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ADVANTALE アドバンテイル  作者: 新河歳,吉田賢一
アトラスピラミッド編
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AD第290話 その下に

5月9日から再開します

頭上からは絶え間なくオイルが降り注ぎ、前方からは石像が吐き出す紅蓮の火炎が通路を埋め尽くしていく。鉄のフェンスは熱を帯びて赤く染まり、三人の周囲の酸素は刻一刻と奪われていた。もはや一刻の猶予もない、文字通りの極限状態。


フェルリア「もしかして私たちこのままこんがりに?」


死の恐怖に震えるフェルリアが、煤けた顔でクロスを見上げて呟いた。彼女の脳裏には、自分たちが無残に焼き尽くされる未来がよぎっていた。だが、その隣で大剣を構え、誰よりも鋭い視線で前方を見据えていたはずの少年から飛び出したのは、あまりに場違いな言葉だった。


クロス「こんがりコーンッ☆」


キラーン、と効果音が聞こえてきそうなほど爽やかな笑顔で、クロスは親指を立ててみせた。伝説の戦士としての威厳をかなぐり捨てた、唐突すぎる駄洒落。熱風に晒され、命の灯火が消えかかっているこの場所で、彼のマイペースさはある種の狂気すら感じさせた。


セノ「言ってる場合!!??」


セノのツッコミが、炎の爆ぜる音をかき消すほどの勢いで響き渡った。雷の防壁を維持するために精神を削っていたセノにとって、この状況でふざけられるクロスの神経は理解不能だった。


セノ「お前、さっきからスクランブルエッグだのこんがりコーンだの、食べ物ばっかりじゃねーか!これ、笑い話じゃなくてマジで死ぬ五秒前なんだぞ!」


クロス「ははは!でも、少しは身体の力が抜けたろ?フェルリア、泣き顔よりはその驚いた顔の方がまだマシだ」


クロスはそう言うと、瞬時にふざけた表情を消し、戦士の瞳に戻った。彼の冗談は、恐怖で硬直したフェルリアの心を無理やり動かすための、彼なりの不器用な優しさだったのかもしれない。


クロス「セノ、準備はいいか。俺の合図で通路のオイルを全部爆破しろ。その衝撃を大剣で逃がしながら、一気にゲートを突き破る!」


セノ「ったく……お前のその無茶苦茶なところに、俺たちはいつも救われてるんだからな!いいぜ、最高にこんがりさせてやるよ!」


セノの杖から、今までで最大の電光が放たれた。光と雷が通路を白く染め上げ、炎と激しく衝突する。


フェルリア「……バカ。本当、最低のバカなんだから」


フェルリアは涙を拭い、クロスの背中に強くしがみついた。大切な服を笑い飛ばされた怒りは消えていない。けれど、この「こんがりコーン」と笑う少年なら、本当に自分を地獄から連れ出してくれるのではないかと、心のどこかで信じ始めていた。


クロス「行くぞ!しっかり掴まってろよ!!」


クロスは大剣を正眼に構え、燃え盛る爆炎の渦中へと一歩を踏み出した。


炎のゲートを強引に突き破った三人を待ち受けていたのは、安息ではなくさらなる絶望の深淵だった。急停止したクロスの足元、鉄の床が唐突に途切れ、底の見えない巨大な空洞が口を開けている。


フェルリア「ひっ...!!落とし穴?」


フェルリアが悲鳴を上げ、崩れかけた足場の端を必死に掴んだ。松明の火が届かないほどの深みからは、生物の生存を拒絶するような凄まじい熱気が吹き上がってくる。


セノ「しかもその奥はマグマだな!落ちたら終わるぞ!!??」


セノが身を乗り出して下層を覗き込むと、遥か下方でドロドロと赤黒く煮え滾るマグマの海が、不気味な光を放っていた。フェンスの支柱は熱で飴細工のように曲がり、もはや一刻の猶予もない。


