能力者たちの集結
その頃、アジトから離れた情報支部では
雅人は滝さん達が戦っていることを知らせに行っていた
「雅人!帰ってきてたの?」
みづきさんは驚いていた
「ああ、司令官が罠を解いて、俺に情報支部の様子を見に行ってくれって」
「そう…なにもかもモニターで見ていたわ 智嬉が…っ」
雅人はみづきさんの肩を抱く
「今アジトでは一騎打ちしてんだ 智嬉さんは、みづきさんの彼氏さんなんだって滝さんから聞きましたよ 彼氏を助けたくないんですか?」
「助けたい、けど私にはなんの力もないのよ… 祈るしか方法はないわ」
「みづきさん…」
みづきさんは落ち込んでいたが顔を上げた
「情報支部がギリギリ持ってくれたのが唯一の救いだわ これが終われば、彼らに伝達できなくなる」
「町はほんと敵だらけです ここに長居は危険ですよ、ましてあなたは能力が少ないんですから」
雅人がそういうと、みづきさんは後ろに振り向いた
「雅人…私はいつだって、覚悟はできてるわ 死ぬ覚悟は できている」
「どうして、ここから逃げないんですか」
みづきさんは凛々しい表情をした
「能力者施設に誰もいない今、ここを守って上げられるのは私たちだから それに私だけじゃないわ」
<挿絵>
後ろからだれか走ってきた
「みづきさん!」
「あれ?あなたは」
「彼女は陽桜瞳よ 滝の彼女 ずっと実家で過ごしていたけど、こうなった今、彼女の強力なバリアが必要なのよ」
雅人は心配した
「それは、司令官には言わなくていいんですか?バリアの発動は」
みづきさんは静かに頷く
「私たちは司令官にあまり話さずに行動しているのよ 司令官はあくまでも戦闘中心 」
雅人は首を傾げる
「でもここにだって上司はいるんでしょう?」
「いたわ けど その人が今、敵になっているの」
「まさか、その上司が…!?」
「"根口航介"さん その人よ」
「あぁぁぁー!!!」
アジトでは死闘が繰り広げられていた
滝さんは既にボロボロの状態
「ふははは!! 貴明の力を使わないのか!」
「くっ…俺は…司令官がいなくても…仲間を守る!!」
「滝…」
トヴァースさんは負けじと技をぶつける
「"天華乱舞"!!」
滝さんよりも少し大きい竜巻を発生させた
「くっ… 貴様も貴明の技を使えるのか…っ」
「シルヴァに教わったんだよ 」
「貴明を守れなかった貴様が憎い…滝…お前も、地獄に落ちろ!!」
航介さんは技を放つ構えをする
滝さんは、既に息も耐え耐えで、
「これで、最後だ滝…」
「滝!!このままじゃお前死んじまうぞ!!」
智嬉さんは焦って倒れている滝さんに駆け寄る
「はあ、はあ…くそ、なんで…体が、重い…思うように体が動かない…!!」
滝さんはぐったり壁に体を寄せて座り込んでいた
「滝…!!」
「最後は貴明もそうなっていた 力が強かったからな 戦いで頻繁に強い技を出しまくっていたらそうなるだろう」
航介さんはそう言いながら構わず技を放つ構えをする
「しかし、私は容赦はしない!! 」
するとその時、聞き覚えのあるこえが遠くから聞こえた
「"雷拳"!!」
「"ライトニングスラッシュ"!!」
地下水路で待機していた純さん達が戻ってきたのだ
「うわああっ!!」
「純さん!!」
「司令官!!」
俺と智嬉さんが叫んだあと、ある男性が航介さんを見て驚愕していた
「……航介…本当に、航介か…!?」
「なっお前は!?」
「純の父親、"荒井誠"さんだ 今のライトニングスラッシュは、誠さんの技だ」
航介さんは誠さんの姿を見て動揺する
「嘘だろ…まさかこんな時に…かつて戦っていた仲間が…っ!!」
「目を覚ませ航介!! お前は、敵に操られているんだ!!」
「ふっ…無駄だよ誠 俺はもう、貴明への憎しみが強いんだ それに」
航介さんは滝さんの姿に目をやる
相変わらず滝さんはゼェゼェ言いながら座り込んでいた
「あれは…滝くん!?」
「あの時貴明を助けられなかった滝くんへの憎しみと、貴明への憎悪が強く、私は味方になるつもりはない 」
「親父…っ 」
「良いんだな、航介 」
司令官が足を1歩踏み出すと、それまでの空気が変わった
「君がもう、味方にならない、智嬉の元へ帰らないというなら、私も容赦はしない!!」
「シルヴァ…さすがは最高指揮官だな だが私も負けん!!」
航介さんは敵の力でアジトだった場所が貴明さんが昔戦っていた場所へとワープさせた
「これは…」
「思い出すだろう? シルヴァ あの日を」
航介さんは不敵な笑みをこぼした