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第二十一話 実食、レイジング・キング・サーモン!!2

「あ、そうだライスさん! 実はラッテル湖の島の出現条件がわかったのよ!」


「え? 本当ですか?」


「ええ、あのね……」


 ナビィはラッテル湖の出現条件をライスさんに詳しく話した。


 すると、「少々お待ちください」とライスさんは受付の裏に行く。


 しばらくすると、何かの袋を持って受付に戻ってきた。


「ナビィ様、情報提供ありがとうございます。ギルドでは、積極的に情報の提供を行ってもらうために情報提供者に報酬を渡す決まりがございます。今回は信憑性が高い情報としてギルドが判断致しました。こちら、追加報酬の五百万ゴールドです。お受け取りください」


「え? いいの! やったぁー!!」


 五百万ゴールドを四つに分けた百二十五万ゴールドの袋がみんなに配られた。


 まさか、情報が金になるとは。だが、少し気になることがある。


「なあ、ライスさん。信憑性が高いって言っていたけど、クエストに行っただけで嘘の情報を提供してくるパーティーもいるんじゃないのか?」


 もしも、情報を提供するだけで金をもらえるのであれば、悪用しようと思えばできるはず。それによっては、ギルドの本や資料も疑いの目で見なければならない。


「イッシン様、ご指摘ありがとうございます。ですが、その心配はございません。ギルドは他にもたくさんの情報から精査したうえで信憑性を決めております。それに信憑性というのは、情報の正確さだけではありません。信頼できるパーティーからの情報提供かどうかも、精査の基準とさせていただいております。なので、パーティー、ホワイト・ガレオンからの情報提供はギルドにとって有益と判断致しました。それに見合った報酬をお渡しするのは当然の義務です」


「へえ~なるほど。つまり、俺達は信用されてるってことか。よかったな、ナビィ」


「うん! 私達、結構頑張ってきたもんね!」


 ここまでの信頼関係を勝ち取るのもナビィの実力ということか。


 やっぱり、ナビィはすごい奴だ。


「じゃあ、次は換金所ね! あっ、ライスさん。あとでレイジング・キング・サーモンの調理をするから素材の移動をよろしく! みんなと一緒に食べようね!」


「はい! では、楽しみにしておきますね」


「ええ、じゃあまた後で!」


 ライスさんはにこりと笑って、手を振っている。


 俺達は受付の右手にある換金所に入った。受付の横長テーブルには相変わらず山の様に素材が乗せられている。ナビィは受付にあるベルを鳴らした。


「ガレフさーん、素材持ってきたわよー!」


 頭に鉄兜を被ったガレフさんがやってきた。


「よお、ナビィちゃん! レイジング・キング・サーモンを狩ったらしいじゃねえか。いつも通り、換金でいいか?」


「ええ、お願いね!」


「おう、ちょっと待ってろよ!」


 俺達はレイジング・キング・サーモンの換金申請をし、しばらく待った。


 緊張した空気の中、全ての素材を調べ終えたおっさん達が大きな袋をテーブルに置く。ガレフさんが全ての袋に印をつけていた。


「さて、待たせたな! レイジング・キング・サーモンの素材、換金終了だ! 今回は大物だが、ちと減額の対象があったな。確認できるか?」


「え、減額? 何か変な素材があったの?」


 ナビィは渡された袋を見る。その瞬間、「ゲッ」と声を漏らしていた。


「こいつはレイジング・キング・サーモンの胸ビレだな、どんな攻撃をしたのかは知らんが、焼き切れちまって使い物にならねえ。結構、希少価値のある部位だが、減額とさせてもらうぜ」


