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プロローグ 真夜中の祈り



 誰かの声がする。

それに答えながら意識が浮上した。


 真夜中。

 

 ゆっくりとベットから足を床に降ろし、隣のベッドでぬいぐるみに頬を寄せて眠る妹を、薄目で見ながら立ち上がった。


 ゆっくりとドアを開け、部屋を出ると、ダイニングルーム。 右手から父のいびき。左手の廊下へ潜み歩く。


 長い廊下の突き当たり。白いドアから漏れる、伸びやかな音楽と軽い金属の軋む音。 温かな灯を見てトイレへ入る。 済ませて出ると、もう灯りは消えていた。衣擦れの音だけ。


 車輪の音も、命あるものの声もしない。

 白い澄んだ光が窓から流れ込み、ゆったりと足下から満たしていく。


 音と気配が消えた空間は、ひんやりと冷たくて。


 

    おやすみなさい

    安らかに優しい夢を

    静やかに無感の夢を


    おやすみなさい

   

  


 

 

 

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