クロス「よし!ロープで縛って飛ぼう!!!」


クロスは迷うことなく背中のポーチから頑丈なロープを取り出した。迷宮の天井を走る太い鉄骨を見上げ、その強度を一瞬で見極める。彼の提案は、ロープを支点に振り子の原理でマグマの対岸まで一気に飛び越えるという、正気の沙汰とは思えないものだった。


フェルリア「えー!!服の次は体まで黒焦げになっちゃうよー!!」


大切なドレスを失ったばかりのフェルリアにとって、次は自分自身が「こんがり」焼かれる番だと言われているようなものだ。彼女は必死に首を振って後退りするが、背後からは依然としてオイルの炎が迫っている。


クロス「いいから行くぜええ!!!!」


クロスに「拒否」という選択肢はなかった。彼は素早い手つきで自分とセノ、そしてフェルリアの腰を一本のロープで手際よく、かつ強固に結びつけた。伝説の戦士の腕力が、逃げようとするフェルリアをがっしりと捕らえる。


セノ「おいクロス、これマジでやるのか!?計算ミスったら三人まとめてマグマ風呂だぞ!」


クロス「計算なんてしてる暇ねえだろ!セノ、飛んだ瞬間に雷で加速をつけろ!フェルリア、舌噛まないように口閉じとけよ!」


クロスは大剣を鞘に叩き込み、ロープの端を鉄骨へと投げ放った。鋭い金属音が響き、フックがガチリと固定される。


フェルリア「ちょっと、待って、心の準備がぁぁぁ!!!」


フェルリアの絶叫がピラミッドに響き渡るのと同時に、クロスは力強く大地を蹴った。三人の身体が宙に舞い、灼熱のマグマの上を猛スピードで滑空していく。


真下から突き上げる熱波が肌を焼き、上昇気流が三人を激しく揺さぶる。セノが杖を掲げ、推進力を生み出すために雷撃を放つ。


クロス「いやあああ!!

最高にスリルあるじゃない!!!!!」


死と隣り合わせの空中遊泳の中で、クロスだけは少年のような無邪気な声を上げた。恐怖に顔を歪めるフェルリアを抱え込み、彼は一直線に対岸のわずかな足場へと突き進んでいく。アトラスピラミッドの罠を、彼らは今、文字通り「飛び越えて」見せようとしていた。


ドサッ、という鈍い音と共に、三人はマグマの対岸にある鉄の足場へと滑り込んだ。熱風に晒され続けた身体が、冷たい金属の感触に一瞬だけ救われる。


セノ「着地成功....」


セノは荒い呼吸を整えながら、命を繋いだロープを解こうとした。だが、安堵の溜息が漏れ切るよりも早く、足元の鉄板がギギギ……と不吉な金属音を立てて軋み始めた。


その瞬間、三人の体重を支えていた床が、中央から真っ二つに折れるようにして急角度で傾斜した。


フェルリア「坂道になってるううう!!!!!!」


フェルリアの悲鳴が、金属の筒のような細長い通路に反響する。そこは通路というよりも、遺跡のさらに深部、光さえ届かない暗黒の底へと直通する巨大な滑り台だった。


クロス「うわわっ!止まらねえ!!」


クロスは大剣を床に突き立ててブレーキをかけようとしたが、表面を覆うオイルの残滓が潤滑剤となり、加速は増すばかりだ。三人は団子状態になったまま、アトラスピラミッドの心臓部へと向かって猛スピードで滑り落ちていく。


セノ「おい!この先、壁に激突したら今度こそスクランブルエッグ確定だぞ!!」


クロス「だから今はこんがりコーンだって言ってんだろ!セノ、前方に何か見えるか!?」


セノ「見えるわけねーだろ!真っ暗……いや、何か光ってる……!? あれは、ゲートか!?」


加速し続ける坂道の先、針の穴ほどの小さな光が見え始める。しかし、その光は三人を歓迎する出口ではなく、さらなる過酷な試練の入り口であるかのように不気味に明滅していた。


