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第93話 完結

殺人未遂事件を経て、結婚をしてもうすぐ2年が経つ

結婚した後、私はすぐに妊娠が発覚した

しかも双子だった

子供が欲しいと夢見ていたけれど

実際に自分が親になるというのは

想像以上にプレッシャーだった

私が自分の世話をすることもままならないのに

子供を育てることなんて出来るのだろうか

新しい命を嬉しく思う反面

不安な気持ちも募っていた

双子の出産は帝王切開で出産した

死ぬほど怖かった

2度と出産はしたくない

無事に双子の男の子が産まれ

虎徹と竜我と命名した

「全然泣き止んでくれない〜!」

私は虎徹を抱っこして、竜我をおんぶしながら泣き止むように部屋をうろうろする

一卵性の双子だからなのか1人が泣けば輪唱するようにもう1人も泣き出す

2人分のボリュームで泣かれるとこっちも泣きたくなる

双子を育てることは毎日が戦場で悩む暇もなく怒涛の日々が過ぎていった

私は家事は一切せずに育児のみをしている

家事は家政婦の鈴木さんと執事の久保さんがやってくれている

私がやっているのは育児のみにも関わらず睡眠時間もろくに取れないほど忙しい毎日だ

ベビーシッターを雇う話もあったが断った

ベビーシッターを雇ってしまえば私はサボってしまい

全てプロに委ねてしまいそうだと思ったからだ

自分の子供だから自分で育てたいと言ったものの

毎日毎日毎日毎日上手くいかないことばかり

世の中の母親は育児だけではなく、家事もしてしかも仕事もしている人だっているそうだ

信じられない

私は育児をするだけで心が折れそうだ

妊娠期間中に育児本を何冊も読んで知識だけはつけたはずなのに

子供のあやし方なんて全然わからない

赤ちゃんが泣けば母親は直感でわかりますよなんて書いてある本もあったけれど

私は全くわからない

やっぱり私が欠陥人間だからなのか…

「はぁ…やっと寝てくれた…」

虎徹と竜我は泣き止んでようやく寝てくれた

寝た後もベッドに降ろすと起きてまた泣いてしまうことが多い為

お昼はこのままおんぶと抱っこをしたままにしている

赤ん坊とはいえ2人分を抱えているのはきつかったが

1年間続けていると慣れてくるものだ

「お疲れ様です。玲さん。玲さんが好きなハーブティーとクッキーを用意しましたので、少し休んでくださいね。」

と家政婦の鈴木さんが言う

「ありがとう。鈴木さん。」

私は鈴木さんが用意してくれたハーブティーとクッキーを食べて束の間の癒しの時間を過ごす

「鈴木さんと久保さんが支えてくれなかったら私、絶対子育て出来なかったと思う…」

「そんなことありませんよ。双子を育てるのは周りのサポートは必須ですから。気にしないでください。」

「いつも本当にありがとう。」

「いえいえ。私は仕事をしているだけですから。玲さんこそもう少し休んではどうですか?拓人さんにお子様を預けて旅行に行こうと誘われていたのに断っていたじゃないですか。たまにはお休みしたらいいのに。」

「忙しくて大変だけどさ。やっぱり子供と離れるのは寂しいもん。」

「拓人さんが玲さんが全然構ってくれないと嘆いていましたよ。」

「双子の世話だけでも大変なのに、拓人のお世話まで出来ないわよ。」

「逞しくなりましたね。玲さん。」

「子供が私を親にさせてくれたから。強くなれたと思うよ。」

小説よりも大事な存在なんて私は出来ないだろうと思っていた

小説だけが私を支えてくれる絶対的な存在で

私は小説なしでは生きていけないからだ

それでも…そんな私でも

小説よりも愛することが出来る存在が出来た

寝ていても

小説を読んでいる時でも

子供の泣き声はハッキリと聞こえて

すぐに駆けつけることが出来た

嬉しかった

私はずっと人を愛することが出来ない欠陥人間だと思っていたから

小説よりも我が子を優先出来ることが出来た自分を誇りに思えた

この世の何よりも大事な存在が出来て

私はやっと人として認められたような気がした

虎徹と竜我はきっと

私を救う為に生まれてきてくれたのだ

だから私は最大限の感謝を

最上級の愛情を

虎徹と竜我に捧げよう

「生まれてきてくれてありがとう。」

小説と共に孤独に生きようと思っていたのに

家族を持つことなんて夢のまた夢だったのに

私の夢を叶えてくれた拓人さんには感謝しかない

世の中のお母さんと同じように

私も子供を愛して育てることが出来る幸せを噛み締めていた



子供達が生まれてから3年が経ち、虎徹と竜我も幼稚園に入園することになった

私は双子を育てる為に小説活動は休止していたが

子供が入園したことをきっかけに小説活動を再開した

3年ぶりの復帰作はミステリー小説で、裏テーマに家族愛を描いた

私の復帰作は自身2回目のミリオンセラー小説になった

多くの人に忘れられているだろうから

世間体も何も考えずに思うがままに自由に書いた小説だったから

それがミリオンセラーになるなんて本当に予想外だった

「復帰作の“海辺の洋館”素晴らしい作品だったね。迫田玲さん。いや…もう結婚したから真中玲さんと呼んだ方がいいのかな?」

今日は雑誌のインタビューで対談する大御所小説家の橋本幸雄さんと対談だ

「ペンネームは迫田玲のままなので、迫田玲と読んでください。私の小説を橋本さんに読んで貰えるなんて光栄です。ありがとうございます。」

「ハハッ!私はミリオンセラーは3作だからもうすぐ迫田さんに抜かされそうだよ。私はそんな大層な小説家じゃないから。これからの小説界隈は迫田先生が背負ってください。」

