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New Braver  作者: manaka
33/62

それぞれの悩み

「敵がこちらに続けてきています、アジトでなにが起きているんですか」

俺はつい智嬉さんの前だと体が構えてしまう

「そうだよな、ごめん…俺が止められないばかりに」

「智嬉さんだけの責任じゃありませんよ」

「いや、止めなきゃならないんだよ 俺は元々、滝をなるべく戦わせたくなくて情報支部へ異動して諜報員になったんだから」

司令官は智嬉さんの話を聞いて申し訳なさそうな顔をした

「すまない…お前たちばかりに、重い責任を」

「諜報員だから、戦いから逃れてることが多いんです 重たい責任は、滝には敵いません」

智嬉さんは紙の資料を司令官に渡した

「ここ最近の敵の動きです ざっくりですがまとめました」

「ありがとうな、いつも 君のおかげで助かっている」

「大胡たちの力だけでは、あの四天王を倒すのは難しいですよ」


<挿絵>

挿絵(By みてみん)

智嬉さんに一瞬俺の顔をじっと見られて体が硬直した

「ああごめん、大胡を怖がらせるつもりはないから」

「智嬉さん…俺は…元々、1人暮らしが長かったんです 滝さんも両親がいなく、1人が多かったって話を聞きました」

司令官は俺が話すと少し身構えていた

「大胡?なにを言うつもりだ」

「だから、1人がつらいのは十分理解しているつもりです 滝さんも1人で強がっているでしょうが、本当は、寂しいのかなって…」

智嬉さんは俺をいきなり壁側に追いやった

「っ!!」

しかし俺は動じなかった

「守ってくれ…その気持ちがあるなら、滝を1人にさせないって気持ちがあるなら!!」

「智嬉さん…」

智嬉さんは顔を下に向けて苦しそうに話す

「正直、俺もいつまであいつを守れるか分からない 敵も増えて4人だ…戦いになれば、俺に遠慮なんかいらない 全力で滝を守って欲しいんだ」

「……ずっと、悩んでいたんですけど少し気が晴れました、ありがとうございます」

俺は周りの人間関係をいつの間にか1人で抱え込んでいた

滝さんも、純さんもいない今、仲間をまとめなくてはいけない

俺は、司令官に背を向けて司令官室を出ようとした

「大胡!」

司令官は慌てて止めた

「なんですか」

「辛かったら、いつでも私や、周りの人間を頼れ 貴明はそれができなくて自滅していったんだ…」

司令官が弱弱しく話すと、俺は振り向き

「分かっていますよ、司令官」

俺はそれだけを言って、司令官室から一旦去った


「大胡、将来は強くなりますよ」

智嬉さんはニヤリと笑った

「……で、敵の動きとは」

「ああ、すいません、まだでしたね 」

「大胡も言っていた ここ数日、敵が連続して本拠地へ来ているんだ 滝や純がいない今、非常に警戒している」

司令官はデスクのモニターでアジトの動きを確認しながら智嬉さんに話す

「四天王の間で、1番に能力者を多く倒した者が幹部となる、という作戦がアジトで広まっています」

「なに…」

「ジャヤは消え去りましたからね、強い者がジャヤの復活する権利が与えられる、とか…」

しばらく智嬉さんと司令官が話し合っていると、司令官の通信機が鳴り出した

「ん?誰かな」

ポケットから取り出すと、滝さんの知らせだった

『司令官?蒼山滝です 今瞳が病院から家へ帰りました』

「ああそうか ご苦労さん」

『司令官…そっちは大丈夫ですか? 俺がいなくても』

司令官は智嬉さんに目をやると、智嬉さんに通信機を渡した

「誰だよ?」

『ああその声は智嬉か!』

「滝…大丈夫か、調子は」

『大丈夫だよ あと2日ぐらい荒井病院にいる そっちは大丈夫か?』

滝さんに聞かれ、智嬉さんは思わず本音を出した

「早く…帰ってこい…お前がいなきゃ、俺はなんにも出来ないよ…」

『いつだって戦ってきただろ?お前は俺がいなくても …気持ちは受け取るよ』

「ああ、じゃあ お前も病院生活がんばれよ」

そう言って、智嬉さんは司令官の通信機を切った

「……やっぱり俺は…あいつがいなきゃダメだ…」

司令官は智嬉さんの肩を後ろから強く叩いた

バシン!!

「ってっ!!」

「しっかりするんだ智嬉!! 弱気になっていたら、敵と戦えないぞ!」

「司令官…」

「また、アジトへ侵入して欲しい 敵がこちらに来る作戦が聞こえてきた」

そう司令官に言われると智嬉さんは再びキリッとした

「はい、了解しました!」

智嬉さんがいなくなると、司令官は天井を仰ぎ見た

(はあ…私は、滝を怒ればいいのか、またはその反対か、どうすればいい… 滝、みんなお前を待っているよ…)


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