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08



しん、と静まり返った宇宙船の中は、いつもよりずっと寒い場所に感じられた。


この途方もない時間の中で、僕は永遠に、たった独りで生きていかなければならないのだと、唐突に自覚した。むしろそれは、遅すぎたくらいだった。



ずっと、目を背けていただけなのかもしれない。


何か大切なことを、ひどく大事であたたかなものを、忘れてしまっている気がして。



ただ、無性に悲しく、恋しかった。


置いてきた人々。何よりも大切だった人。あたたかい家。僕の故郷。



「マスター?」



後ろから声を掛けられて、それでも今は、今だけはそっとして置いて欲しかった。



「ごめん……それでも、君はロボットだ。ロボットなんだよ、アインス」


「分かっていますよ、マスター。それでも私は、あなたのそばにいます」



彼はそう言って、まるで人間がするみたいに、僕の背中を撫でた。ぎこちなくて、硬い金属の手は、全然あたたかくなんかなくて。



それでも、後から後から涙が零れて止まらなかった。



彼はただ、黙って、そうしてずっと僕の隣を離れることはなかった。







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