「まあ……これはしょうがないわね」


 聞いていたフリルが申し訳なさそうに頷く。


「申し訳ありません、お嬢様」


「いいのよ、フリル。しょうがないわ。フリルの攻撃が無ければみんな死んでいたかもしれないしね。ガレフさん。他の素材は大丈夫?」


「ああ、減額対象はこの胸ビレだけだな。他の部位は状態もいい、満額に近い状態で買い取らせてもらったぜ」


「で? いくら? いくらになったの?」


「今回の報酬額は、全部含めて四千万ゴールドだ。受け取ってくれ」


 どさりと置かれた大きな袋の中からキラキラと輝いた金貨が見える。


「きゃー! 四千万!?」


「すげ~~!」


「うおおお!!」


「すごいですね、お嬢様!」


 四千万ゴールドというと、一人、一千万ゴールドか。


 コカトリュフの時と比べると、ちょうど倍額になったってことだな。


「じゃあ、残りの素材はいつも通りギルドの保管庫に預けておく。ゴールドもついでに預けとくか?」


「ええ、お願いするわ! ありがとね、ガレフさん!」


 俺達は換金所を後にし、ギルドの酒場に向かった。


 酒場でさっそくナビィがマスターに話しかける。


「ねえ、マスター! レイジング・キング・サーモンの討伐を完了したのよ! 調理場を借りたいんだけど、いいかしら?」


「ええ、いいですよ。ということは、宴ですね?」


「うん! よろしくね、マスター!」


「そうですか。それは楽しみですね」


 俺達は調理場に入ると、中央のテーブルに巨大な肉が置いてあった。


 コカトリュフの肉の二倍くらいはある。きっと、ライスさんが運んでくれたのだろう。それにしても早い。一度運んでいる所を見てみたいくらいだ。


「さて、じゃあ調理を始めるわよ! 役割分担はいつも通りね。今回の肉は前よりも大きいから、イッシンはボーガンと協力して頑張ってね!」


「ああ、わかった」


「じゃあ、調理開始!」


 それぞれが作業場につき、俺とボーガンは一緒に肉の解体作業を始めた。


「イッシン、やり方は覚えているか? モンスターの肉は万能肉だからな、硬い筋を取るだけでいい。とりあえず、筋ごとに切り分けた肉をそれぞれ並べておけば、あとはナビィが料理のコンセプト通りに使う肉を決めてくれる。俺達はひたすら切り分け作業だ。いけるか?」


「ああ、問題ないぜ」


「よし。じゃあやるか」


 俺達はレイジング・キング・サーモンの肉を切り分ける。


 討伐した時にある程度の解体は済ませていたが、ものすごく巨大な肉だ。肉の筋を取るだけでも結構大変な作業になる。


「うおお……すげえ……」


 肉を切った感触だけでもわかる。引き締まった肉から伝わる弾力、そして柔らかさ。明らかに前の世界で食べた魚の肉とは比べ物にならない。


 島で食べた時の感動を思い出す。タラリと口からよだれが出てきた。


「あぶねえ、あぶねえ、作業しないと……」


 作業は順調に進み、どんどん肉が解体されていく。


 しばらくして肉の解体は終了し、俺とボーガンは一息ついた。


「ふぅ~終わった~」


「いやぁ~助かったぜ、イッシン。ありがとな。俺一人だったら結構きつかったぜ」


「これを一人でか。確かにそりゃきついな」


 休憩中、ナビィが切り分けられた肉を前にぶつぶつと考え事をしていた。


 恐らく、料理のコンセプトを決めているのだろう。


「よし、決まったわ! イッシン、ボーガン。また仕事よ? いける?」


「ああ!」


「おう、どんとこい!」


「じゃあとりあえず、わかりやすいようにヒレ肉と他の肉で分けて考えましょう。ヒレ肉はスープで使うわ。フリルが骨でダシを取っているから、スープで使う肉はフリルが持っていくわね。他で使えそうな肉は私が持っていくから、それ以外の肉で大量の刺身盛りを作って。やっぱり、魚といえば刺身だしね」


