第3話 化物は目をつけられる
キーンコーン!カーンコーン!
次は移動教室か…移動しつつどこかで飯食うか。
そんな事をか考えながら教室から出ていく一樹。
ドンッ!
とある角を曲がった所で人にぶつかったようだ。
「いってぇなぁ!」
「ごごご、ごめんなさい!」
「いてぇじゃねぇか!って影山じゃねぇか!」
「ご、郷田くん!?」
間の悪いことに、ぶつかった相手は郷田だった。
うへぇ…最悪。
心の中で悪態をつく一樹であるが、時既に遅し。
「てめぇ!前ぐらいちゃんと見とけ!」
そんなセリフと共に一樹の腹に拳が突き刺さる。
「うがっ!」
うめき声と共に一樹はぶっ飛ぶが、お構いなしにドスッ!ドスッ!と殴り続ける郷田。
「貴様等!何をしている!」
「あぁん?って、チッ!生徒会長さまじゃねぇか。」
郷田を制止したのはこの学校の生徒会長、二年A組 次元綾乃。
少々、目元がキツイが容姿端麗で、中学の剣道の大会では前人未到の全国大会三連覇を成し遂げ、勉強の成績もAクラスが示すとおりトップレベルであり、正に文武両道である。
「なんもねーよ、ちょっと遊んでただけだよ。なぁ、影山?」
「う、うん」
「随分派手な遊びだな?なんなら私も混ぜてもらおうか?」
「チッ!行くぞ!」
そばで見ていた酒部と共に去って行く郷田。
「貴様、名前とクラスは」
「いいい、一年し、C組、か、影山一樹です…」
「影山か。貴様はなぜやり返さない?」
「そ、そんな、やり返したらどどど、どんな目にあわされるか…」
「ほぅ?…私の目は誤魔化せんぞ?」
そう言いながら鋭い視線を浴びせてくる次元。
チッ!また面倒なヤツが出てきたな…
「な、何を勘違いしているか知りませんが、あああ、ありがとうごさいました!」
そう言葉を残しさっさと逃げる影山。
「貴様!ちょっと待て!」
そんな事を言われて待つヤツがいないとばかりに姿を消した影山。
「逃げられちゃいましたね会長。」
「む?奏か。見ていたのか?」
声をかけてきたのは生徒会副会長、二年A組 西園寺奏
おっとりした雰囲気を持つが、生徒会の実務のほとんどをこなすキレ者である。
「彼のどこが気になったのですか?」
「気づかないのか?あれほど殴られたのにも関わらず、あの男はケロリとしていた。」
「そう言われると確かに。でもどうやって?」
「あれは殴られた瞬間に全身を使ってダメージを受け流していたのだ。それも殴った本人にきづかれない様にな」
「そんな事できるのですか?」
「普通はできん。だが、あの男は現にやっていた。元より頑丈なのだろうが…面白い!一度、手合わせしてみたいものだ!」
「あらあら、また会長の悪い癖が出てますよ?」
「ふふふっ!だが、今のままでは逃げられるだろう
な。なんとかならんだろうか…」
「なら彼を呼び出してしまえばよろしいのでは?今日のもめ事の事情聴取という名目で。」
「なるほど!その手があったか!よし、放課後に生徒会室までくるように呼び出そう!」
こうして悪い笑みを浮かべた生徒会によって一樹に魔の手が襲いかかろうとしていた…
そして放課後、帰り支度をしていた一樹だが…
キンコンキンコーン!
「こちら生徒会会長次元綾乃だ。生徒の呼び出しをする。一年C組影山一樹、至急生徒会室まで来い!繰り返す!一年C組影山一樹、至急生徒会室まで出頭せよ!」
うわぁ…まさか呼び出しまでするなんて…
しかも出頭とか…
回りを見渡すと一樹に注目の視線が集まっている。
一樹はげんなりしながら考える。
さて、どうしたものか…
よし!バックレよう!あんな面倒くさそうな女に構ってられるか!
それに今日は金曜日だ!土日を挟んだら忘れるだろ!
そう決断した影山はさっさと帰る事にした。
この時は、あんな面倒な事になるなんて思いもよらずに…




