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湿っぽい『さよなら』をしたくなかった僕は「独りにしてくれ」と言って、通信室にこもった。
毎日、この場所で手紙を書き続けた。
届かないことは、分かっていても、それでも『君』に送り続けた。
きっと今でも君は、地球で僕の帰りを待ってくれているんだろう。
通信機にすがるようにして、最後のメッセージを送る。
何度も何度も、君に送り続けた言葉を。
きみの、名前を。
たった一つの想いを、指先にのせて。
どんなに時間をかけても、地球に帰ることは出来なかったけれど、それでも。
それでもいま、君に会いに行く。