4/10
05
「これは、花って言うよりも……木になろうとしていないかい?」
「私にもそう見えます」
何ヶ月か経って、大きく成長したそれは、明らかに若木になっていた。
「なんて名前の植物なのかな」
「私には分かりかねます」
名前の分からない花……いや、木だ。
「地球にいる時とは、違う姿をしているかもしれませんね」
「それって、もはや新種だよ。名前でも付けようかな……『宇宙樹』とか」
「随分と、素っ気ない名前です」
まさかネーミングセンスで、ロボットからケチをつけられるとは思わなかった。
「なら、君がつければいい」
「私は何かに名前を付けるように設計されていません」
彼の返事に、僕は溜め息を吐いて、結局それをただ『木』と呼ぶことにした。