「刺身か、いいな!」


「じゃあ、二人共作業よろしく!」


 俺達はナビィに言われた通り、肉を刺身にしていく。薄く切るのはそう難しいことじゃない。これなら、素人の俺でも時間さえかければ作れる。


 またしばらく作業して、大量の刺身を作り終えた俺とボーガンは一息ついた。


「ふぅ~終わったぁー!」


「さすがに疲れたー」


 切った刺身は流れ作業でフリルが花びらの様に盛り付けをしてくれた。調理場には大量の肉の花が咲いている。


 最後の盛り付けを終えて、フリルは「ふぅ……」と額の汗を拭った。


「終わりましたね、お疲れ様です。イッシン様、ボーガン」


「おおーフリルもおつかれー」


「おつかれー……ん?」


 ボーガンが何かに気付いた。俺もすぐに気づく。


 調理場に、おいしそうな匂いが立ち込めていた。


「なんだ?」


 ナビィが銀色の紙を乗せた鉄板を持ってくる。


「みんな~お疲れ様~。味見もかねて休憩用のご飯よ。切り身とバターの銀幕焼き。食べてみて!」


「おお!」


「やったぁ!」


「ありがとうございます、お嬢様」


 調理場のテーブルの上にナイフとフォークと一緒に三人分の銀幕焼きが置かれた。ステーキを焼く鉄板の上に銀色の紙で包まれた物が焼かれている。


 取りあえず、ナイフで銀幕と呼ばれる紙に切れ込みを入れてみた。


 切れ込みを入れた瞬間、甘い煙が銀幕から立ち込める。銀幕の中には、黄金色のバターが切り身を煙と共に鮮やかに包み込んでいた。


「ふぉぉ~~うまそ~!!」


 皮にほのかに焼き色が付いており、ナイフを入れると身がほろりと崩れる。


 バターの芳醇な甘い香りが食欲を刺激した。鉄板の熱でジュワーッと甘美な音を奏でている。熱々の切り身を、スモーキーバターと共に口の中に入れた。


 はふはふと湯気を口から出しながらバターを絡んだ切り身が、舌の上で優しく崩れていく。ほんのり効かせた塩が脂の甘みを際立たせ、ジュワーッととろけるバターのまろやかさが全体を包み込み、深いコクを生み出していた。


