あの日の過去
「こんなことをして…ただですむと思っているのか!」
司令官は怒りが止まらない
滝さんは未だに肩で息をしながらはあはあ言っている
「滝さん…立ち上がってくださいよ…」
俺は滝さんを見て思わずそう言ってしまった
「ふ、貴明は生まれ変わりを望んだんだな 息子を守りたかったのか」
「トヴァース…」
滝さんは苦しくても、トヴァースさんの名前を呼んだ
「!?なんだ、滝!」
トヴァースさんは心配して滝さんに駆け寄る
「お前は…親父の転生した姿なのか…?」
「ああ、そうなってるな ロダ様を守る使命ではあるけど、お前の護衛も引き受けている」
滝さんは息を整えながら話す
「トヴァース、俺は負けないよ、航介さんは俺に過去を思い出させようとしてるけど」
純さんは首を傾げた
「んん?てことは、あの日を思い出させようとしてるってことは、トヴァースは消滅してしまう可能性があんのか?」
トヴァースさんは肩をビクつかせた
「シルヴァ、そうなんのか!?」
「違う これは現実ではない 幻想世界だ」
航介さんはニヤリと笑う
「私は今、ちょうど貴明が死ぬ時間にタイムワープさせたのだ」
「親父…」
「そんなこと、思い出させてどうする気なんだよ!!」
息子である智嬉さんは反抗する
「智嬉は滝くんのそばにいたから知っているよな 貴明が死んだことを」
「ああ、直接死んだのを見てはいないけど知っていたよ」
智嬉さんと滝さんは同級生であり幼なじみ
「そう、誠と私は、あの日カルテー二と一騎打ちをしていた 貴明に裏切られながらも」
「……っ!!」
滝さんは思わず自分の耳を塞ぐ
「しかしこれが、あの日の時の街中か こんなに霧が濃かったのか」
純さんは特に気にせずずっと前を見つめていた
「さあ、時間のようだ」
滝さんは更に顔を下に埋めて前を見ないようにした
「嫌だ……嫌だ!!!」
「滝…!!」
トヴァースさんは滝さんを優しく抱きしめる
「親父…!!」
目の前には今まで司令官や敵が言っていたような光景が目の前で繰り広げられていた
本当に貴明さんと、敵が空で戦っていた
「あれが、貴明さん!?」
「バーチャルとはいえ本当に鮮明に見えるな」
司令官は目を塞がずじっと見ている
「司令官はその時なにをしていたんだ?」
智嬉さんは戦場にはいなかったため詳細をあまり知らない
「私は貴明が本当に死ぬかもしれない、この世界がなくなるかもしれないとロダ様と相談していたんだ、けど、貴明が本当にカルテー二と戦っていて能力が抑えきれなくなったのを知ってな 慌てて私の住んでいる世界からこっちに飛んできたんだ」
航介さんは高笑いをする
「ふははは!! 仲間を信頼しない故、能力を過剰に使いすぎた故での結末だ!!」
「……航介!!やめないか!!」
誠さんは声を荒らげる
「我々にも非がある!!貴明を最後まで信用出来なかった、世界を滅亡させる力があるのを知っていたが、本当に発動してしまうなんてあの時は思っていなかっただろう!!」
司令官も続けて話す
「そしてそれを止められなかった私たち… 私たちにも非がある… 滝 顔を上げなさい」
司令官に言われて滝さんは恐る恐る顔を上げると、目にはいっぱいの涙をこぼしていた
「ふ…司令官……っ!!」
「ごらん 貴明の最後だ」
「見たくない…」
貴明さんは、カルテー二との戦いで街中で能力を爆発させて、自滅して死んでいった
誰にも頼らず、自分の力の強さのあまり、もう誰にも手が負えないのを知って…
自滅するのを最後に航介さんはタイムワープを閉じた
「親父…親父…っ!!」
滝さんはただ、肩を震わせて泣いていた
「滝を戦闘不能にさせることが目的か?親父」
智嬉さんは静かに怒りに燃えていた
「それもあるが、能力を爆発させてこの世界を亡くすのが我々の目的だな」
「許さない!!」
トヴァースさんは武器を構えて航介さんに立ち向かう
「おや?まだ無事だったのかね?トヴァース こんな映像を見てもまだ消滅しないとは」
「あの事件があったからこそ、俺は滝に出会えた!!俺は滝のことを必死で守り続ける!!」
航介さんはトヴァースさんに技を仕掛けた
「"幻影呪縛"」
「くっ!!」
トヴァースさんは武器で技を避ける
「トヴァース… お前より、私がロダ様を守るべきだったなあ? 世界を滅亡させるそんな危険な能力の強さで、ロダ様を守れるわけがない」
航介さんは能力でトヴァースさんの首を絞める
「くっ…… けど、俺は…みんなを守りたかった… この力で、敵を倒したかった…」
「戯言を」
トヴァースさんは上に持ち上げられ、床に強く押し付けられた
「ぐはっ!!」
「トヴァースさん!!」
「もう…もう、許さない、航介さん!!」
滝さんはトヴァースさんがやられていることに気づいて目覚めた
「やっと戦う気になったかね?滝くん」
「親父も、仲間も、俺は絶対に守る!!」
滝さんは再び棍棒を握りしめて力を振り絞った




