episode 01:うちのネコ?いやいや、違うでしょ
「ネコ。いつまで居座る気?」
キッチンから、後ろに視線を投げる。
小さなワンルームの部屋で、シンプルな白いラグの上の黒い塊に声をかけた。
家財を必要最低限しか置いていないため、いささか殺風景な部屋ではあるが気にしたことはない。むしろ、スッキリしていて気に入ってさえいる。座卓とテレビ、布団さえあればいいのだ。
「…うっせ」
ネコは私に視線すら向けず、だらけたまま返事をする。
学ランを盛大に着崩して寝そべっているが、皺にならないのだろうか。
まあ、それを気にするのは私ではない。ネコの親だろう。
「ご飯食べる?」
今日はチャーハンにした。
手軽で一度に色々な野菜をとれるため、私の得意料理の一つと言える。
因みに、今日は鮭チャーハンだ。薄い紅色と黄色の卵のコントラストが美しい。
「…食う」
ネコはむくっと起きて、座卓に肘をついて私を見た。
明るい茶色に染めた髪が、ところどころ寝癖で跳ねている。
「ほんと、困ったネコね」
私は皿に盛り付けたチャーハンを机に置き、ネコの寝癖のついた髪を手櫛で直す。
「…猫じゃねーっつの。稲駒だ。いい加減覚えろ」
私の手を振り払いながら、名前の訂正をした。
知ってるけど…。
「ネコでしょ」
「てめぇ…!」
「…てめぇ?」
なるべく、笑顔を努めました。
「すいませんした…」
ネコは速攻で頭を下げて謝った。
素直が一番だと思います。