「うんめええぇぇぇぇ……」


「うまあぁぁ……」


「おいしいです……」


 俺達は完食し、もっと食べたいという欲が士気を上げる。


「よっしゃあ! がんばるぞお!」


「「「おおー!!」」」


 そこからは早かった。みんなで協力して大量に銀幕焼きを作り終える。


 フリルのスープも完成し、俺達は汗を腕で拭い、ナビィに指示を仰いだ。


「よーし、ナビィ。次は何を作ればいいんだ?」


「そうね、次はメインディッシュよ。食材はもう用意してあるわ」


「おお!!」


 ナビィに連れられ、俺達はかまどのある場所まで移動する。


 ぐつぐつと煮立っているかまどの蓋をナビィが開けた。


「こ……これは!?」


 温かい湯気が目の前を覆いつくす。かまどの中には白く輝いた米が入っていた。


白銀米(はくぎんまい)。これを使ってメインディッシュを作るわ」


 まさか、この世界にも米があるとは思わなかった。


 米特有の温かくて良い香りが鼻に通る。思わず、よだれが垂れてきた。


 ナビィは炊き立ての白銀米を、用意していたどんぶりの器に乗せる。


「これをこうして……」


 ナビィは刺身を一枚ずつ乗せ、白銀米が見えなくなるほど山盛りにした。


「これはまさか、刺身丼!?」


「それだけじゃないわよ~。実はね、さっきライスさんに持ってきてもらったの」


 ナビィは冷蔵庫を開けると、中から深紅の輝きを放つ大きな卵が出てくる。


「……あっ!? レイジング・キング・サーモンの卵!」


 ナビィは巨大な卵の膜を包丁で切った。中から深紅の小粒の卵が溢れてくる。


 刺身丼の下に皿を敷き、その小粒を大量に刺身丼の上に乗せる。零れ落ちても気にせず、それはもう刺身が見えなくなるほどに深紅の卵を乗せた。


「うおおおおおおおっ!! 絶対にうまいやつ!!」


 綺麗に輝く紅色の刺身丼に、興奮が抑えきれない。


「これに、仕入れておいた暁醤油を垂らして~」


 深紅の小粒が大量に乗った贅沢な刺身丼に、赤色の暁醤油が染みこみ、芳醇な香りが俺達の嗅覚を刺激する。


「ふおおおおおおおおぉぉぉ!!!!」


「レイジング・キング・サーモンの贅沢丼! 完成よ!!」


 見ているだけでよだれが出てしまう。食欲が俺達の体を震わせた。


「ナビィ! 早くみんなの分を作って食べよう!!」


「ええ、そうね! 宴を始めるわよ!!」


「「「「おお~~!!」」」」


 俺達は急いで全部の料理を作り終え、酒場のみんなにも料理を運ぶのを手伝ってもらった。酒場からは嬉しそうな声がたくさん聞こえてくる。


「いや~楽しみだな~」


「この贅沢丼めっちゃうまそうじゃね?」


「私、このホイル焼きのジューって音が好き。たまらないわあ」


 全ての料理と酒を運び終え、ナビィがみんなに向けて声を上げた。


「よ~し、じゃあみんな、手伝ってくれてありがと~! 今夜は宴よ~!」


 みんなで酒の入った小樽を手に持ち、掲げる。


「かんぱ~~い!!」


「かんぱ~い!!」


 ギルドのみんなと一緒に酒を飲み、「くぅ~~」っと、のど越しを味わう。


「うめええええ!! よ~し、じゃあ、早速食べるか!」


「ええ! みんな、準備はいい?」


「おう!」


「はい!」


 俺達は目の前にある食材に感謝を込めて手を合わせた。


「「「「いただきます!!」」」」


 まずは、さっきも食べた切り身とバターの銀幕焼きからだ。


 ジューッと鉄板の上で焼かれている銀幕にナイフで切れ込みを入れる。


 白い湯気と共においしそうなバターの香りが鼻に通り、食欲をそそった。


 中にある切り身を箸でつまみ、一思いにパクッと皮つきの切り身をほおばる。


「ほふほふっ……ん~っ」


 パリッとした焼いた皮の食感から、ジュワッーと肉の旨味が溢れ出て、ホロホロと口の中で溶けるように崩れる。


 ジューシーな切り身がバターの深いコクと共に濃厚な旨味でいっぱいになった。


「うめええ……」


 そして次はメインディッシュの贅沢丼。


 俺は箸で贅沢丼をすくう。白銀米の上に紅色の刺身が乗っかり、その上にきらきらと深紅の卵が輝いていた。


「きれいだ……」


 全部を一度に味わえるように、全ての食材を一口で思い切り口の中にほおばる。


 プチプチプチッジュワッ~!!


 口の中が刺身といくらの旨味で広がっていき、醤油の塩気と刺身といくらのまろやかな甘い口どけのコラボレーションが口の中で旨味の爆発を引き起こした。


「ふおぉぉぉぉぉぉ!!」


 噛めば噛むほど、もちもちとしたお米が際立ち、刺身のしっとりとしたなめらかな旨味といくらのプチッとつぶした瞬間に溢れ出る濃厚な味わいがたまらない。


 暁醤油の熟成された塩気に刺身といくらのとろける様な滑らかさが口いっぱいに広がって、全ての食材をつなぎ合わせるように一口ごとの味に深みが増していく。まさに、贅沢な幸福感が体を内側から満たしていった。


 更に、フリルの作ってくれた骨と肉から取ったダシのスープをコクッと飲む。

 

