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『木』は、本当に地球では考えられないほどに大きく成長して、いつしか宇宙船もそれの中に取り込まれて、どこか秘密基地のようになっていた。
花が咲いたことは、一度もなかったけれど、僕はその木を結構気に入っていた。
とっくの昔に、僕は自分で歩くことができなくなっていた。
自分の死期くらい、この歳になれば何となく分かるものだ。
「お別れだよ、アインス」
「マスター」
ついぞ、彼が何を考えているのか、理解することはできなかった。でも、きっとそれで良いのだと、今ならばそう思える。
心があろうと無かろうと、それが本物だろうと偽物だろうと。彼は最後まで僕の隣にいてくれた。それだけが、僕の知っていれば良い真実だ。
「ねえ、愛はみつかったかい?」
「難しい質問です。マスター」
「そりゃあ、そうだよ。だって、人類がきっと何千年もかけて探し続けているものなんだから」
「……あなたは意地の悪い人だ」
「はは、それこそ『今更』ってやつだよ」