フェルリア「もー!服は燃えるしマグマは飛ぶし、今度は暗闇にダイブなんて、最悪の冒険よおおお!!」


フェルリアはクロスの背中にしがみつき、迫りくる未知の恐怖に目を瞑った。アトラスピラミッドの深層。そこには、伝説の戦士であるクロスですら経験したことのない、古の機械兵器や失われた理が眠っているのかもしれない。


クロス「くそっ、だったらどこまでも行ってやろうじゃねえか!しっかり掴まってろよ、二人とも!」


滑走音はさらに高まり、三人は光の渦の中へと飲み込まれていった。


猛烈な勢いで滑り落ちていた坂道が、最後は緩やかなカーブを描いて三人を柔らかな土の上へと放り出した。金属がぶつかり合う騒がしい音は止み、耳に届くのは、どこか遠くで流れる水のせせらぎと、木の葉が風に揺れる微かな音だけだった。


クロス「......すごい。遺跡の中にこんなものが?」


クロスは驚きに目を見開き、ゆっくりと立ち上がった。視界に広がっていたのは、見渡す限りの深い緑。天井は見上げるほど高く、そこには太陽の代わりに、淡く発光する巨大な苔や植物が幻想的な光を投げかけている。アトラスピラミッドの冷徹な機械仕掛けの中に、これほどまでに豊かな森が隠されているとは、伝説の戦士である彼にとっても予想外だった。


セノ「おいおい、マジかよ……。さっきまでマグマだの炎だので死にかけてたのが嘘みたいだな」


セノも呆然としながら、辺りを見回した。鉄のフェンスも、滴り落ちるオイルもない。ただ、しっとりと濡れた草の香りが鼻をくすぐり、戦いで火照った肌を優しく冷やしてくれる。


フェルリア「……信じられない。ピラミッドの中に、こんなに綺麗な場所があるなんて」


フェルリアは、失ったドレスのことも一瞬忘れたかのように、目の前の景色に見惚れていた。母アルデュエルと一緒に見た庭園を思い出させるような、穏やかで清浄な空気がここには流れている。


クロス「でも、油断はできないな。こんな場所に森があるってことは、ここを管理している『何か』がいるはずだ」


クロスは腰の大剣の柄を握り直したが、その手からは先ほどまでの殺気は消えていた。この森には、アトラスピラミッドの上層にあったような剥き出しの悪意は感じられない。しかし、静寂ゆえの底知れぬ緊張感が漂っている。


セノ「だな。この森の奥に、出口か……あるいは、このピラミッドの心臓部があるのかもな」


クロス「ああ。行こう、二人とも。こんがり焼かれる心配はなさそうだけど、次は迷子にならないようにしないとな」


クロスは前向きに笑うと、草を踏みしめて森の奥へと歩き出した。伝説の戦士と仲間たちは、機械の迷宮に隠された「禁じられた聖域」へと足を踏み入れていく。


森の最深部、巨木の根が複雑に絡み合う先に、古びた石造りの巨大な門が姿を現した。その表面には未知の文字が刻まれ、奥からは冷ややかな風が吹き抜けている。


クロス「見て!あそこ!門があるよ!!!」


クロスが指差す先、門の向こうにはさらなる遺跡の深部へと続く道が見える。ようやくこの奇妙な森から抜け出せると、三人は期待に胸を膨らませた。


フェルリア「とりあえずあそこを越えてみよう!!」


フェルリアを先頭に、三人が門をくぐろうと一歩を踏み出したその瞬間だった。


キィィィィィィィン……ッ!


