると、現場の戦力の優劣よりももっと上のレイヤー、つまり電力供給と言う戦略的な要素が極めて重要となる。

 なんせ、無人兵器を生産する工場やその原材料を生成する工場はもちろん、AI自体を稼働させるにも膨大な電力が必要なのだ。


 おまけに、需要に応じた大電力を潤沢に供給するとなると、発電時の余剰熱の冷却は必須となるので、それも考えなきゃだし……。

 もちろん、昔に比べたら発電時の熱効率は大幅に効率化出来てるんだけど……熱々になった冷却水の冷却には、海水を取り込んで冷却剤として使うのが一番コスパもいいし、てっとり早い。

 

 そして、何よりも今どきの核融合発電は、海水から水素を取り出して、燃料として使うってのが基本になってる。

 結局、それらすべてに都合がいい海岸部が戦略的根源地として、重要視されるのもそう言うことなのだ。


 そして、無人兵器もその大半がモーターとバッテリーで動くのが基本である以上、バッテリー切れ=即死。

 それが無人兵器の致命的な弱点なのだ。


 食料と水があれば、最悪武器すら無くてもどこでも戦える人間様の軍勢とは、そこが決定的に違うし、根本的な無人兵器のウィークポイントであり、未だに戦場に軍人が必要とされる理由がこれなんだよなぁ。


「なるほどねぇ……。我々も無人兵器を主力兵器にしているんだが、宇宙では稼働エネルギーが足りなくなるなんて事はまず起きないからね。これは惑星地上戦ならではってことなのかな?」


 稼働エネルギーの枯渇が起きない……それ本気で言ってるのか?


 でも、この様子だと水素による核融合発電の効率が段違いなんだろうな。

 

 このグランティアの外観見たけど、地球製と違って、外装にゴテゴテとプロペラントタンクを載せまくるとかやってないしな。

 蒸気タービン式とか、前世紀から変わってない発電方式とは別の熱電力転換システムを実用化してるとか、その可能性もある……。

 

 まったく、人類統合体ってのは贅沢な戦争をやってるんだなぁ。

 こっちなんかアステロイド・ベルトでは、年中カツカツで戦争やってたんだがね。


 でもまぁ、電力が切れたら死ぬってのは、宇宙も一緒でそこは無人兵器も人間様も変わりない。

 なるほど、だからこそ……地上での無人兵器運用についての理解が不足しているんだな。


「まぁ、そういう事だね。宇宙空間の戦闘ってのは、基本的に拠点と言う考え方がないんだよなぁ……。反面、地上戦ってのは、基本的に拠点を中心に占領地域を拡大し、制圧すると言う考え方が基本になる……まぁ、要するに戦略自体が宇宙と地上ではまるで別物になってくるんだよ」


 まぁ、実際のところ……。

 今の地球の軍勢は、宇宙戦闘の基礎概念からして結構怪しいのだ。


 宇宙には、地上と違って何も無い。

 何も無いとなると、宇宙戦闘艦が拠点と同義となる。


 だからまぁ、人類統合体の考え方は間違いなく正しい。


 もちろん、資源の供給元……根源地は必須となるのだけど、そこから最前線への供給網となると、はっきり言ってかなり厳しい。

 この辺は実感を持って言える。

 

 それこそ、最前線では艦隊単位で自給自足である程度賄うのが理想で、必然的に大型艦中心の運用となる……なるほどねぇ。


「なるほど……。一応、こちらでも惑星開拓の際は、拠点ブロックを地上へと投下する形で拠点構築するつもりだったんだが。そのやり方だと、平時では問題なくても戦争……戦闘状況下だと問題になるわけだ」


「まぁ、そう言うことだね。もっとも地上に宇宙戦艦を直接下ろすなら話は別だけど……。全長1kmもあるんじゃ、降りたらもうそれっきりで事実上の使い捨てになる。だからこそ、それは現実的じゃない……。実際、今の技術で地上との往還を実現できるのは、50m級の小型揚陸艇やらがせいぜい。そこら辺の事情はそっちも地球も大差はないと思う」


「そうだねぇ……。惑星降下ともなると、再び宇宙へ戻るってのが大前提になるからね。確かにkm級の巨艦じゃ、重力の軛を振り払うのにとてつもないコストがかかる。シミュレーション研究の結果だと、惑星降下揚陸艇は全長100mくらいまでが現実的って話みたいだからねぇ……。確かにそれで運べる物資なんてたかが知れてる。そして、エネルギー源となる海水が現地調達が出来ないとなると……確かに割とどうしょうもないな」


 まぁ……地球地表を焦土化したいってのなら、話はまるで変わってくるんだがね。

 

 この場合、シンプルに地球側の宇宙戦力を殲滅した上で、衛星軌道を占有して、気長に大気圏外から、隕石爆弾やら核融合弾攻撃でも延々と続ければ済む。

 