「私がそんなこと出来るわけないじゃないですか…。ミリオンも2回とも運が良かっただけです。」

「ミリオンセラー2回は運ではどうにもならないよ。迫田先生の実力だ。」

「恐縮です。」

「迫田さんは年齢と共に小説の世界観が変わっていくのがまた魅力的でいい。私が1番迫田先生の作品で好きなのは実はデビュー2作目の“猫又のリボン”が好きだったんだけど…」

「嘘でしょう…そんなマイナーな本を読んで頂いてるのですか!?」

「私は迫田先生のファンでね。全作読んでいるよ。」

「嬉しい…。憧れの小説家の橋本先生にそんなこと言われるなんて…小説書いててよかった…」

「“猫又のリボン”はさ。社会に対する不平不満がこれでもかと詰め込められていて面白かったよ。」

「まだ高校生でしたので…若かったといいますか…お恥ずかしいです…」

「それに対して今回の復帰作“森の中の洋館”は母親になった迫田さんならではの作品だったね。家族愛を裏テーマにしていて複雑なミステリーだけではなく、家族の葛藤も丁寧に書かれていてとても面白かったよ。」

「読み始めたら展開が面白くてずっと読めるように意識して書きましたね。もう忘れ去られた作家だから手に取って貰えることは減ると予想してましたから。手に取ってくれた読者はのめり込めるように工夫しました。」

「迫田先生の本気の作品がやっと読めた気がしたよ。」

「私は毎回本気でやってましたよ!」

「フフッ。そうかもしれないけど…集大成というか今回の作品は本当に素晴らしかったよ。」

「もう最後の遺作のように言わないでくださいよ!まだまだこれからですから!」

「そうだね。歳をとると共に作品の雰囲気も変わっていくのは古参は嫌がるかもしれないけれど、新規は増えていきそうだからね。これからも小説界隈を盛り上げて欲しいよ。」

「橋本先生ももっと盛り上げてくださいよ。3年に1作ぐらいしか最近書かないじゃないですか。」

「もう60歳過ぎたからいいだろう?」

「ダメダメです!せまた1年に1作品出しましょう?」

「善処するよ。」

「母親になったら小説家としても魅了は減ると思っていたけれど、こんなにたくさんの人達に読んで貰えて幸せです。これからも小説家迫田玲をよろしくお願い申し上げます。」

「ところで新婚生活はどうだい?」

「もう結婚して3年経ってます。」

「噂の御曹司と結婚したんだろう?」

「双子を育てるのに精一杯すぎて甘い結婚生活なんてありませんでしたね。」

「じゃあこれからだね。」

「3年も経ってるからラブラブ生活なんてなりませんよ。」

「そう?今もここに真中さん来てるけど。」

「心配症なんです。」

「ラブラブです!って素直に言えばいいのに。」

「違います!偏向報道やめてください!」

「これから2人で温泉旅行に行くんだろう?」

「誰に聞いたんですか…」

「真中拓人さんだよ。とても愛されていて幸せだねぇ。迫田先生!」

「揶揄わないでください!もうインタビュー終わり!」

「顔真っ赤にして恥ずかしがっちゃって…意外と初心で可愛いんだね。迫田さん。」

「もうやめてください!小説と関係ないことは聞かないで!!」

「アハハ!可愛い〜。」

「うぅ…」

インタビューが終わり、拓人さんが私を迎えに来た

「お疲れ様。今日も世界一可愛いよ、玲。」

毎日、息を吐くように拓人さんは私を口説く

結婚4年目も変わらず

「拓人さんと結婚してよかった。」

私はそう言って拓人さんの手を繋いで走り出す

「行こ行こ!温泉旅行!!私すっごく楽しみにしてたんだからね!!」

拓人さんに愛されてよかった

拓人さんを愛してよかった

何があっても変わらずに私を諦めずに愛してくれたから

私は虎徹と竜我に出会うことが出来た

幸せをありがとう

私も拓人さんにたくさん幸せを返してあげたい

もらったものを

たくさん返したい

幸せにしてくれてありがとう

大好きだよ





ここまで読んでくれた読者の皆様本当にありがとうございました。自身初めての現代物を題材にした小説でとても楽しく書かせてもらいました。配信ネタとかインスタネタとか現代ならではの話を盛り込むこと面白かったです。あと主人公の迫田玲というキャラクターがとてもお気に入りで書いていて楽しかったです!

少しでも皆様の心に面白い作品として残ってくれたら幸いです。

本当にありがとうございました!

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