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そんな僕が、かつて誰もが振り返るような“いい女”──たとえば北条司の漫画『キャッツ♥アイ』の瞳。見たとき、そう思ったってだけなんだけど──みたいな女を抱いたことがある。
「二次元じゃねぇか?」って? でも、それがみゆきなんだ。アンド、これがこの物語の始まりである。
ラブホテルの部屋に現れたみゆきは、僕の顔を見るなり、ゆっくりと笑いながら言った。
「まさか、薬やってないよね?」
その言葉に、僕は一瞬、どう答えていいのか分からなかった。彼女の美しさに引き寄せられて、僕は愛には不慣れなドラキュラのように、暗闇の中からじっと彼女を見つめていた。
みゆきは僕の視線を受け止めると、黒い瞳を光らせて、少し唇を歪めて言った。
「やってるでしょう?」
僕はぐっと喉の奥を鳴らし、言葉を飲み込んだ。
みゆきの表情がほぐれる。そして、ふっと視線を落とし、再び僕の顔を見て、こう言った。
「どうする?」
僕は、あまりにも冷静でいられなかった自分を感じながら、力なく答えた。
「……60分で」
時計の針は、夜の八時だった。
彼女は事務所に電話を入れ、何事もなかったようにバスルームへ入っていった。
みゆきのような美人が現れるなんて、考えたこともなかった。
その事実だけで、僕の身体は落ち着きを失っていた。暗闇の中、バスルームから漏れる灯りだけが、僕の視界を支配していた。