 口の中に残っていた米と赤身がほぐれて旨味を加速させ、まるで、口の中で一つの食事のあり方が完成するような満足感が得られた。


「っはぁ~。うんめええええ……」


 世界で一番幸せなため息だろう。俺はこの一時を存分に楽しみ、感動していた。


 横を見ると、みんなも同じように幸せな一時を過ごしている。


「ん~~っ。おいしいわぁ……」


「かはぁっ……うんめえなああ」


「はぁっ……おいしいです」


 酒場のみんなからも幸せそうなため息が聞こえてくる。


 そしてすぐに、贅沢丼をかきこむ音や、酒をゴキュゴキュと飲む音で溢れ返った。


「うめえええええええええええ!!!!」


 酒場のみんなも笑顔で喜び、がやがやと騒がしくなってたくさんの注文が入る。


「おい、ライスちゃーん! こっちに贅沢丼二つー!」


「こっちは銀幕焼きを三つー!」


 ライスさんは忙しなく動いていた。


「はい、ただいまー!!」


 俺達はライスさんの手伝いをしながら、酒場の宴に参加する。


 酒樽を使った腕相撲が始まったり、急に上裸になるやつがいたり、腕を組んで歌いだしたりなど、飲めや歌えやで宴を楽しんだ。


「あはははははははっ!!」


 ギルドが笑顔で溢れかえり、大きな笑い声が響いている。


 いつものように日を跨いで楽しみまくった。


「いやあ~楽しかったぁ~」


 宿屋に帰り、泥の様に布団にダイブし、ぐっすりと熟睡する。


 俺達は満足感で満たされて一日を終えた。そして、数日後。


 ナビィから召集を受けてギルドの受付に集合した。


「さて、みんな集まったわね。それじゃ、早速受けるわよ」


「え? ナビィ、何を受けるんだ?」


「イッシン、忘れちゃった? 私達、Fランクモンスターを三種類討伐したのよ」


「三種類……? あっ、そうか!」


 その時、受付にいたライスさんが俺達に声をかけてきた。


「ええ、イッシン様。差し支えがなければ、ご説明させていただきます。Fランクパーティー、ホワイト・ガレオンのみなさまはFランクモンスターを三種類討伐に成功しておりますので、次のランクに上がるためのクエスト、ランクアップクエストを受注可能でございます」


「ランクアップクエスト……!」


「今回のランクアップクエストはEランクモンスター、グレート・ギガ・マンモスの討伐です」


 その言葉を聞いて驚いていたのはフリルだった。


「グレート・ギガ・マンモスですか!?」


「フリル、知っているのか?」


「はい。グレート・ギガ・マンモスはとてつもなく巨大なモンスターです。その大きさは山と同等といわれております」


「山と同等!? そんなの、たった四人で倒せるのか!?」


 だがその時、ライスさんが説明してくれた。


「ええ、イッシン様。確かに、グレート・ギガ・マンモスの討伐は四人では不可能と言われております。ですので、今回のランクアップクエストは特別任務として、複数のパーティーと同時に受注していただきます。つまり、レイドクエストです」


「それって、俺達以外にも参加するパーティーがいるってことか?」


「はい。ホワイト・ガレオン以外にも、今回のクエストに参加するFランクのパーティーがございます。今回はランクアップの条件として、討伐成功時にパーティーメンバーが全員生存していた場合のみ、FランクのハンターからEランクのハンターにランクアップできます」


「生存していた場合のみって言い方、妙だな。何かあるのか?」


「……申し上げにくいのですが、ランクアップクエストは死者が出やすいクエストですので」


「なるほどな……どうする? ナビィ」


「もちろん、受けるわ」


 ライスさんは、少しの沈黙の後、「わかりました」と呟いた。


 受付の棚からクエスト用紙を取り出す。


「こちらがランクアップクエスト、グレート・ギガ・マンモスの討伐クエストです。受領の場合はサインをお願いします」


 ナビィはクエスト用紙にサインを書き、ライスさんは受領印を押した。


「グレート・ギガ・マンモスの受領を認めます。出発は三日後です。それまでに準備を済ませ、三日後にギルドの酒場までお越しください。クエストの説明が他のパーティーと一緒に行われます。どうか、ご無事で帰還されることを祈っております」


「ありがとう、ライスさん」


 そして、俺達はギルドを後にした。だが、俺達はこの時まで知らなかった。


 このランクアップクエストの本当の意味の恐ろしさを。


ーーその頃、とある白い山。


 雪のような白い粒が吹雪のように目の前を覆う。


 視界全てが白で染まってしまう山で、少女はただ一人、歩いていた。


「私、どうしてこんなところにいるんだろう……」


 少女はただ歩く。歩くことしかできなかった。


 歩いていると、空中に輝く黄色い二つの光を目にする。


「一心君はどこにいるんだろう……近くにいると思うんだけど」


 黄色い二つの光を目印にただ歩く。


 近づいてくと、その二つの光はただの光ではなかった。


 黄色い眼光が鋭く光り、巨大な白いドラゴンが少女に向けて咆哮をする。


「グオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 凄まじい咆哮に、少女はペタンとその場で座ってしまった。


 だが、少女は笑っている。


「わぁ~! すっごい!! インドミナス・レックスみたい!!」


 つづく。


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― 新着の感想 ―
XのRT企画の方から伺わせていただきました! ネット小説という媒体で定番の要素とモンスターハンターをモロにパクって掛け合わせた世界観がさほど説明がなくても「みなさんご存知の」という感じで飲み込みやす…
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