我々は見ていない……決して。
我々=作者&読者をイメージしてます。
でも、作者が書いているので殆ど作者って
言っても過言ではないですが。
後、我々と言いながらあんまり出てきません。
「御華、御華」
御華は現実に戻って来たばかりなのか、意識がハッキリしていなかった。
「うぅ、うー、お姉ちゃん?」
御華は姉の声に反応して。
無意識に小さい頃、呼んでいた呼び名を言ってしまった。
そう、言ってしまった。
「っ!ふふ、ふふふ、御華が私をお姉ちゃん、って。お姉ちゃんって」
姉は久しぶりのお姉ちゃん呼びに、大!ダメージを受けてしまった。
「お姉ちゃん?変な声が聞こえるけど大丈夫?」
「えぇ、大丈夫よ。それより、もう一度お姉ちゃんって呼んで頂戴?」
「?お姉ちゃん」
「うふふ、ふふふ。御華、何度もお姉ちゃんって呼んで頂戴」
「?お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん。これでいい?」
「えぇ、えぇ!とっても素晴らしいわ!ふふふ、はぁ、はぁ」
我々は不気味に笑っていたかと思ったら、いきなり鼻息が荒くなっている姉を見て。
我々は満場一致で思った。
あっ、アブナイ人だ。っと。
我々がそう思っていた時だった。
御華の意識がハッキリしたのは。
「う、うーん。ここは?……?!お、お姉ちゃん!何でいるの?」
御華が驚いたのも仕方がないだろう。
姉が御華の隣にいたのだから。
我々が御華に意識を向けた間に移動したのだとしたら。
ただ者ではない。
「ふふ、御華が起きなかったからよ。御華が気持ち良さそうで入っちゃったの」
「私、気持ち良さそうにしていたかな?」
騙されるな。
姉はただ、気持ち良さそうにしていたから入ったのではない。
鼻息が荒くなっていた時に姉が何を考えているのかは分からなかったが。
我々でもこれだけは分かる。
ただ、御華を堪能したかっただけだと。
「ふふ、気持ち良さそうにしていたわよ。それより、晩御飯をいつ作ってくれるのかしら?」
「あっ!夕御飯!い、今から作るから待ってて!」
「えぇ、わかったわ。ゆっくりと作っていいからね。御華の部屋に居るから出来たら呼びに来て」
「えっ!姉さん、部屋にいるの?」
「何、その不安そうな顔。私が居ちゃ駄目なの?」
「そうじゃあないけど。姉さんが変なことをしないか心配なだけ」
「そう?私は今まで変なことをした覚えがないのだけど?」
「えっ!さっき、私のベットに入ってきたじゃない」
「はぁ、さっきも言ったでしょ?御華が気持ち良さそうで入っちゃった、って」
「うっ!た、確かにそう言ってた」
「何がそんなに不安なの?」
「私の部屋に居ると何かを探したりはするでしょ?」
「えぇ、するわよ。思春期の弟が何が気になるのか知りたいもの」
「や、やめてよ!」
「駄目よ、諦めなさい」
「な、何で?」
「決まってるじゃない。御華がゲームにのめり込み過ぎて。夕御飯を作るのを忘れていたのだから、御華に拒否できる権利はないわ」
「うっ!わ、分かったよ。でも、変なことはしないでね!」
「えぇ、わかったわ。変なことはしないわ」
「そ、そう。なら良かった」
「えぇ、だから安心して料理を作ってきなさい」
「うん。料理を作ってくるね」
「えぇ、楽しみにしてるわ。あっ!忘れるところだったわ。後でマッサージね」
「えっ!何で!」
「ふふ、罰よ。夕御飯を楽しみにしてた私を絶望させたんだから。相応の罰が必要でしょ?」
「うぅ、わかりました」
「分かればよろしい」
「じゃあ今度こそ、夕御飯を作りに行ってくるね」
「えぇ、楽しみにしてるわ」
御華は夕御飯を作りに一階に下っていった。
階段を下りる音を聞いた姉は。
「ふふ、行ったわね。あぁ!今!ここには私だけ!ふふふ……」
姉は誰一人として見ていない部屋で不気味な笑い声を上げながら何をしたのか。
それは、誰にも知らない。
我々も誰一人として見ていない。
見ていないったらいない。
要望がない限りは姉が何をしたのかは書きません。
書くことになっても大変だと思う、作者。
追記、本当に、今更ですが、読んでくれてありがとうございます。
これからも、読んでもらえると嬉しいです。