目に見えない強力な衝撃波が走り、三人は透明なバリアに弾き飛ばされた。


「待てお前ら......この先に行きたければクイズを提案しよう」


どこからともなく、低く、重々しい男の声が周囲の空間に響き渡った。声の主の姿は見えないが、その威圧感は森全体を支配しているかのようだ。


クロス「提案?」


セノ「面白そうだな。力押しだけじゃ進めないってわけか」


クロス「いいぜ。受けてたってやるよ!!!」


クロスは大剣の柄から手を離し、不敵な笑みを浮かべて虚空を睨みつけた。伝説の戦士として、どんな勝負事からも逃げるつもりはない。


「締まっていけよ....なんせ銀河級の超難しい問題を抱えて...つまり銀河系をかけた問題だからな」


男の声が一段と低くなる。銀河系をかけた問題。その言葉の重みに、一瞬だけ場の空気が凍りついた。


フェルリア「へー、ますます面白そうだね?本当なのかな??」


フェルリアは腰に手を当て、疑わしげな表情で周囲を見渡した。服を燃やされた恨みは忘れていない。もしここで勝てば、何かいいことがあるかもしれないと淡い期待を寄せる。


「じゃあ、クイズだ。超簡単で超難しいものなーんだ?」


静寂の中に放たれた、あまりにも哲学的な……

というか、あまりにも意味不明な問いかけ。


クロス「なにそれ、訳わかんない!!!」


クロスの至極真っ当なツッコミが静かな森に響き渡った。あまりに抽象的すぎる問題に、伝説の戦士としての勘も、セノの知恵も、フェルリアの直感も、どこにも辿り着く場所を見つけられなかった。


「ふざけるなあああああ!!!!罰としてお前らはこの部屋で一生雷の竜巻の餌食になるがいいわああああ!!!!」


男はクロスの反応に激昂した。銀河級のプライドを傷つけられたのか、はたまたただの八つ当たりか。静かだった森の空気が一変し、門の周囲に激しい放電現象が巻き起こる。


セノ「おいおいおい!クイズに答えさせてすらくれないのかよ!!」


クロス「ちっ、結局力ずくかよ!みんな、離れるな!竜巻が来るぞ!!」


上空で渦巻く暗雲から、漆黒の雷を纏った巨大な竜巻が三人を飲み込もうと降りてくる。アトラスピラミッドの深層。そこは、理不尽な知性と、暴力的な魔力が渦巻く最悪の遊戯場だった。


作者から一言

それはまた、答えを聞いたら

「ああー!....あ。w」ってなるやつか、あるいは永遠に哲学の迷宮に迷い込むやつですね(笑)。


轟々と唸りを上げる雷の竜巻が、森の木々をなぎ倒しながら三人に迫る。紫色の電光がバチバチと空気を焼き、逃げ場を奪うように周囲を囲んでいく。だが、クロスは逃げるどころか、大剣を地面に突き立てて見えない声の主に向かって吠えた。


クロス「それならヒントを教えろよ!!!」


クロスの怒声が、雷鳴に負けない勢いで響き渡る。伝説の戦士として数々の試練を乗り越えてきた彼にとって、理不尽なルールで命を弄ばれることほど我慢ならないことはなかった。


フェルリア「そうだよ!!超簡単で難しい問題とか分からないでしょーが!!!」


フェルリアも負けじと、竜巻の風圧に耐えながら叫び返す。母から貰った大切なドレスを失い、さらには訳の分からないクイズのせいで一生ここに閉じ込められるなど、到底受け入れられる話ではない。


セノ「そうだぜ!銀河系がどうのって大口叩いたんだろ?だったら、俺たちが納得するようなヒントを出すのが礼儀ってもんだ!」


セノが杖を天に掲げ、迫りくる雷の竜巻の一部を自身の魔力で相殺しながら抗議する。三人の気迫に押されたのか、あるいは「ヒント」という言葉に何かを思い出したのか、狂ったような笑い声が一度止み、周囲の落雷がわずかに弱まった。


「……ヒントだと? 伝説の戦士ともあろう者が、知恵を借りようというのか。いいだろう、そこまで言うなら一つだけ慈悲を与えてやる」


空間が歪み、再び男の重々しい声が響く。今度は怒りよりも、どこか楽しんでいるような、冷酷な観察者の響きが混じっていた。


「ヒントは……『お前たちが毎日、当たり前のように使っているもの』だ。それは子供でも使えるほど簡単で、だが聖者でもその正体を説明するのは難しい。さあ、これ以上は銀河の法に触れる。答えを導き出せ、さもなくば……塵になれ!!」


再び竜巻が勢いを増し、今度は三人の足元まで電光が走り始めた。


クロス「毎日当たり前に使っているもの……?」


クロスは必死に思考を巡らせる。剣か? いや、セノやフェルリアにとっては当たり前じゃない。言葉か? それとも、歩くことか?


