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第2話 来訪

「真中美奈子です。少しお話があるので部屋に上がってもいいですか?」

インターホン越しに美人が話しかけてくる。

「……知らない人を部屋に上げることは出来ませんのでお引き取りください。」

「貴方が拓人と付き合っていたことは知っています。」

「昔付き合っていただけです!!今は…」

「ほら…近所の人に聞かれますよ?入れてくれませんか?」

「分かりました…。どうぞお入り下さい。」

私はオートロックを解除して美奈子さんを入れた。

ドアがノックされて、そのまま部屋に入れる。

「急にごめんなさいね。お邪魔します。」

近くで見ると美人の迫力がやばい。スタイルもくそいい。おっぱいでか。

「何故私の家を知っているのですか…?」

「探偵を雇ったので。」

「私が付き合った期間は美奈子さんが結婚する前なので、浮気はしていないです…。」

「知っているわ。浮気を疑ってここに来たわけじゃないの。」

「じゃあどうして…。」

「貴方に拓人の愛人になって欲しいの。」

「………は?」

「あの人貴方のことが忘れられないらしくってだから相手してあげてくれない?」

「ちょっと意味が分からないんですけれど…美奈子さんが相手してあげればいいんじゃないでしょうか。妻なんですから…。」

「あの人私のこと嫌いみたいだから相手出来ないのよね〜。私が金目当てで結婚したからさ。私に対しての嫌悪感が凄いのよね〜。」

「それでも拓人さんは了承して結婚したんだから夫婦の問題ですよ…。」

「そう。私達は政略結婚。だから結婚する時に決め事をしたの。お互いに浮気することは了承すること。離婚はしないこと。子供は作ること。」

「へぇ…。エリートの結婚って大変なんですね…。」

「私は遊びまくれるし、お金もたくさん手に入る今の生活を気に入ってるだけれどね。」

「そうなんですね…。」

価値観がぶっ飛び過ぎてて意味がわからない。浮気容認して、表向きはオシドリ夫婦を演じて…上流で生きる人達も苦労してるんだなぁ…。

「拓人が貴方を忘れられなくて年々壊れていって遂には仕事にも支障がでて今療養中なの。」

「……本当ですか?私ただ遊ばれてた中の一人でしか無かったはずですが…。」

「本当よ。貴方なんかしゃばい商売してたじゃない?小説のくせに自分の写真のポストカード入りにして売り出したやつ。」

「すみません…ちょっと出来心で…いつもより売れるようになるかもしれないと言われて…。」

「あの本しかもポストカード十二種類あって、シークレットが二枚あるんでしょ?」

「お詳しいですね…。」

「しかもシークレットは直筆サインとメッセージ入りのトップシークレットもあるとかで」

「喜んでくれると思って書いただけなんです…。」

「貴方のファンは三十冊から五十冊ぐらい買って社会現象になるほどめちゃくちゃ売れたやつ。」

「あの…すみません…今後はやりませんので…。」

「あの小説。拓人が買ってたのよ。」

「そうなんですね…。」

「一万冊ぐらい。」

「……………。」

「もっとあるかも。」

「わぁ…応援ありがとうございます…。」

「それでも直筆サイン入りメッセージは一枚しか当たらなくて、転売ヤーから買っていたわ。五万円ぐらいで。凄いわね。」

「ほんとに!二度とやりませんから!!許して下さい!!」

「それぐらい貴方が好きってことよ。」

「私の作品が好きなんじゃ…。」

「貴方の作品が好きなら一冊買うだけで十分でしょ。」

「本当にすみません…。」

「じゃあ罪滅ぼしとして愛人になってくれる?」

「嫌ですよ…。それとは話が違うじゃないですか…。」

「話は同じよ!貴方が拓人を壊したんだから!!」

「いやいや。私達普通に円満に別れましたよ?」

「嘘つけ!貴方別れた後、全く連絡出来ないようにしたじゃない!!」

「別れたんだから連絡する必要ないじゃないですか。」

「拓人は貴方と別れたくないから浮気を容認しろと結婚の前に条件を出したのよ?それなのに貴方が別れるからこんなことに…可哀想。」

「浮気を容認するような夫婦があると思わないじゃないですか…。」

「貴方だって拓人が好きだったんでしょう?」

「まぁそうですけれど…。」

「じゃあ何も問題ないじゃない。両思いだし。また付き合ってあげてよ。」

「いやいやいや。美奈子さんだって拓人さんが好きだから結婚したんじゃないんですか!?美奈子さんが救ってあげればいいじゃないですか!」

「別に好きだから結婚したんじゃないわよ。結婚しろって言われたから結婚しただけ。豪華な暮らしができるから離婚したくないだけ。救うなんてそんなめんどくさいことしたくないわよ。」

「妻なんだから!美奈子さんの仕事ですよ!元彼女に任せたりしたら余計にややこしくなるだけですから!」

「うるさいなぁ。めんどくさいけれど、仕事も出来ない程壊れちゃったからこうして探偵雇って貴方の居場所を調べて、貴方にお願いするように尋ねたんじゃない。私めちゃくちゃ偉くない?」

「いやいやいや!頑張るベクトルおかしいですよ!美奈子さんと拓人さんが話し合いするべきですよ!」

「嫌よ。めんどくさい。」

「そんな妻がめんどくさがること私にできるわけないじゃないですか!!」

「あー。じゃあさ。一回会ってあげてよ。一回会えば元気出ると思うからさ。」

「えぇ…。私何も出来ないと思いますよ?」

「顔見せたら喜ぶと思うからさ。探偵雇ってわざわざここまで来たんだからそれぐらいしてよ〜。」

「………わかりました。」

会うだけならと私は了承して美奈子さんに連れられて、真中家の高層マンション最上階の一番見晴らしのいい部屋に案内された。めちゃくちゃ広いリビングに通されてソファに座って待った。

私は拓人さんの主治医の先生に会って注意事項を教えて貰った。

かなり弱っているので攻撃的な言葉は話さないでほしいこと。

一緒に拓人さんの部屋に入るけれど、何かSOSを感じた時は僕の服を引っ張って合図をして欲しいこと。

何をみても驚かないで普通に接してあげて欲しいこと。

そして私は主治医の先生と一緒に拓人さんの部屋に入った。

 

 

 

 

 部屋に入って十五分ぐらい経っただろうか。キィっと部屋から主治医と迫田が出てきた。迫田は部屋から出て一言言う

 「こわ〜!!!あの人私のこと美化しすぎじゃない?」

 

 


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