原因
数日振りに、書き易かった。
あっ、今回は一人称が上手く行った話です。
「泣くんじゃないよ」
ナデナデ
また、泣き始めた私を見て、お婆さんはそう言って頭を撫でてくれました。
気持ちいい~~~
「むぅ!私も撫でる!」
ナデナデ
そう言って、女の子も私の頭を撫で始めました。
むぅ、中々に上手い。
「ほぁ~~~」
二人のナデナデが合わさって、私を眠りに誘う。
「そろそろ良いかい?」
眠りかけていた私に、お婆さんはそう聞いてきました。
「はぇ~~~、だいじょぶ~~」
あ、ダメ。
どんどん瞼が落ちて来る。
眠っちゃダメなのに、誘惑に逆らえない。
「おお!もっと撫でよう!」
あぁ~~、眠りに落ちそう。
パン パン
「あぅ!」
「はっ!」
危うく寝てしまう所だった。
「はぁー、二人共、正気に戻ったかい」
叩かれた頭を擦りながら、女の子と一緒に、お婆さんの方に振り返った。
「痛いよ~~」
女の子は涙目で言った。
「はい」
うぅ、家族なら気にならないけど、他の人に見られると恥ずかしい!
「それなら良いさね。それで、アンタが見たオバケ?だがね」
それも!だらけきった表情を見られてしまうなんて!うぅ~~~!
「それはきっと、幽幻草が原因だね」
はっ!演技をすれば、無かった事になるのでは!
ふふ、私の演技力を見せる時!
「えぇ、そうなんですか」
何かを話していた気がするから、合わせれば誤魔化せる筈!
「嘘を言うんじゃないよ。アンタ、聞いて無かっただろ」
「い、いえ。そんなことはありませんよ」
なななななんで!?
私の演技は誰にも破られない筈なのに!
「顔に出ているよ、アンタ。顔を反らした時点で、認めているようなもんさ」
「えっ?」
あっ、本当だ。
お婆さんじゃなくて、女の子が見えてる。
ニコ
うぅ!笑顔が可愛いすぎる!
「はぁー、もう一度言うよ」
「お願いします」
危なかった。
また意識が違うところに向きかけた。
よし!今度こそは、話をちゃんと聞くぞ!
「アンタが見たオバケ?は、幽幻草が魅せた幻だよ」
「え?幻なんですか?」
触れられた感触があったのに?
「あぁ、幻だよ。幽幻草は、幻を魅せる事によって、外敵を近付けさせないからね」
あぁ、なるほど。
でも、そうなると、幽幻草は何処にあったんだろう?
「あの、幽幻草は何処にあるんですか」
「うん?それは分かりやすいと思うがね。オバケ?を見た近くに群生地帯が無かったかい?」
群生地帯?…………!
「ありました!薬草に似た色の草がいっぱい、生い茂っていました」
「それが幽幻草だよ。薬草に似た色なのは、食べようとは思わせない為さ」
あれが、幽幻草だったんだ。
あの色も、生き残る為の知恵なんだね。
「じゃあ、そこに近付かなければオバケに遭遇しないってことなんですね!」
うん!それなら、元の場所にオバケと遭遇せずに帰れる。
「いや、それは無理だねぇ」
「うん、無理だよ」
お婆さんは、重く言い。
女の子は、いつもの元気さが無い悲しい表情でミリカに言った。
「え?どうしてですか?」
幽幻草に近付かなければ大丈夫なんだよね?
「幽幻草が生い茂る群生地帯は、生き物が逃げ出せないようになっているからさ」
えっ………………ッ!?逃げ出せない!つまり、
「幽幻草をどうにかしないと脱出できないんですか!」
私は声を荒げて言ってしまった。
その事に少し後悔していたが、今はそれどころでは無かった。
「そうだね。幽幻草をどうにかしない限り、アンタは助からない」
お婆さんが言葉を濁して、告げたからである。




