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働きすぎた社畜、死んだらダンジョン核に転生して魔王に!? 〜自由に生きてたら、気づけば勇者と結婚してました〜  作者: 烏羽 楓
第一章 しゃべる石ころ、魔王になる

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第6話「進化の兆しと、新たなる“仲間”の予感」

 画面の奥には、俺の“ダンジョン”の全体図が浮かび上がっていた。

 その地図を眺めながら、俺は腕――いや、正確には核だから腕はないけど――まぁそういう感じで考え込む。


 やるなら、徹底的にやってやろうじゃねぇか。


「まずは階層を増やす。これだけ侵入者が増えてるなら、ワンフロアで収まるわけがないしな」


 そう呟きながら、構築開始。

 今ある空間の下層に、新たな階層を次々と追加していく。

 

 しかも、ただの迷路じゃ芸がない。

 

 ニ層目は錯視を利用した視覚トラップ中心の構造。

 三層目は浮遊床と重力反転のギミックダンジョン。

 四層目は光を遮断した真っ暗な空間に、音と振動を頼りに進む構造……。


 やってやるぜ。元社畜のプライドにかけて、めちゃくちゃ効率的でえげつないダンジョンを作ってやる。


(マスター)、どこまでやるつもりですか?」


 背後からレイラの声。無表情だけど、若干引いてる気がする。


「まだまだだ。あともう一押し、コアルームも拡張しておかないとな。俺の居住空間がこんな殺風景なままでいいわけがないだろ?」


 石造りの四角い部屋――それが“俺の部屋”だった。これを機に、もう少し過ごしやすいようにしておく。


 そして、ふと思いついた。


「レイラ、お前にも部屋を作るわ」


「……え?」


「いや、だって頑張ってくれてたし。個室ぐらい欲しいだろ? あとお風呂とキッチンも追加するぞ。女の子だし、さすがに不便だろうからさ」


「……(マスター)


 レイラが微かに目を見開いて、そっと口元を抑える。

 ほんの一瞬、あの無表情に柔らかな陰影が差した気がした。


「……ありがとうございます。嬉しいです」


 おー……、なんか素直に喜ばれると照れるな。

 と、とりあえず作業に戻ろう。


 拡張ポイントを使って、シャワー付きのバスルーム、最新型キッチン(っぽい調理室)、そしてレイラ専用の部屋を作成。

 家具や寝具は、レイラと一緒に画面を眺めながら選んだ。


「この赤い椅子、ちょっと派手すぎません?」


「いいじゃん、悪のダンジョンっぽくて」


 少し不服そうにしつつも、椅子に腰かけるレイラ。


「この椅子、座り心地が良いですね!」


「ベッドはどうする? ふかふか? 硬め?」


「中間でお願いします。沈み込みすぎるのは、寝返りがしにくいので」


 ……すごい現実的な理由だった。


 ひとしきり作業を終えたころ、俺の“身体”に微かな違和感が走った。


「……ん?」


 視界の端に、自分の表面――そう、核の石の一部に、細かいヒビが入っているのが見えた。


(マスター)、そのヒビ……。少し前から広がっていますよ」


「あー……まぁ、大丈夫だろ。特に痛みもないし、機能不全もないし」


「ですが――」


「だーいじょーぶだって。こういうのは気にしすぎると逆に悪化するんだよ、な?」


 俺はごまかすように笑って、再び操作画面を開く。


「さて、ダンジョンの基盤も整ったし、そろそろモンスターの再配置といこうか。今度は限界数に気をつけながら、慎重にいくぞ」


 召喚魔法陣を起動し、各階層にモンスターたちを配置していく。

 

 ゴブリン、スライム、コボルト、トラップ専門のインプ、視界遮断型のモンスター……。

 

 慎重に、絶妙なバランスで分布を調整。


「完璧……これで文句ないはず」


 そう呟いた瞬間だった。


 《魔王ヴァルト・ノクスの格が上がりました。レベルアップに伴い、形状の変化と行動制限の解除を行います》


「――は?」


 世界の声。例の、あの無機質なやつ。


 と思う間もなく、俺の“身体”が光に包まれた。

 ヒビの入った核が眩く輝き、その光が徐々に輪郭を変えていく。


「お、おい、ちょっ――!」


 光が収まったとき、俺の身体は――石ではなかった。


 黒曜石のような質感の球体に、中央に巨大な一つ目。

 左右にはコウモリのような黒翼が生えて、ふわりと宙に浮いている。

 

 漆黒の身体は硬質な光を帯び、覗く一つ目には禍々しい魔力が揺らめいていた。


「……なにこれ、俺、めっちゃ浮いてる!?」


 重力の縛りがない。視界はクリア、動きも自由。

 そしてなにより――


「魔法、使える……!」


 闇のエネルギーが掌――じゃないけど体内から滲むように溢れ出す。

 俺はついに、核から“魔王”っぽい形状へと進化したのだ。


 感動していると、再び声が響いた。


 《格が上がったことにより、新たに眷属を増やすことが可能になりました。眷属召喚を行いますか?》


 え……? マジで? 次の眷属?


 それってつまり――


 ――俺に、仲間が増えるってことか?

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