004 実は恋してました。 ~ステファン・トリュフォー侯爵子息side~
全く時間軸が進まないな。私の物語。
【嘘】?告白したあとのステファンです。
ステファンは告白した。
【嘘】の告白を。
そして、了承された。
だが、ユルシュルは慌てたように挨拶をして帰ってしまった。
レモンイエローの髪はサラサラと風が弄び、ターコイズ色した瞳はぼんやりと空を眺めながらガゼボでそのままお茶を飲んでいたら、図書館からの帰りに本を一冊持ったケヴィンが気づき、声をかけてきた。
「こんなところで一人で何してるんだ?・・・・・もしかして、やったのか?」
やったのか?あのくだらない【嘘】と言いたいのだろう。ステファンはこくりとうなずいていたが、焦点があっていない。いつもと違うステファンの反応に。フラれたんだろうなとケヴィンは思う。だから、慰めた。
「まぁ、【嘘】なんだから、断られてよかったじゃないか。これで、誰も傷つかずに済む」
「いやっ・・・・・なんて・・・言うか・・・。恋人になった」
フワフワとして答え、ヘラッと笑うステファンに、葡萄色の瞳は困惑の色合いを持ち可愛い顔立ちのケヴィンの顔が怪訝そうに崩れる。
「はぁ?シュミット嬢が、了承したのか?」
「『謹んでお受け致します』って」
と言う緩んだステファンの顔にケヴィンは眉を顰めて眉間にクッキリと皺を寄せ不審げにステファンをまじまじと見る。睨まれているにも関わらず、ステファンはさらにふにゃっとなり言葉を続ける。
「彼女、声かけた時は無表情だったんだけどさ。セッティングされてるガゼボ見た時から瞳がキラキラしてて、まぁその時はまだ無表情だったんだけど。お菓子と、お茶にも瞳を煌めかせてお菓子食べた顔がさー」
と言葉を切り、ステファンは両手で顔を押さえて悶える。奇行を繰り返すステファンからケヴィンは一歩距離を取り、なんだこれ?と思いながらただ眺めて、ハッとする。
「もしかして、シュミット嬢を好きになったのか?お前が落ちてどうする?」
「しょうがないだろ?いつも凛としあの子が、お菓子を可愛い口で頬張ってフニャって!フニャって笑うんだぞ!可愛くて・・・・・告白するのめっちゃ緊張した!絶対声裏返ってた!断られるだろうなって思ってたからさ。顔から体温が無くなるくらい緊張した!」
「ん?ステファン、君、もとからシュミット嬢と面識あったのかいかい?」
「常に学年一位の同級生は、誰でも知っているだろう?」
サラッと、とぼけた顔で返されたがケヴィンの不信感はさらに増した。
「ちょっと待て、君どこで彼女に声をかけてこのガゼボに連れてきた!?」
「図書館の渡り廊下だが?」
「何故、彼女が放課後は図書館へ行くと知ってる?」
ステファンはビクッとすると目を逸らすがすぐに眉を顰め、ケヴィンを睨み返す。何でお前も知ってるんだとでも言うように。その意図が分かりケヴィンは首を少し傾けて答える。
「私はよく図書館へ向かうからね。度々見かけていたから知っている。けれど、君は普段は図書館へ寄り付かないよね?」
ステファンは優秀で地頭もいいが、勉強が好きなわけでは無い。勉強も授業中と試験前だけしかしない。きっと、普段からしていたらもっと成績がいいだろう。
だから、いつもケヴィンが2位で殿下とステファンは3位から5位を行ったりきたりしていた。ちなみに、殿下は余裕のふりしてるが割と必死でその位置をキープしている。
ジトッとした目でケヴィンが見つめると、観念したように口を開く。
「彼女の事は知ってた。入学まもない時に校舎で迷子になってたんだ。助けて道を教え送り届けた事があったんだけど、それからもよくウロウロしてるの見かけた。
そのうちクラスメイトの後ろをついて歩いてるのを見かけたこともある。友人ができてからは友人と一緒だから迷ってなかったみたいだけど。
あの、迷子の子が学年一位の成績って覚えちゃうだろう?迷ってるのに、背筋はピンッとしててさぁ。お礼もビシッとしてて綺麗でなんかかっこいいの。だから覚えてただけだよ」
ケヴィンの不信感はさらに増した。蠱惑的な葡萄色の瞳が圧を感じ声は低さを増す。
「なんで、図書館に毎日通ってるのまで知ってる?」
「ほら、知ってる子は見つけちゃうじゃん。いつも行くなーくらいでさ」
ステファンだって普段は貴族的に表情を隠すこともできる。彼女もステファンを良く観察していたのでユルシュルにはばれていたみたいだが、はたから見たら先ほどの挙動も貴族的に真摯な子息のそれであった。けれど、ケヴィンやオクタヴィアンの前では違う一番素の部分が出る。
普段使わない言葉使いで目は泳いでいる。ケヴィンはしっかりと理解し低い声で質問を重ねる。
「ねぇ。殿下が、シュミット嬢って言ったから【嘘告】実行した?」
ケヴィンがまじまじと睨みながら、質問するとステファンは目をまったく合わせない。ケヴィンは大きなため息をつくがふと気が付く。
「何で、最初は拒否したんだ?」
「いやっ。面識ない男に告白とかされたらフラれるに決まってるでしょ?」
今度は涙目になって、振られる想像をしてしまったステファンを呆れながらケヴィンも結果オーライか?と思い始めた。
「まぁ、本当に好きならいいんじゃない?シュミット嬢が了承したんだよね?脅したりなんかしてないよね?侯爵子息って言っても君、三男だし殿下について公爵領へ行くでしょ?私もだけど。優秀な嫁さん連れて行ったらいいんじゃない?」
「そんな、嫁さんなんて、今日付き合いハジメタばかりだぞ!」
にやにやして気持ち悪いステファンにケヴィンは苦笑するが、ふと嫌な予感が過る。
「でもさ、殿下、君が元々好きだったって知ったら引っ掻き回さないかな?面白くないとか言って、シュミット嬢に『嘘の告白だぜ!』とか言いそうじゃない?それでなくても、結構な大声で食堂で話してたんだ。どこからシュミット嬢に伝わるかわからないよ?」
確かに。と言いながら真っ青になるステファンに、ケヴィンは深い緑の髪のくせのついた毛に片方の手をさしこみ頭を抱える。
「試験が終わるまでは!絶対言うなって言う!そっその間にユルシュル嬢に!ちゃんと説明する!」
「・・・・・殿下、黙っていられるかな?」
「試験の結果落とすための嘘告だろ?大丈夫じゃないか?」
「確かに。しかし、早めに説明しないといけないと取り返しのつかないことになると思うよ。そこはしっかり考えてよね?」
「わかった」
神妙な顔をして、可愛くセッティングされたガゼボの中で頭を抱えている美青年に苦笑しながらケヴィンは先に帰るというと帰路についた。
読んで頂きありがとうございます。
ステファン・トリュフォー侯爵子息(16)
髪型:ストレート・ショート・センターパート 髪色:レモンイエロー 瞳:ターコイズ
ケヴィン・エチエンヌ伯爵子息(16)
髪型:くせ毛・ミディアム 髪色:ボトルグリーン(深緑) 瞳:グレープ




