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働きすぎた社畜、死んだらダンジョン核に転生して魔王に!? 〜自由に生きてたら、気づけば勇者と結婚してました〜  作者: 烏羽 楓
第一章 しゃべる石ころ、魔王になる

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第5話「再起動した“核”、動き出すダンジョン計画」

 ……眩しい。


 まぶたの裏に差し込んできた柔らかな光に、ゆっくりと意識が引き戻されていく。


 なんだろう、この感覚……眠っていた? 俺が?

 まるで数日間、何もかもを忘れて眠っていたかのような――。


「……ぐぅ、すぅ……むにゃ……」


 ふと耳に届いた微かな寝息に目を開けると、視界の端に見慣れた金色の髪が映った。


 空間の片隅。石造りの壁際に座り込んでいるのは、我が眷属・レイラだった。

 

 相変わらずの無表情……って、寝てる!? 


 驚きつつも、その寝顔が妙に整っていて少し見入ってしまう。

 だが、それ以上に俺の目を引いたのは彼女の姿だった。


 服や肌にうっすらと汚れ。傷は見当たらないが、かなり戦った跡が見て取れる。

 そのことに気付いた瞬間、俺は慌ててダンジョンの状況を確認した。


 《ダンジョン監視インターフェース》を起動。現在の構造、魔物の数、侵入者のログ……。

 驚いたことに、魔物の数は半分以下になっていた。だが――


「……強くなってる?」


 どの魔物も、動きがキレてる。スピードも、連携も、まるで最初とは別物だ。

 なんだこれ、ゲーム的に言えば“レベルアップ”ってやつか?


 さらに侵入状況を確認して、思わず絶句した。


「うわ……マジか。常に誰か入ってきてるじゃん」


 定期的に、複数のパーティがこのダンジョンに挑んできている。

 ログの量から察するに、この数日間、連日連夜で冒険者が入り込んでいたらしい。


「やば……俺、不在中にめちゃくちゃ忙しかったんじゃ……」


 慌てて拡張画面を開いたその瞬間、俺の目に異様な数字が飛び込んできた。


──────────────────

【ダンジョンステータス】

名前:未設定(※初期値)

階層数:1

配下数:1(レイラ)

魔物数:42

罠設置数:18

拡張ポイント:1630

経験値:3204/8200

──────────────────

 

「は!? なんで!? 拡張ポイントが……1000超えてる!?」


 思わず叫ぶ。脳内にエコーかかったかと思うレベルの驚愕だった。


「おはようございます、(マスター)


 静かに目を覚ましたレイラが、まるで何事もなかったかのようにそう言った。


「お、おう。おはよう……って、いやいや! レイラ!? なんでこんなポイントたまってんの!?」


「結構たまりましたね」


「いや、だからそうじゃなくて! 原因だよ、原因!」


(マスター)が意識を失っている間、毎晩のように冒険者が侵入してきていましたから」


「……マジで?」


 思わず画面を二度見する。

 その数値が嘘じゃないと分かった瞬間、胸にじわっと温かいものが込み上げてきた。


「……ありがとう、レイラ。俺がいない間、お前が守ってくれたんだな」

 

 照れたそぶりも見せず、「当然のことを」と返されると思った。

 だが――彼女は一瞬、視線を逸らす。


「いえ、それも私の役目ですので」


 その横顔が、ほんの少しだけ照れているように見えたのは、気のせいじゃなかったと思う。


 そして、彼女は続けて言った。


「それに、(マスター)が設計されたダンジョン……思っていた以上に冒険者たちを苦しめてくれているようです。魔物たちも戦いやすそうでした」


「てことは、上手く機能してたんだな!」


 俺は促されるまま、ダンジョン内の様子を監視画面に映し出す。


 そこに映っていたのは、複数の冒険者パーティと、それに挑む魔物たちの姿――

 しかしその魔物たちは、かつてのような頼りない存在ではなかった。むしろ、堂々たる戦士のように戦っている。


「……なんか、動きがどことなく……お前に似てる気がする」


「まぁ、私が訓練と指示をしていたので」


「訓練までしてたの!?」


 信じられない。こっちはただの“石ころ”だったのに、ちゃんとダンジョン運営が回ってた……。


 思わず脱力して笑いそうになった瞬間、ふと、脳裏に一つの案がよぎった。


 ……待てよ? このポイントと、このモンスターたちの成長……それに冒険者の流入数……。

 これ、上手くやれば……いや、やるしかない!


(マスター)? どうかなさいましたか?」


「あ、いや。なんでもない。それよりさ――こんだけポイントもあるし、ちょっとぐらい贅沢してもいいよな?」


 俺の言葉に、レイラは少し怪訝そうな表情を浮かべたが、それを気にせず俺は操作を始めた。


 《ダンジョン改造モード》起動。


 ふふふ……始めようじゃねぇか、新しいプロジェクトを。


 いったい俺が何をしようとしているのか――それは、まだ誰も知らない。

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