セノ「簡単で、かつ説明が難しい……。おい、これってもしかして……!」


セノが何かを掴みかけたその時、竜巻から放たれた巨大な雷の塊が、三人の頭上から容赦なく降り注いだ。


「答えを導き出せ、さもなくば……塵になれ!!」


男の傲慢な宣告と共に、漆黒の雷を纏った竜巻が三人を完全に飲み込もうと収束していく。だが、その中心でクロスが放ったのは、思考の放棄ではなく、絶望を叩き伏せるための咆哮だった。


クロス「知るかあああ!!!!門なんて簡単にこじ開けてやらあああ!!!!」


クロスは大剣を両手で握り締め、腰を深く沈めた。クイズの答え? 銀河の法? そんなものは、今この瞬間に仲間を守るための理由にはならない。伝説の戦士にとっての「当たり前」とは、道を阻む壁があれば、それを力で粉砕することだけだ。


セノ「おいクロス、まさかそのバリアを……!?」


セノが驚愕の声を上げる中、クロスの全身から凄まじい闘気が噴き出した。竜巻の電光が肌を焼き、風圧が骨を軋ませるが、彼は一歩も退かない。


クロス「セノ、フェルリア! 俺の背中に隠れてろ! 理屈じゃねえ、魂でぶち抜くぞ!!」


クロスは地を蹴った。バリアに接触した瞬間、激しい拒絶の衝撃が走り、火花が視界を白く染める。だが、彼は大剣を真っ向から門の結界へと叩きつけた。


キィィィィィィィンッ……ガガガガッ!!!


フェルリア「嘘……バリアが、軋んでる……!?」


フェルリアは信じられないものを見るかのように目を見開いた。絶対不可侵のはずの「銀河級」の障壁に、十三歳の少年の力が亀裂を刻んでいく。クロスの腕の筋肉がはち切れんばかりに膨らみ、大剣が紫の雷を強引に押し戻していく。


「な、何だと……!? 私のクイズを無視して、物理の力で理を覆そうというのか! 貴様、正気か!?」


見えない男の声が初めて動揺に震えた。知性で支配しようとした男の誤算は、クロスの「伝説」が、言葉ではなくその行動によって積み上げられてきたものであることを忘れていた点にある。


クロス「答えはこれだ! 俺たちの進む道は、俺が決めるんだあああああ!!!!」


クロスが渾身の力で剣を振り抜くと、空間を覆っていた透明な障壁が、ガラスが砕けるような轟音と共に粉々に散った。同時に、三人を閉じ込めていた雷の竜巻が霧散し、静寂が森に戻ってくる。


どごおおおおんっ!!!


門の石造りが崩れ落ち、その向こう側にある「真実」への道が大きく開かれた。


セノ「……はは、やっぱりお前は最高に無茶苦茶だよ。クイズの答えより、こっちの方がよっぽどスッキリするぜ」


セノは痺れる腕を回しながら、呆れたように、しかし誇らしげに笑った。


フェルリア「もう、本当に心臓に悪いわね……。でも、ありがとうクロス。さあ、あの失礼な声の主のところまで殴り込みに行こうじゃない!」


フェルリアもまた、煤けた顔を拭い、力強く立ち上がった。


クロス「ああ、待ってろよクイズ野郎。次はお前に、俺たちの『当たり前』を教えてやる!」


クロスは肩に大剣を担ぎ直し、崩れた門の先、ピラミッドのさらに深き闇へと迷いなく足を踏み出した。伝説の戦士の辞書に、「不可能」の文字も「回答拒否」の文字も存在しなかった。

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