 一発、二発程度なら、広大な地球であるからには、目に見えたダメージは出ないだろうけど、それが100発、200発、1000発とかだと話は別だ。


 そんな事をされた日には、時間の問題で地上には誰も住めなくなるし、地上の人たちも、むしろどれだけ生き残れるかって話になってくる……惑星対宇宙なんて構図、本来は惑星側に勝ち目なんて無いんだよなぁ。


「ああ、そこは地球側も同じような認識だよ。宇宙往還艇なんて大きくても50mくらいだからね。それ以上大きくなると、素直にバラして、軌道エレベーターで部品単位で持ち上げて、宇宙で再組み立てでもやった方がよほど安上がりだって話なんだよ。要するに……宇宙から惑星地上への侵略ってのは、思った以上に厳しいんだよ」


「なるほど、その難題にあえて挑むとなると、現地調達……要するに、地上のエネルギー拠点を確保するという事が絶対条件ということになるんだね。確かに、地球側の地上戦力配置についても、どこも沿岸部を重視した配置になっているのは、そう言うことなんだな。そうなるとむしろ地球の地上を制するとなると、どこが狙い目なんだろう?」


 ちなみに、地球側の地上防衛体制についても実のところ、長距離観測でほぼバレバレだったんだが。

 ディティールとなると、なかなかいい加減だったので、私からの情報提供という形で補完しておいた。


 だからこそ、地球側の戦力については、かなり現実に近い想定が出来ているはずだった。

 もちろん、昔の私だったら利敵行為と言うことで、そんな情報、絶対に漏らさなかっただろうけど。

 

 敵を知り己を知らば、百戦危うからずって言うだろ?

 

 地上侵攻なんてやっても、簡単に勝てないとトップに知ってもらえば、それ自体が戦争を止める抑止力となるって訳だ。

 

 だからこそ、私はカール・ミラー総帥に惜しみなく情報を提供していたし、こんな風に地球との戦争が、如何に無理筋かを理解してもらうべく、戦略レクチャーなんかもやってきた。


「そうだね……私が本気で地上制圧作戦をやるとしたら、日本列島へ衛星軌道上からの攻撃を仕掛けたうえで、なるべく発電施設や工場施設を無傷のまま接収……。その上で、日本列島そのものを侵攻拠点にして、接収した工場で無人の海上兵器を大量生産して、各地の海上戦力を殲滅。その後は、沿岸部の発電施設を破壊して回ってれば、そのうち向こうが白旗あげてくるだろうな」


 まぁ、元々これはアマテラスが考えた世界制覇戦略なんだがね。

 

 ちなみに、衛星落着前の日本の太平洋沿岸部には、海水から直に水素を取り込んで発電燃料とする核融合発電施設がズラッと山のようにあったし、水素吸着金属式の水素燃料カートリッジを使った小型常温核融合炉については、もう一家に一台のノリであった。


 一応、熱核融合炉を使った大型発電施設を建造するって選択肢もあったんだけど……。

 あれはあれで、大出力と引き換えに常温核融合に比べるとかなーり危なっかしいところがある技術な上に、余剰熱の放熱がなかなか馬鹿にならず、確実に地球温暖化を加速すると予想されたので、こちらはほとんど使用されていない。

 

 だからこそ、大出力化するなら数でカバー……常温核融合炉を山程作れば良くない? って事で小さな発電施設を山のように作るという方針になったんだ。


 結果的に、これは災害や戦争での施設被害に対する電力網の冗長性の確保にも繋がり、発電時の排熱の問題についても、常温核融合の排熱は熱核融合方式よりも遥かに低く、よりエコロジーな選択と言われていた。


 おまけに、周辺海域には、これでもかってほどには特盛の無人艦隊を放ってて、むしろ各国の抵抗勢力も戦力的に絶対に勝ち目がないってことであっさり折れたくらいだったからな。


 まぁ、衛星落着でその辺の大規模発電施設群や太平洋艦隊をごっそり失ったのも、今の日本国の失墜の原因の一つになってるんだがね……。


 ちなみに、日本の発電施設は、それなりに再建が済んでいるし、西日本方面の都市や拠点はそこまで衛星落着の被害を受けていないので、順調に復興中ではあるんだが……。


 復興にリソースを集中してる分、近隣の防衛体制はかなり心許ないものとなっているし、衛星落着の被害をモロに受けた東日本方面の被害はほぼ手つかずな上に、半ば放棄されているので、手薄な東日本辺りに降下されて、拠点化されると言うのは、アマテラス条約機構にとっては、割と悪夢のような展開ではあった。


 ただ、話を聞く限りだと、どうもヤクーツク元帥率いるタカ派は、ユーラシア大陸に固執してて、始めから戦略を間違えているような状態だった。

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